大人気のマッチングアプリ「陌陌(MOMO)」はMAU(月間アクティブユーザー数)1億1000万人を有する。2018年、「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」、「快手(Kuaishou)」などのショート動画が台頭し始めたときは、ライブ配信をメンインとするMOMOのMAUも勢いよく伸びており、気楽に構えていた。しかしその一年後に状況は一変し苦しい立場に追い込まれることになる。新型コロナウイルス感染拡大により、ライブ配信が急成長する中、MOMOのライブ配信サービスの売上高は前年比13%減の23億3200万元(約360億円)にとどまった。これはライブ配信をメインとするMOMOにしてみれば異常としかいいようがない状況だった。

それまでMOMOはライブ配信サービスでSNSにも対応していたものの、MAUがMOMOの5倍に迫る抖音がSNS動画やライブ機能をリリースし、「SNS+ライブ配信」モデルを形成してきたのだ。これはまさにMOMOの現行モデルと同じ路線だ。

MOMOのライバー組合の担当責任者は、今年3月から新型肺炎と抖音のライバー支援の影響を受け、売れっ子ライバーの4割がMOMOから離れ、そのほとんどが抖音に移り配信を続けるという。また抖音でのライブ配信のほうがリターンが多いと話す関係者もいる。

ショート動画からSNSに切り込む抖音

ショート動画ではトップに君臨する抖音だが、中国国内のアクセス数が伸び悩み始めたのを機に、成長分野を模索中だ。SNSは同社が最も重要視している分野で、ショート動画とSNSのダブルエンジンで成長を目指そうとしている。これはSNSで定着をしているMOMOにとっては脅威でしかない。

20年4月には、「接続」機能の内部テストを行なっている。実名で登録しゲームの中で見知らぬ相手とコンタクトを取りながら理解を深めていく仕組みだ。大人気の音声マッチングアプリと類似している。

このほか、「同城(同じ都市)」機能も加えた。これはLSB(リモートセンシング技術)に基づくショート動画情報フローで、ユーザー所在地に最も近いショート動画やライブ配信コンテンツを表示できる機能だ。このほか、ダイレクトメッセージ機能も追加している。ユーザーは「同城」のショート動画を通じて相手に個人的なメッセージを送信できる。LSBのSNS機能に関しては、MOMOの簡易バージョンとよく似ている。

SNSで勢力拡大を続ける中、個人チャットルームには「ビデオ通話」機能も追加した。ビデオ通話を利用するユーザー同士はすでに知り合いというケースがほとんどだが、なかにはショート動画を通して知り合った初対面の人たちもいる。

また今年の七夕のプロモーションとして「お見合い」イベントを行なった。独身のユーザーが自身のショート動画をアップし相手を探すというものだ。多くの抖音ユーザーが参加し、動画再生回数はすでに延べ6900万回を超えている。

8月17日には「私と私の友人」イベントを仕掛けている。お見合いイベント同様、友人との日常を撮影した動画を「@朋友」でシェアするものだ。半月もたたないうちに、動画投稿者は5万1000人に上り、動画再生回数は延べ5億3000万回にも達している。

抖音はさらにライブ配信によるSNSの可能性も模索中だ。中国の調査会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」によると、中国国内の音声ライブ配信のユーザー規模は20年には2億人を突破する見通しだ。今年初めには抖音も音声ライブ機能を追加、ライバーとファンが音声でやりとりができるようになり、チャットルームでは最大8人のファンとの交流が可能となった。

抖音はこの「SNS+ライブ配信」モデルで着々と成長を続けている。一方のMOMOはウィズコロナ時代になり、ライブ配信一本での勝負には限界があると認識し始めたようだ。50人規模のライブコマースチームを立ち上げ、商品販売を行なう計画があるという。

このほか、MOMOはお見合いアプリ「対対」やバーチャルメイク機能を中心とするアプリ「芒西(Moxie)」など複数のSNSアプリをリリースしている。とはいえ、MOMOのこの変身は抖音を世界でヒットさせた「バイトダンス(字節跳動)」の攻勢をくい止められるのだろうか。(翻訳:lumu)

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