8年ぶりに再始動した5人組バンドの5曲入りEP。椎名林檎が報道や社会にまつわるテーマで描いた5つの詞に、5人が1曲ずつ作曲を手がけた。歌詞は、椎名林檎らしく句読点なく難読漢字を多用して難解だが、楽曲を聴きながら読めば感覚的に楽しめる。

 1曲目は浮雲作曲で、椎名林檎と浮雲が掛け合うミディアム調の『選ばれざる国民』。不平等な社会だと文句を垂れ流すのではなく、謙虚に生きれば良い事も…、と二人が軽やかに歌っている。浮雲の乾いた歌声も東京事変の大きな魅力。続く伊澤一葉作曲の『うるうるうるう』は、色気を感じさせるピアノロック。5曲中最も幅広く聴かれそうな王道J-POPだ。3曲目の『現役プレイヤー』は亀田誠治作曲のノリ良いロックチューン。スポーツのみならず、仕事や家事を始める前に聴けば捗りそうだ。

 4曲目の刃田綴色作曲の『猫の手は借りて』が最も異色かも。ややノイジーな演奏のロッカバラードで、尊大に振舞いがちな人間たちを猫が泰然と見つめているという設定が興味深い。確かに、あの冷静さは何かを悟られている気がしてきた。

 ラストは、椎名林檎の詞曲で、劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』主題歌向けにスリリングに仕上げた『永遠の不在証明』。冷静と情熱を使い分ける歌声や1分以上続く長い後奏から、往年の刑事ドラマへの敬意を感じさせる。本EPを聴きこめば、日常の景色からも意味深な真実を見出せるはず。

(ユニバーサル・1700円+税)=臼井孝