若者として、平和のために何ができるだろうか―。被爆地、長崎で生まれ育った活水高校(長崎市)3年の山口雪乃さん(17)は、核廃絶署名を集める「高校生平和大使」として国内外で活動する。原爆や戦争を知らない同世代がいることに衝撃を受けたことが、今の平和活動の原点だと語る。(共同通信=磯田伊織)

 ―「高校生平和大使」は何をするのか

 核兵器廃絶を国内外に訴える高校生で、全国から公募で選ばれます。街頭で核廃絶を求める署名を集めたり、それを毎年、国連機関に届けたりしています。私は2019年に長崎選出の大使としてノルウェーを訪れ、ノーベル平和賞委員会を表敬訪問し、現地の学生と交流しました。

 ―ノルウェーでの交流はどうだったか

 現地の学生は初め、「ヒバクシャ」という言葉すら知りませんでした。でも、自分の今の活動や、被爆者である祖父が家や家族を失って苦労した体験を話すと「活動についてもっと聞かせて」「被爆したことは、おじいさんの今の生活にどんな影響があるのか」などと質問してくれて会話が弾みました。中には「どうしたら平和大使になれるのか」と尋ねてくれた人もいて驚きました。

 ―交流を通して感じたことは

 「今の若い世代は平和活動や核問題に関心が無い」と言われることがあります。でも、ノルウェーで改めて感じたのは、無関心なのではなく、興味を持つきっかけが無いだけなのではないか、ということです。

 日本でも同じことが言えると思います。私は生まれも育ちも長崎の被爆3世。小さいときから学校や家庭で被爆体験を聞いてきました。また、長崎の学校は毎年、長崎に原爆が投下された8月9日が登校日に設定されていて、夏休み中でも、その日は学校に来て平和を祈る集会を開きます。

 小学校高学年の時、佐賀県に住むいとこと何げなく学校のことを話していました。そこで初めて、他県では8月9日が登校日ですらないことを知り、自分の中の常識が崩れ、ショックを受けました。

 また、他県の学生との交流を通じて、世の中には長崎への原爆投下のことを知らなかったり、そもそも戦争自体を知らなかったりする同世代がいると知り、その存在はさらに衝撃的でした。

 ―若者に興味を持たせるためには何が必要か

 私が意識しているのは「自分がいかに話すか」のではなく「相手にどう伝えるか」ということです。原爆や自分の活動について一方的に説明するだけではなく、相手に意見を求めたり、言葉のキャッチボールをしたりしながら交流を深めるということです。

 ―なぜそれを意識するようになったのか

 私は高校でも、平和活動をする平和学習部に所属し、長崎に来訪した修学旅行生などと交流することがあります。終わった後に生徒たちから「つまらなかった」「眠たくなった」と直接言われたことがありました。

 自分と同じ若い世代がどうしてそう感じるのかを考えてみて、平和学習で「戦争は駄目だ」という分かりきったことを学ぶだけでは興味を持てないのではと感じるようになりました。それが相手との対話を意識するきっかけになったのだろうと思います。

 最近は新型コロナウイルスの影響で、思うように活動ができていません。オンラインに活動の場を広げる良い機会だと発想を転換し、会員制交流サイト(SNS)を用いて核廃絶についてわかりやすく伝える取り組みをしています。

 具体的には、他の高校生有志とインスタグラム、ユーチューブ、LINE(ライン)、ツイッターと計4種類のサイトを活用して、平和に関する記事を執筆しています。

 コメント欄に英語で「地球の裏側から応援している」とのメッセージも寄せられ、遠く離れた相手とつながれるのはSNSならではだなと感じました。

 ―今後目指すことは

 同世代として若者に平和を訴え、今何ができるのかを伝えたいです。実際に何か行動を起こしてくれるような人を1人でも増やしたいです。

 高校生の今だからこそやれることがあります。まずは若者同士の横のつながりをつくり、そこから核兵器禁止条約の発効に直接関わる権力者たちへのアプローチにつなげていきたいです。

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 やまぐち・ゆきの 2002年、長崎市生まれ。19年に高校生平和大使に選ばれた。活水高校3年で平和学習部に所属。