東京五輪で初めて実施されるスケートボードの男子ストリートで金メダルが期待される堀米雄斗(XFLAG)が、拠点とする米国のロサンゼルスからオンラインで取材に応じた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で活動自粛を余儀なくされた期間に感じたスケートボードや来年の東京五輪への思いを語った。(共同通信=大島優迪)

 ▽「自分にはスケボーしかない」

 ―3月以降、感染対策のため外出が厳しく制限された。どのように過ごしていたか。

 ずっと家にいて、家の駐車場で滑っていた。縄跳びも試したけど、膝に痛みが出たのですぐにやめた。家の中ではスケボーの映像を見て新しいトリック(技)の想像をしていた。イメージを膨らませていたので、コロナが落ち着いた後は、すぐに練習に取り組めた。

 ―米国は新型コロナウイルスの感染拡大が世界で最も深刻。感染の恐怖はあったか。

 最初は大丈夫だと思っていたけど、周りのスケーターが感染し始めて恐怖心がでてきた。今は公共のスケートパークで滑るのは控えて、室内のプライベートパークで滑ることが多い。PCR検査を受けた人としか滑らないようにしている。

 ―いつも通り滑れなかった日々を振り返って。

 2、3カ月、パークに行けなかった。その時間が一番つらかった。スケボーができないと「暇だな」と思い、本当につまらなかった。改めてスケボーのありがたみを感じ、自分にはスケボーしかないんだなと思った。

 ▽差別抗議運動で新たな学び

 堀米は18歳から米国に拠点を置く。5月、米ミネソタ州で起きた白人警官による黒人男性、ジョージ・フロイドさんの暴行死事件をきっかけに黒人差別反対運動「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命も大事だ)」が全米に広がった。デモ隊の一部が暴徒化し、緊迫感も漂った。

 ―抗議デモが広がった光景を見て。

 米国に初めて来た時に「米国は日本と違って危ないところだよ」と言われた。僕の周りで危ないことが起きていなかったので大丈夫だと思っていたけど、抗議のデモが始まると、ロサンゼルスの中心部ダウンタウンのお店が壊され、警察車両もむちゃくちゃになっていた。日本と違い、怖いなと思った。

 ―女子テニスの大坂なおみ(日清食品)ら、積極的に人種差別へ抗議したアスリートもいた。自身の考えは。

 最初は黒人の歴史をきちんと知らなかったので、どうしてここまで大きな問題になっているか分からなかった。そこから友達や周りに教えてもらって、ツイッターに(「みんな違ってみんないい」と)投稿した。歴史を知らないで勝手に(自分の考えを)発信すると良くない。米国に来て常にいろいろと勉強させてもらっている。

 ▽東京五輪は「一生に一度」の大舞台

 堀米は技の独創性を高く評価され、2019年5月に始まった東京五輪予選対象大会では6戦を終えて2勝し、五輪ランキングで2位につける。五輪のスケートボード会場の有明アーバンスポーツパークは出身地の東京都江東区にある。来夏に延期された地元での祭典に向け、前向きに練習に励む。

 ―東京五輪への思い。

 一生に一度あるかないかの大きな舞台。出たいという思いがどんどん強くなっている。来年開催されるか不安もあるけど、ぜひ東京で開催してほしい。五輪で初めて採用されたスケボーの楽しさを伝えて、日本を盛り上げたい。

 ―大会を簡素化する動きもある。

 観客が少なくなるのは仕方がない。それでも生で見るのとテレビで見るのでは違うので、少しでも生で見てほしい。今まで(海外の大会で)アウェーの状況を経験してきたけど、五輪は東京であるので応援してくれたら力になる。歓声があると「もっと技を成功させよう」という気持ちが強くなる。

 ―東京五輪で披露したい新技のアイデアは。

 もう固まっている。絶対に決めたいという技が何個かある。今年は大会が少なく、プレッシャーもなく、好きなように練習できている。レベルがどんどん上がり、トリックもどんどん進化している。自分のスタイルで、オリジナルトリックを披露できたらいいなと思う。

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堀米 雄斗(ほりごめ・ゆうと) 父、亮太さんの影響で6歳からスケートボードを始めた。独創的な技を武器に世界最高峰プロツアーのストリートリーグで18年は開幕戦の日本勢初優勝を含む3戦3勝。昨季は五輪予選対象大会で2勝し、世界選手権は銀メダルに輝いた。右足前の姿勢で板に乗り左足で地面を蹴る「グーフィー」スタンス。21歳。東京都出身。