おたよりの挿絵からデザイナーに!PTAで新たなキャリアをつかんだ主婦たち

おたよりの挿絵からデザイナーに!PTAで新たなキャリアをつかんだ主婦たち

何かと嫌われがちなPTAや父母会の役員活動。「自分に役員が回って来なくてホッとした〜」「集まりの少ない委員になれてよかった」と安堵するかたもいれば、「仕方なく役員になったけど仕事や家事、育児と両立できるかな……」と気が重いかたもいることでしょう。

しかし、PTA活動がきっかけでキャリアが広がったというママたちもいます。「PTAの活動を楽しく、意義あるものに!」をモットーに、PTA会長を2期連続で務めた経験を生かし、さまざま工夫や新たな取り組みを行っている、東京都在住の野々垣みどりさんにお話を伺いました。
(取材・文/みらいハウス:福井 良子)


■教えてくれたのは・・・野々垣みどりさん
株式会社エマージェンス代表取締役。亜細亜大学国際関係学部 特任准教授。おもに中小規模の顧問先企業でキャリアカウンセリング、キャリア形成支援のための研修ワークショップなどの企画、実施を手がけるキャリアカウンセラー。

自己紹介のやり方を変えただけで役員の不満が軽減


――野々垣さんがPTA会長に就任されたきっかけを教えてください。

長男が小学校1年生になった時に、「少しでも学校のことやクラスのことを知ることが出来たら」と思ってクラスの役員になったのですが、権力を振りかざす横暴な委員長で苦労したのです。保護者を不幸にするようなPTA活動は変えないといけないな、と思ったのがきっかけです。


――会長に就任した際、どのような取り組みや活動をされましたか?

まず、自己紹介のやり方を工夫しました。よくある自己紹介のパターンは「3年2組の〇〇の母です。6年生にお兄ちゃんがいます。PTAは初めての経験なので何もわかりませんが、迷惑をかけないようにやっていきたいと思います」といった感じで、ママ自身がどのようなかたなのかがわからない。そこで、ママ自身のことをもっと知ってもらえるような自己紹介のやり方を取り入れました。


――具体的には、どのような工夫ですか?

ちょっとしたワークショップ形式を取り入れたんです。「どんなことでもいいから、自分のことを紹介する言葉や事柄を20個以上書き出す」という簡単なルールだけ決めて、制限時間のなかで、自由に何でも紙に書きだしてもらう。出身地や誕生日、血液型、家族構成などに始まり「芸能人の〇〇が好きです!」「海外ドラマの〇〇を全シリーズ制覇しました!」「お酒が好きです」「料理がキライです」など趣味や嗜好に至るまで、何でもです。

そうすることで、ママが持つ個性や能力、これまでの経験などがわかるようになり、実際の活動にもそれらを生かすことができました。たとえば、絵を描くのがとても得意なママがいたときは、PTAからのお知らせやお手紙にマンガやイラストを加えてもらったり。字ばかりで堅苦しかったものが視覚的にわかりやすくなって、保護者のかたからの評判も上々でした。

また、この自己紹介にはもうひとつメリットがありました。介護や仕事、小さくて手がかかる下の子のお世話など、それぞれ配慮が必要な事情も共有できるので、お互いのバックグラウンドを、ちゃんと知ることができるんです。その結果「またあの人、来てないね」といった不満が出るのを避けることにもつながりました。

PTA活動を「見える化」!

――共働き世帯が増えたことで、仕事と家事・育児の両立に加えてPTA活動を行うのは負担が大きすぎるという意見もあります。その点については、どんな対策を行ったのでしょうか?

無料のグループウェアなどを積極的に取り入れ、作業の進捗状況などが全員に「見える化」できるようにしました。また、誰かが何かをしてくれたことに対しては「ありがとう」「助け合ってやっていこう」などとポジティブな言葉がけをすることはもとより、ネガティブなことへの言葉がけも心がけました。

たとえば、PTAの活動を「何となく難しそう」と感じている人には「特別な人だけがやっているわけじゃないよ」とか、「面倒くさい」と思っている人には「その気持ちわかるよ。どうやったら楽しくできるか一緒に考えていこう」というような声かけをすることで、安心していっしょに活動に取り組んでいけるようにしたんです。ほかにも「こんな組織であってほしいな」など、PTAに対する思いやビジョンを、皆で一緒に付箋に思いつくまま書いてマッピングをつくり、壁に貼っていつでも見られるようにしました。

そうやってPTA活動の環境を整えた結果、男性のPTA活動の参加率もアップしたんです。それぞれができることや持ち味を最大限に生かすことで、「このメンバーといっしょでよかった」とハッピーに感じられる可能性が、PTA活動にはたくさん秘められていると私は思います。

PTAは参加者たちの才能を開花させる場


――それらの取り組みを通じて、実際のPTA活動にどんな変化が起きましたか?

防災頭巾やピアニカなど、使う頻度は多くないけど絶対に必要で、買うとなるとそれなりの出費になる学用品ってありますよね。近年の貧困問題にも通じるテーマなので、役員たちも問題意識を持っていて、話し合いをするなかで「それなら物々交換する会をやってみない?」という提案が自主的に出てきて、最終的にバザーをやることになったんです。

開催に向けて「どうやって関係者に声かけをしようか?」「チラシはどうする?」などどんどん話が展開し、それぞれが得意分野を生かしながら準備を進めていきました。

準備のなかでは、ボロボロだったアンケート回収用ボックスをパっと目を引くようにリメイクしたり、ウェルカムボードをマスキングテープでかわいくデコったりと、ママたちのアートな才能がきらめく瞬間がたくさんありました。

PTA活動のなかには、何気ないことでも、それぞれの才能を開花させる場があるんだなと感じました。

PTA活動が新たなキャリアにつながったケースも!


――行政や企業でのキャリア支援に関わり、現在は私立大学で学生向けのキャリア教育を実践されている野々垣さんですが、PTAの活動を通してママたちのその後にも何か変化は起こりましたか?

まず、先述の絵が得意な方ですが、現在は某人気塾の専属デザイナーとして働いていて、名刺や看板など手広くデザインを担当しています。PTA活動で彼女の才能が生かされたことが、新たなキャリアを得る追い風になったようです。

ほかにも印象に残っているのが、就業経験のなかったママのその後。若いころは「保育士になりたい」という夢があったそうなのですが、3人の子どもの育児に追われ、夢を諦めていたそうなんです。しかし、時間をやりくりしながらPTA活動を続けたことで「育児とPTAの活動をやりくりできるってことは、勉強する時間も持てるのかもしれない……」と一念発起。専門学校に通って保育士の資格を取得しました。

PTA活動で自身が持つ能力に自信を得て、未経験からホームヘルパーの仕事をスタートしたかたもいます。自ら「未経験可」の求人を見つけ応募して職を得たそうです。その後は、仕事をしながらホームヘルパーの資格を取得しています。

「負担」という視点で見られがちなPTA活動ですが、「キャリア」という視点で見てみることも重要です。活動を通して自分自身の新たな可能性に気づき、新たなキャリアへ踏み出すきっかけになるかもしれませんよ。


■取材・文/みらいハウス:福井良子
東京・足立区にある育児期の女性支援拠点「みらいハウス」のライティングメンバー。キャリアコンサルタントや不妊カウンセラーの資格を持ち、女性のキャリア相談や、不妊経験のあるママたちの支援などに取り組んでいる。1児の母。
構成:サンキュ!編集部


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