大阪府泉佐野市をふるさと納税の新制度から除外するとした総務省の決定が30日、最高裁によって取り消された。「ふるさと納税で日本を元気に」のキャッチフレーズのもと寄付を呼び掛けてきた同制度。創設当初は伸び悩んだが、15年に制度を拡充してからは飛躍的に拡大した。一方で、寄付獲得競争の激化など制度のひずみが指摘されると国は法改正により高額返礼品を規制していった。今回の判決で改めて注目されるふるさと納税を巡る経過をまとめた。(構成、共同通信=松森好巨)

 ふるさと納税は当時総務相だった菅義偉氏が主導し、都市部に集まりがちな財源を地方に移すのを狙い2008年に始まった。その仕組みは、出身地などの応援したい自治体に寄付すると、2千円の自己負担を除いた額が所得税や居住地の住民税から差し引かれる―というもの。

 鳴り物入りでスタートした制度だったが、08〜14年度の全国の寄付総額は約77億円(09年度)〜同389億円(14年度)の間で推移し伸び悩んだ。そんな中、「地方創生」を掲げた第2次安倍政権で官房長官となった菅氏が再び主導し、15年度に制度を拡充。自己負担2千円で寄付できる額の上限を2倍に拡大し手続きも簡素化した結果、利用者は急増し18年度には約5127億円まで上昇した。

 ただ、制度拡充は自治体間の寄付金争奪戦を巻き起こす。牛肉や海産物など名の通った地場産品を売りにした自治体に人気が集まったほか、換金可能な金券や家電製品などを呼び水に寄付を呼び掛ける例も相次ぎ、「返礼品バブル」の様相を呈するまでになった。

 こうした流れの中、国は「制度の趣旨に反する」として〝制限〟を掛けだしていく。

 15年、総務省は返礼品としてプリペイドカードや高額商品の提供を自粛するよう要請。その後、17年に返礼品は寄付額の3割を上限とする目安を示し、翌年には返礼品を地場産品に限るよう求めた。ただ、いずれも強制力はなく一部の自治体はこれらの要請に縛られることなく多額の寄付を集め続けていった。

 自治体による自主規制に任せていた総務省だったが、18年以降は態度を一変。高額な返礼品によって多額の寄付金を集めていた自治体名を初めて公表したほか、野田聖子総務相(当時)が返礼品の法規制を表明した。そして、19年に返礼品を「調達費が寄付額の30%以下の地場産品」に限るとした改正地方税法を成立させた。

 国の〝強硬姿勢〟は法改正だけにとどまらない。改正を受けて19年6月に始まった新しいふるさと納税制度から4市町を除外すると決定。総務省の通知に従わず、過度な返礼品で多額の寄付を集めたというのが理由だった。4市町は泉佐野市に加えて静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町。その中でもやり玉に挙げられたのが、アマゾンギフト券を配布するなど大々的にPRし18年度の寄付総額が全国トップの約498億円を集めた泉佐野市だった。

 同市は昨年11月、総務省の決定は違法として除外の取り消しを求めて大阪高裁に提訴。返礼品の法規制が開始される前の実態を除外の判断材料としたのは、実質的に法をさかのぼって適用していることになり、裁量権の逸脱だと訴えていた。

 今年1月には大阪高裁で国勝訴の判決が言い渡されたものの、30日の上告審判決で最高裁第3小法廷は国勝訴とした高裁判決を破棄。泉佐野市の逆転勝訴が確定した。この判決によって、総務省は自治体が新制度に参加できる要件を定めたルールの見直しを迫られそうだ。

 新制度に参加できる道が開けたことになる泉佐野市。就任当初は財政健全化団体で「破綻寸前」という状態だった市を立て直してきたという自負を持つ千代松大耕(ちよまつ・ひろやす)市長は、最高裁判決前のインタビューで次のように語っていた。

 「ふるさと納税のおかげでやっと上向いてきた時に、総務省に紙切れ1枚で頭を踏みつけられた。許せないですよね。新制度が抱える問題点は今後も提言していきます。うちのスタッフは日本一のチーム。厳しい規制の中でも結果を残してくれると信じています。まずはレースに参加させてください」