最近の若者は、本当にものを知らないのか?

 「最近の若者はものを知らない」「最近の学生は知識が少なくて困る」という声を時折耳にする。しかし、その意見には無理があると、小宮山宏氏(三菱総合研究所理事長、東京大学前総長)は話す。(『10MTV』収録「知識の爆発」)

 20世紀の初めから今まで、この世には知識の量が膨大に増えた。おそらく千倍や一万倍といった単位で増えている。

 例えば、小宮山氏が学生だったとき、生命科学も情報科学もなく、量子力学もまだ重要とはされていなかった。他にも新たに起こった学問領域は多種多様で、既存の学問も多くが劇的に深まっている。

 新しい知識がこれだけ増えたのだから、一人が分かる部分は必然的に小さくなる。

 実は多くの学生は、ものを知らないのではなく、学ぶべき知識が多すぎて、ものを知らないように見えるだけなのだ。今と昔の学生で知識量の多寡は単純に比較できない。個人知には限界がある。

 その現象は別に学生だけに起きていることではない。

 ある学術誌で、以前に一度掲載された論文を再投稿したところ、それを見破った審査員が39人中3人しかいなかったという実験がある。しかも、それは1982年に行われたものだ。

 今や、どのような専門家も専門領域を全て知ることができないほど、世界には知識が溢れていると考えた方がよい。

 では、この「知識の爆発」を、私たちはどのようにコントロールすればよいのか。小宮山氏は二つの便利な道具があるという。

 一つは“知識の構造化”だ。

 知識を全体と細部に分けて構造化し、細部は専門家だけが扱う。一方の全体構造は、専門家以外の人も理解できるよう、専門家が分かりやすく説明して、できるだけ多くの人に広める必要がある。それは専門家の義務の一つだろう。

 もう一つのツールは、“IT”だ。

 莫大な知識を処理可能な状態にするために、ITをさまざまな形で適用すべきだ。しかし、日本は、企業内ではIT活用が進んでいるが、家庭、病院、政府、自治体、大学などでは世界と比べて遅れており、弱点となっている。今後の課題だ。

 “知識の構造化”と“IT”を駆使して「知識の爆発」に対応する“情報革命”が、これから世界を大きく変える。そうなれば、再び「ものを知っている学生」も増えてくるのではないだろうか。


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