LGBTQ(性的マイノリティ※)向けの出会い系アプリ「Blued」を運営する中国の「藍城兄弟(Blue City)」が8日(中国時間)、ナスダックに上場した。公募価格は16ドル(約1709円)で、8430万ドル(約90億円)を調達した。

※LGBTQ=レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、クィア(Queer)またはクエスチョニング(Questioning)の頭文字。

上場初日、藍城兄弟の株価は最高で35.74ドル(約3817円)まで上昇したが、終値は46.44%増の23.43ドル(約2503円)で終了した。時価総額は8億3500万ドル(約890億円)をつけている。

BluedはLGBTQ向けのコミュニティとしては中国最古参で、その前身は2000年に設立されたオンラインフォーラム「淡藍網(DANLAN.org)」だ。2012年には藍城兄弟としてデートアプリBluedをローンチ。2016年には代理母の紹介など家族計画の個別コンサルティング業務「藍色宝貝(Blue Baby)」もスタートした。2019年はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の検査や治療、ED(男性性機能障害)治療などを手がける男性向け健康相談サービス「荷爾健康(Blued Health)」も開設し、HIVの知識啓発や予防・治療に取り組む「淡藍公益基金(Danlan Public Welfare)」も設立している。

藍城兄弟が上場を果たした背後には5000万人にも及ぶLGBTQの存在と、彼らがもたらす巨大な成長市場がある。ビジネスコンサル世界大手フロスト&サリバンによると、LGBTQの平均可処分所得は平均を上回っており、その市場規模は2018年で3兆9000億ドル(約420兆円)、2023年には5兆4000億ドル(約580兆円)になると予測され、その年平均成長率は7%に上る。

Bluedのグローバルユーザーは今年第1四半期時点で4900万人に達し、210の国と地域にまたがる。MAU(月間アクティブユーザー)は平均600万人で、海外ユーザーがそのうち49%以上を占める。インドや韓国、タイ、ベトナムでは国内最大のLGBTQ向けオンラインコミュニティとなっているという。

同社の上場目論見書によると損益面ではまだ赤字だが、2018年の純損失は9020万元(約13億8000万円)で純損失率は18%、今年第1四半期は純損失760万元(約1億2000万円)で純損失率も3.7%と、継続的に改善に向かっている。

藍城兄弟の最大の収益源はライブ配信サービスだ。ライブ配信事業の売上高は2018年は4億6000万元(約70億円)、2019年は6億7000万元(約100億円)で、それぞれ総売上高の91.3%、88.5%を占めている。同社の上場目論見書によると、ライブ配信サービスの有料会員は今年第1四半期時点で17万8000人に達した。

収益が極端に一つの事業に偏っている現状について、藍城兄弟創業者の馬保力氏は「2016年にライブ配信サービスをリリースして、最もマネタイズが容易な事業だと実感した。しかしこれは収益化に向かう通過点に過ぎない」と述べている。事実、Bluedは2018年から有料会員制をスタートし、海外で家族計画のプラットフォームBlue Babyや男性向け健康相談サービスBlued Healthも手がけるようになった。馬氏は「新規の三事業はいずれも成長の可能性を秘めており、収益源が多様化する中でライブ配信事業が占める割合も徐々に希釈され、他の事業の収益規模もさらに大きくなるとみている」と述べた。

将来を見据えれば海外事業も重要だ。前述の通り、Bluedのアクティブユーザーは49%が海外在住だが、馬氏は「海外事業はこれまで基本的にほぼゼロ収益だった。まずは急速な拡大を狙ってきたが、現在は少しずつ事業化を進めていく段階だ。海外事業は今後、企業全体の収益に大きく貢献してくれると確信している」と述べている。

同氏は上場に際して社内全体に宛てて綴った書簡を公開した。その書簡の中で、当初は個人サイトとして誕生した同社の事業が上場に至るまでの20年について、「すべての創業チームが経験するであろう試練や苦しみを経験する中で、我々はマイナーな存在からメジャーな存在として躍り出た。モバイルインターネットの発展、時代の発展を見届け、LGBTQの人々が劣等感を捨てて自信を持ち、日陰から日向に飛び出していく過程を見届けた」と語った。

さらに、「我々が上場を祝っているこの瞬間にも、世界のあちこちで我々の仲間が表に出る術もなく生きていることを忘れてはならない。藍城兄弟が上場したことによってより多くの人にパワーを与え、自分と向き合う勇気を与えることを望む。また我々の上場によってより多くの人々が彼らの存在に気づき、彼らの価値を知ることを望む。彼らがいてこそこの世界はかくに多様で美しいのだから」と訴えている。
(翻訳・愛玉)