いま30代半ばから40代の方は就職活動の時期が氷河期と言われるほどに就職難でした。新卒時に正社員になれなかったために、派遣社員やアルバイトなどの不安定な働き方を続ける人が多く、「ロスジェネ世代」と言われています。

 一方、20代から30代の方は学生時代が「ゆとり世代」にあたり、2000年代に入ってから成年期を迎えたことからミレニアル世代と言われています。仕事に対してはワーク・ライフ・バランスを重視し、働く場所にこだわらないノマドワーキングという働き方も定着してきています。ノマドというのは英語で遊牧民という意味です。

 気になるのはそんな20代・30代・40代のリアルなふところ事情です。貯蓄やお小遣いから上司におごってもらう金額まで、ちょっと生々しいお金の話をご案内します。

●20代・30代・40代のお小遣いはいくら

 はじめに、いちばん身近なところで、世代ごとの「お小遣い」の平均額を見てみましょう。「20代・30代・40代の金銭感覚についての意識調査2020」(2019年12月20日〜23日)という、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社が2000名の20歳〜49歳の男女を対象にインターネットリサーチした調査結果にもとづいてご紹介します。

 20代 28760円(月額)
 30代 26684円(月額)
 40代 27085円(月額)

 以上が20代・30代・40代の世代ごとのお小遣いの平均月額です。全年代共通して前年比減少でした。一般的に言って、世代が上がれば年収も比例して上がっていく傾向にあるので、同様にして、お小遣いの金額も上がっていくように思うかもしれませんが、実際には世代とお小遣い額は完全には比例しません。

 その理由は結婚や出産、子育てといったライフステージが関係しているのでしょう。結婚する平均年齢と第1子出生の平均年齢がだいたい30歳くらいなので、平均的に言ってやはり30代は出産や子育ての負担が増えることになります。結婚・出産後に、共働きするかどうかもお小遣いの金額を決めるポイントになると思います。

●40代がおごっている金額

 今度は、上司や先輩からおごってもらったり、部下や後輩におごる金額も覗いてみましょう。上司や先輩からおごってもらっている20代は30パーセントほどだそうです。そのとき、20代がおごってもらっている金額はというと、月額で平均8769円。

 逆に、部下や後輩におごっている40代は15パーセント。40代がおごっている金額は月額平均7,680円。少なくない出費といえますが、1回飲み会に行くだけでもそのくらいの費用はかかるでしょう。ただし、昨今は飲み会離れが進んでいることから、会社帰りの飲みニケーションが旺盛だった時代に比べると、おごる金額はかなり減っているはずです。

●ロスジェネ世代の悲劇

 次は貯蓄事情です。貯蓄がまったく無い「貯蓄ゼロ」はどのくらいいるのか。20代は19パーセント、30代は20パーセント、40代は23パーセントという結果となりました。

 世代が上がっていくごとに貯蓄ゼロの割合は上がっていきます。全体では5人に1人ほど、40代ではだいたい4人に1人くらいが貯蓄ゼロということです。これもお小遣いと同様に、ライフステージの変化により出費増になることが影響しているのだろうと思われます。

 また、冒頭で述べた世代ごとの事情も無視できません。とりわけ低賃金の非正規という働き方から抜け出せずに苦境に陥ることの多いロスジェネ世代は悲劇的です。政府も「就職氷河期世代支援プログラム(内閣府)」を打ち出し、支援に乗り出しています。

●安心できる貯蓄額の平均は

 20代・30代・40代の5人に1人ほどが貯蓄ゼロという結果でしたが、「リタイアまでに貯蓄がいくらあれば安心か」という質問に対しては全年代で「2000万円超」が4割前後となりました。昨年2019年、老後資金に2000万円必要になるという金融庁の報告書を、麻生太郎金融担当相が受け取りを拒否するという騒動が、話題となりましたね。

 安心できる貯蓄額の平均は20代が4016万円、30代は5524万円、40代は5845万円となっています。貯蓄ゼロが5人に1人ほどであることを考えると理想と現実が大きくかけ離れているように見えます。

●結婚しようと思える年収

 再三話題にのぼっている結婚・出産・子育てに関する金銭事情も見てみましょう。まず、「結婚しようと思える年収」です。「年収500万円あれば結婚に前向き」と答えたのが20代は56パーセント、30代は57パーセント、40代は51パーセント。全世代共通で年収500万円を超えれば半数以上が結婚してもいいと思っていることが分かります。

 どの世代にとっても、年収は結婚を決める大事な判断材料となっているはずです。逆に考えると、金銭的な理由で結婚したくても諦めるという方もいるでしょう。

 出産・子育てについては結婚よりもさらにハードルが上がります。「年収500万円あれば出産・子育てに前向き」と答えたのは20代が45パーセント、30代は46パーセント、40代は37パーセントとなり、20代も5割を下回りました。

●出産・子育てに前向きになれないのはなぜ

 住宅の購入もライフステージの一コマと言えます。これについては20代と30代は700万円、40代は800万円の年収があれば、「半数以上が“住宅を購入しよう”と思える」のだそうです。また、マイカーは「年収500万円あれば購入に前向き」と答えたのが20代は56パーセント、30代は57パーセント、40代は52パーセントでした。

 結婚にしてもマイカーにしても、だいたい年収500万円を超えるとライフステージの変化を考える余裕が出てくるのでしょう。日本社会が経済的に豊かになって全体的に年収が押し上がれば、結婚する人は増加する可能性があります。ただし、出産・子育てだけは別のようです。

 世代ごとの金銭事情を探っていった結果、思わぬ発見がありました。多くの日本人が出産・子育てに前向きになれない理由は、もしかしたら単純に「年収」だけが理由ではないのかもしれません。子育てに対して「負担」というイメージが強いからでしょうか。フランスのように少子化対策で成功した国もありますが、日本が少子化を克服するにはまだまだ時間がかかりそうです。

<参考サイト>
・20代・30代・40代の金銭感覚についての意識調査2020
http://www.smbc-cf.com/news/news_20200312_966.html