マンガ海賊版サイト「漫画村」をめぐり、小学館、集英社、KADOKAWAの出版大手3社が損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は元運営者に約17億円を支払うよう、巨額な賠償支払い命令を命じるも、元運営者は「一切払うつもりはない。逃げ切る」と語った。

【映像】「漫画村」元運営者、法廷内での様子

 原告側によると、著作権をめぐる民事訴訟の賠償額としては過去最大というが、元運営者は「反省していない。判決には納得していないが、自分自身に財産がないため、お金を取るのは難しいと思う」と語った。

 AZ MORE 国際法律事務所 大阪事務所の中川みち子弁護士は「賠償判決が出たとしても、本人が任意で払わない場合は、裁判所はそれを回収してくれない」と指摘する。「債権者側で財産を探して、強制執行しなければいけない。今回は民事裁判なので、お金を払わなくても逮捕されない」と説明した。

 民事だけでなく刑事事件での損害賠償命令でも実際に支払われたのはごくわずか。殺人で13.3%、強盗殺人で1.2%が現実だ。今回判決で下された額は約17億円だが裁判で出版社側が請求していた賠償額は19億円。支払い能力、さらには支払う意思が不明ななかなぜここまで多額の賠償金を請求したのか。

 中川弁護士は「(訴えた出版社は)これだけのお金を払わなければいけないという制裁を広めて、今後こういう人が出てこないようにという意義が大きい」と語る。

 元運営者は「たった20億円で済んだ。得たものの方が大きかったので、今後も広める活動を継続しようと思う」と語っているが、中川氏は「判決は10年で時効になるが、その前にもう一度裁判をすれば、その判決から10年有効になる」と説明する。

「繰り返していけば、ずっと差し押さえ可能だと言える。海外の財産を押さえようとすると、その国で手続きしなければいけないため、費用も時間もかかる」(中川みちこ弁護士)

 この話題について、文筆家・評論家の古谷経衡氏は、自分自身も名誉毀損の民事裁判に勝った経験があると語る。

「被告側は数十万円の支払を命じられたが無視して、1円も払わなかった。強制執行を申し立てたら、全額を回収できた。銀行のあたりを付けて、照会したら口座がある。裁判所へ行ったら差押命令が出る。日本で暮らしていて、どこの銀行にも口座がないことは考えられず、『余裕綽々に逃げられる』と言っているが、そんなに単純ではない」(古谷経衡氏)

(『ABEMA的ニュースショー』より)