文在寅大統領・NAVER創業者とも親しい?いずれGAFAを超えて時価総額No.1に?孫正義社長のビジョンとは

 13日夜に突如報じられ、IT業界を中心に大きな衝撃を与えたヤフーとLINEの経営統合問題。ソフトバンク側は翌14日午後、「本件を含め、様々な可能性について協議を行っているが、現時点で決定した事実はない」とコメント。夜になっても当のYahoo!ニュースとLINE NEWSのトップ画面では全く触れられていなかった。

 報道によれば、ソフトバンクはLINEの親会社、韓国のNAVERと同率の株を保有する共同会社を設立、その傘下にヤフーとLINEを収める案を検討しているという。ヤフーは9月、通販サイト大手のZOZOを買収。金融やPayPayなどの決済サービスに加え、ネット通販事業を強化。関連サービスの利用者は約5000万人に上る。一方、LINEは国内利用者8000万人を抱えるものの、LINE Payなどを含む新規事業などへの投資で赤字が生じている状況だ。両者の統合が実現すれば、ヤフーはLINE利用者層を顧客基盤に取り込むことが可能となり、LINEは経営体力の強化が可能になるとみられている。

 投資した会社の経営不振などから155億円の赤字を計上、中間決算で「ボロボロだ。真っ赤っかの大赤字だ」と話していたソフトバンクグループ総帥の孫正義社長の逆襲の始まりなのだろうか。14日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、ジャーナリストの佐々木俊尚氏、『東洋経済』の長瀧菜摘記者、そして“孫正義の参謀”とも呼ばれたソフトバンク元社長室長の嶋聡氏を招き、孫社長の意図を中心に分析してもらった。
 

■ジャーナリストの佐々木俊尚氏「東南アジアのマーケットに出ていくだろう」

 IT業界を長年取材してきたジャーナリストの佐々木氏は「孫さんのことは昔から取材をしてきたが、とにかく負け戦がこんできて“これはダメだ”と言われるようになると、急転直下でドカンとでかいことをやる。今、ビジョン・ファンドという巨大なファンドがWeWorkなどの要因で大変な危機に陥っているので、こうして無理やり乗り越えていこうとしているのだろう」と話す。 

 「LINEはすごく普及しているように見えて、実はあまり良くない状況が続いていると思う。確かにメッセンジャーアプリとしてはすごく強いし、LINE Payも資金をガンガン投入しているので強い。しかしECなど、外側にビジネスを展開していくという部分ではうまく行っていない。一方のヤフーは堀江さんも言う通り、スマホ分野では完全に乗り遅れた。そこで綺麗にシナジーが生まれるし、両者にとって得だと考えられる。中国ではアリババが始めたアリペイがあり、テンセントのメッセンジャーアプリWeChatのWeChat Payも広まっているので、孫さんとしてはこの2つが合体したようなものを作りたいのではないか。また、日本、中国、東南アジアはビジネスモデルのイメージが似ているものの、Facebookを真似できないように、欧米とはかなり異なる。そこで東南アジアのマーケットに出て、アリババ、テンセント、バイドゥといった軍勢と戦うということだ」。

 また、国内外のIT企業を取材する長瀧記者は「孫社長は昔から“タイムマシン経営”と言われてきたが、海外で成功・失敗した例に学び、日本で成功、あるいは失敗しないように先んじて手を打ってきた。目先のビジネスだけを見ると“本当に買収する必要があるのか”という疑問が出ても、孫さんはもっと先を見ていて、後からすると納得感があるものは多い」と指摘する。「やはりソフトバンク、ヤフー、LINEが同じ企業体になると、ものすごく強力だ。今後、メルカリや楽天はこれとどう戦うのか。特に楽天は携帯キャリア参入のための準備段階での問題や、楽天市場の出店者とのトラブルも報じられている。やはりZOZOの買収も含め、横から見ているしかなかったのでは」。
 

■“孫正義の参謀”ソフトバンク元社長室長「孫社長と文大統領、NAVER創業者は親しい」

 嶋氏は「皆さんはワクワクされているだろうが、私から見れば“そりゃそうだな”という感じだ。孫社長自身の方針は変わらない。自分が世界を変えるようなすごい発明をするというよりも、パラダイムシフトの方向性を見て、そこに合わせて取っていく。携帯電話を育てるというよりも、ボーダフォンを買収したり、まだスマホが普及していない段階でスティーブ・ジョブズと組んでiPhoneを日本に持ってきたり。また、孫社長には、“孫子の兵法”とかけた“孫正義の兵法”というものがある。自分でも“二乗の兵法だ”と自分で言っているが、それは「一・流・攻・守・群」という戦略だ。今回はそのうちの“一”で、つまりどれだけハードルが高くても、ナンバーワン、あるいは将来的にナンバーワンになる所と組む、あるいは買収して全てを押さえる。だから去年はトヨタと提携したしたし、今回はLINEと組もうとしている。“次はメルカリか”という声もあるが、アメリカですごく苦労していし、現時点で彼が手を出すとは思えない」と話す。

 一部報道によれば、韓国の文在寅大統領と孫社長が7月に会談したことが、今回のソフトバンクとネイバーの経営統合に関係しているのだという。

 「もちろんビジネスと政治は分かれているので、このことが直接関係するとは思わないが、孫社長と文在寅大統領は非常に近しい関係にある。大統領になる前に私がソフトバンクに連れて行ったこともある。また、孫社長はNAVERの創業者・李海珍氏とも親しい。今回の話が孫社長から持ち掛けられたものかどうかまでは分からないが、NAVERとしてはテンセントとアリババとどう戦う中で、もう一つ、攻めどころが欲しかったし、孫社長も2014年くらいからLINEの可能性を見て、組むということも考えていた。政治上の日韓関係も今は難しいが、ビジネス上で手を組むのは良いことではないだろうか。Yahoo!が上陸した時には、ソフトバンクが合弁会社のYahoo! Japanを作った。特にデータ資本主義の時代は1+1のシナジーが2にも3にもなる。両者が補い合い、相乗効果が生まれれば、NAVERとソフトバンクによる新しいビジネスモデルができるかもしれない。佐々木さんがおっしゃった通り、実は中国の方が進んでいるところがあるし、そこで日韓の企業が手を組んで、東南アジアに攻め込んでいくという構図かもしれない。孫自社長身は東南アジアだけにこだわっているわけではないと思う。ただ、2027年にも中国のGDPがアメリカを抜くと言われているので、まずは第一歩としてアジアを押さえていくということだろう」。

 そんなソフトバンクグループの死角として、有利子負債(連結)17兆円が指摘されており、S&P社は「投機的水準」と格付けしている。また、2年間でAIユニコーン82社に出資している「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の投資リスクも浮上している。

 「全部で10兆円からなるビジョン・ファンドはAIをテーマにしていて、そこに投資をしている。中国が世界で最も多くのベンチャーファンドを持っているが、それでも全て併せて3.8兆円だ。WeWorkが、Uberが、と言われるが、長い目で見れば“誤差”だ。孫の言葉に“迷った時ほど遠くを見ろ”というものがある。長期的にみれば少々のことは誤差だ。孫社長が考えているのは世界の時価総額トップ10に入り、さらにはベスト3に入り、ベスト1になること。その中では当然、GAFAもイメージしているはずだ」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
 


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