1月12日の成田空港。人が忙しく往来する出発ロビーの片隅で、今シーズンから米ツアーに挑戦する女子ゴルフの河本結に渡米前の意気込みを聞いた。

 昨秋に9位で最終予選会を通過した直後は「私のレベルで来季を米ツアーで迎えるのは不安。うれしさよりも心配の方が強かった」と少し弱気な胸の内を吐露したが、この日は違った。

 大きな目を輝かせ「いまはワクワクしかなくなった」と力強い口調で話し、ニコッと白い歯をのぞかせた。

 渋野日向子、勝みなみら国内ツアーを席巻する「黄金世代」の一人。昨年は3月のアクサ・レディースでプロ初勝利を挙げるなど8800万円余りを稼ぎ、ツアー1年目にして獲得賞金ランキングで堂々の6位に名前を刻んだ。

 平均バーディー数はツアー5位の3.6418をマーク。失敗を恐れずに積極的にピンを狙う姿勢が持ち味で、惜敗すれば人目をはばからずに悔し泣きするなど負けず嫌いな一面も最前線でのプレーを支えている。

 先輩プロからも才能を早い時期から認められていた。

 「黄金世代」について取材をした際、実力者のイ・ミニョン(韓国)は「河本さんが一番かな」と真っ先に名前を挙げ、「日本で一番。打つ強さ、メンタル、体力もある。スイングが美しくて、ドローとフェードをきれいに打ち分けている」と、実力に太鼓判を押していたことを思い出す。

 当初の不安が「ワクワク」に変わったきっかけは米大リーグ、ヤンキースで活躍する田中将大投手の言葉だった。

 オフに共通の知人とともにラウンドする機会があり、なぜ厳しい環境に身を置くのか尋ねてみたところ「自分のまだまだ知らない自分を知りに行く。成長を見るために」と、競争が激しい最高峰の舞台で奮闘する右腕に言われた言葉が心に響いたという。

 「結局、自分が挑戦したいから挑戦する。自分は自分で変わらない。自分らしさを貫いて、未熟な部分をいっぱい感じ取って大きくなっていけたらいいんじゃないかなと思った」と、迷いが消え去ったように明るい顔で説明を付け加えた。

 幸運にもツアー第2戦、ゲインブリッジLPGA(米フロリダ州)の出場権が転がり込み、そのチャンスを生かした。

 トレードマークのリボンで黒髪を結わえ、胸を張って颯爽とラウンド。第1ラウンドをいきなり首位と2打差の2位で飛び出し、最後は目標のトップ10入りとなる8位でデビュー戦を終えた。

 同級生で目標にしている畑岡奈紗が2位となった大会で負けじと存在感を示し「本当に楽しくラウンドすることができた。どこに行っても自分のゴルフを貫けるように頑張りたい」。手応えは十分にあったようだ。

 もう1年、日本で腕を磨くことを選択した渋野に「お先に」とばかりに、21歳にして海を渡る。

 その動機付けは、夢に描いてきた五輪出場を諦めたくないため。1月27日付の世界ランキングは日本勢5番手で出場圏内となる2番手以内に飛び込むのは容易ではないが、米ツアー前半戦で大暴れすれば大逆転もない話ではない。

 「可能性はすごく低いけど、できると思ってやらないとできない。小さい可能性でもチャンスだと思ってそれにかける」

 次はオーストラリアでの2試合に出場予定。チャレンジ精神と「ワクワク」がある限り、失敗もトラブルも含めてすべてが成長の肥やしになりそうだ。

早川 雄三(はやかわ・ゆうぞう)プロフィル

2000年に共同通信入社。ダイエー、楽天、西武などプロ野球を中心に取材。12年から5年間の米テキサス州駐在などを経て19年からゴルフ担当。埼玉県出身。