2025年に大阪市を廃止して4特別区に再編する「大阪都構想」の住民投票(11月1日投開票)で、地元の自民党は反対を訴えている。都構想の何が問題なのか、市議団の北野妙子幹事長に聞いた。(聞き手 共同通信=石原知佳、大野雅仁)

 

 ―都構想に対する自民党のスタンスを教えてください。

 私たちは反対の立場です。大阪市には現在、政令指定都市だからこそ持てる財源や国との直接交渉権があります。なぜこれらを手放し、府の内部団体のような存在になろうとするのでしょうか。大阪維新の会など賛成派が目指すのは、府による市の合併・買収(M&A)にほかなりません。

 ―2015年に続き、2度目の住民投票ですが。

 市民は前回の住民投票で否決し、既に民意を示しています。わずか5年後、しかも新型コロナウイルス禍の今、賭けのような大手術への賛否を問う必要はありません。感染拡大防止のため、住民説明会の回数は前回より大幅に減り、制度案の周知も十分とは言えません。

 ―都構想が実現すると、市民にどのような影響があると考えますか。

 市がなくなることのデメリットは多々ありますが、住民サービス低下もその一つです。賛成派は大阪府と市が作成した財政試算を根拠に「特別区が収支不足に陥ることはない」としていますが、試算は市民プールや老人福祉センターなど公共施設を削減することが前提になっています。コロナ禍による経済状況の悪化も見越していません。

 市が独自に行ってきた住民サービスも、税収が府に吸い上げられるため、いずれ削らざるを得なくなるでしょう。都構想には「やってみたらいい」という声もありますが、可決されれば二度と市に戻すことはできません。

 防災面でも不安があります。制度案では、四つの特別区庁舎の新設を見送った分、区外にある既存の市庁舎に多くの職員が勤務する区が出てきます。離れた場所にいて緊急時に迅速、的確に対応できるのでしょうか。

 ―賛成派は都構想により二重行政の解消と、住民ニーズに合った対応ができるようになるといったメリットを主張しています。

 いえ、むしろ市民の意思が反映されにくくなってしまう恐れがあります。成長戦略などの広域行政のほか、府に移管される予定の水道や消防は、市外選出議員が7割を占める府議会が決定権を持つことになり、市内選出議員が全員一致しても数ではかないません。

 大阪市が100年後、どんな都市を目指すのか。将来像を描くには、街づくりの権限を市民自ら持ち続けることが大事です。

 そもそも賛成派は二重行政の解消と言いますが、都構想が実現すれば4人の区長と、四つの区議会が誕生します。特別区が担う行政分野では、連絡や調整が今よりかえって複雑になります。全ての区で大阪維新が区長や議会多数派を握るなら別ですが、その想定は独裁につながりかねません。

 ―住民投票へ向けて、市民へ訴えたいことは。

 コロナを巡る対応で吉村洋文府知事の人気が上向き、大阪維新への支持は勢いを増しています。松井一郎市長は「否決されたら(現在の任期を 終えた後)政治家を引退する」と言っていますが、住民投票は知事や市長の人気投票ではありません。

 なぜ住民投票があるのかといえば、デメリットがあるからこそ、自己責任を負ってくださいということです。都構想を議会で止めることはできませんでしたが、制度の欠陥を正しく知れば、おのずと答えは「否」と出るはずです。もう一度、市民の手で阻止してほしいと願っています。

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 きたの・たえこ 1959年、大阪市生まれ。大阪大卒。2005年に初当選し5期目。19年5月から市議団幹事長。