第61次南極観測隊で撮りためた写真特集の3回目は、昭和基地に入ったところからだ。基地での取材に加え、ヘリコプターで野外での観測作業に出る「ヘリオペ」であちこちに出かける。一口に南極と言っても昭和基地のある東オングル島もあれば、南極大陸の雪氷もある。好天の日もあれば荒れ模様の日もあり、さまざまな表情を見せてくれる。危険もあるが、どれもうっとりするほど美しい。(気象予報士、共同通信=川村敦)

 ①昭和基地で、上空の気温などを測るための気球を飛ばす気象庁から派遣された隊員。吹雪の日でも欠かすことはできない。この日は風が強く、気球をつかんで小屋からダッシュ。あいにく、手を離した直後に気球が破裂して失敗した。(1月4日)

 ②昭和基地から60キロ強離れた南極大陸上の「H68」と呼ばれる地点。360度、見回してみても雪と氷しかない。こんなところにも観測機器が埋めてあって、メンテナンスのために訪れた。晴れていて穏やかそうだが、実際には風が強くて震え上がる寒さだった(1月8日)。

 ③昭和基地のヘリポートにて。基地を離れて野外に出かける際に持って行く荷物は、観測用の機材はもちろん、テントや食料、可搬型のトイレなど多い。これは1泊2日、4人のパーティーで行ったときの荷物。えっさほいさと運ぶとけっこうな肉体労働だ(1月11日)。

 ④昭和基地から約20キロの「S17」の周辺。国土地理院の観測業務に同行した。GPSを頼りに雪上車に乗り、車を止めて雪を掘る(1月15日)。

 ⑤ここでは、雪上車の中に寝泊まりした。食事も雪上車の中で。持参した食料と酒でちょっとした宴会をするのが楽しい。洗い物ができないので、皿にはラップ。こうすると、食べ終わったらラップを捨てるだけですむ。明るいうちから飲んでいるように見えるが、これでも午後8時半ごろの明るさだ(1月15日)。

 ⑥ときには大荒れとなる南極の天気。ブリザードのような猛吹雪となれば数十メートル先も見えない。隣に止めている雪上車に移動するのにも、ガイドロープをたぐる必要がある(1月16日)。

 ⑦水面から顔を出して泳ぐアデリーペンギン。氷上をよちよち歩く姿は愛らしいが、水中では意外なほどに素早く動く。昭和基地から約25キロの「ぬるめ池」近辺にて撮影した(1月18日)。

 ⑧上述のアデリーペンギンは、ぬるめ池の泥を採る観測の同行取材の際に出会った。上空から見たぬるめ池の写真がこちら。手前が池で、画面奥の水面は海。海と池の間に、私たちはキャンプした。黄色いテントが見える(1月19日)。

 ⑨昭和基地から100キロ強の白瀬氷河。朝、基地でつくってもらったお弁当をお昼に食べた。氷河の上で食べるメシは格別なり(1月21日)。

 ⑩白瀬氷河の末端部を飛ぶヘリコプター。氷河は海に注ぎ、先端は割れて氷山となって流れていく。氷でできた渓谷だ=1月21日

 ⑪昭和基地にある発電機は、観測隊員の命綱だ。この日は計画停電といって、電気が止まったときの対応を確認する訓練を総出で行った(1月30日)。