韓国の文在寅大統領は14日、新年の記者会見に臨み「韓国が日本をもっとも近い隣国と思っているという姿勢は確かなものだ」とした上で、輸出規制やGSOMIAの問題で悪化している日韓関係に言及した。

 また、その契機となった徴用工問題については「韓国政府はすでに数度にわたって解決策を提示してきた。日本もそれに対する解決策を提示しながら韓国と一緒に考えるべきだ。韓国が提示した法案と日本が修正し提示した法案をおいて、一緒に知恵を集めれば十分解決できる余地があると思う」と、日本政府に改めて対応を促したほか、日本企業の資産売却における現金化に関しても「強制売却で現金化が行われるまで時間的余裕があまりないので、(解決に向けた)日韓の対話がよりスピーディに促進されてほしいと思っている」と呼びかけた。これに対し菅官房長官は「韓国に対して国際法違反の状態の是正を引き続き強く求めていく考えに変わりはない」と従来の考えを繰り返している。

 昨年12月24日の日韓首脳会談では「立場の違いを確認し、対話を通じた解決が必要」と主張し、具体的な解決策には言及はせず対話を打ち出していた文大統領。AbemaTV『AbemaPrime』に出演した元在韓特命全権大使の武藤正敏氏は「文大統領という方は他国の首脳と会談している時にあまり厳しいことは言わない人。しかし行動は違うし、腹の中はまた別の考えがあったのだろう」と指摘する。

 「日本政府は立法府による法案についても、市民団体が出した日本が誤りを認め賠償し、教育することを前提とした共同協議についても“全く関心がない”というスタンスだ。にも関わらず、自分たちは“これだけ提案している。だから日本も協議に応じろ”と言っている。日本が全く受け入れられない案を持ってきて、“日本も協議に応じろ”と言っている。今回のことは日韓請求権協定を踏みにじる行為である以上、日本として受け入れてしまえば、日韓関係は振り出しに戻り、変な方向に行きかねない。日本政府としては、韓国が変わるまで頑として立場を維持する。そういう方針になっている」。

 現在差し押さえられている日本企業の資産は、三菱重工が商標・特許権(約7300万円相当)、日本製鉄が合弁サイクル会社の株式(約9300万円相当)、不二越が合弁会社の株式(約7300万円相当)となっている。これらを現金化された場合、日本は経済・金融分野における対抗策を取る可能性もある。

 「原告団は来月には資産の現金化に着手すると言っていて、裁判所がそれをどう判断するかだ。そして4月には国会議員選挙がある。今の文大統領は自分を支持する人たちに寄り添った政治しかできないので、現金化についてもある程度の結論を出さなければいけない。それは現金化に突き進むという結論になる可能性が非常に高いと思う。しかし、現金化という峠を越えてしまえば日韓関係は決定的に悪くなるし、日本としても対抗措置を取らざるを得なくなるだろう。日本は国際通貨なのでドルとも自由に交換できるが、韓国のウォンは国際通貨ではない。だから日本が助けてきた。もしそれを止めてしまったら、韓国企業のドル調達能力は落ち、韓国経済に打撃になってしまうと思う。心配なのは、日本が経済面で対抗措置を取った場合、高官が竹島に行くとか、あるいはオリンピックに旭日旗を持ち込んではいけないとか、福島周辺で競技をする際にはガイガーカウンターや食料は韓国から持ち込むといったことを言い出す可能性がある。そうなれば、せっかくの平和の祭典であるオリンピックが逆効果になってしまう」。

 また、文大統領は米朝・南北対話のポイントとして「楽観はできないが悲観する段階ではない」「東京五輪は一部、韓国と北朝鮮の合同チームで参加」とも述べている。

 「北朝鮮はアメリカが譲歩すれば交渉すると言っているので、決して良い方向に向かっていない。それでもこのようなことを言っているということは、韓国の外交は北朝鮮について現実離れした見方をしているということだ。今、文大統領は左派の長期政権を目指している。そのためにありとあらゆることをやっている。例えば政権と対決し、青瓦台の不正に食い込もうとしていた検察を骨抜きにしようとしている。また、今回の会見でも、文大統領が言いたいことを引き出すような質問がほとんどで、機微な質問が出なかった。これも言論が政権によって抑え込まれているからだ。まともに政権と対峙しているメディアは朝鮮日報と中央日報、そして東亜日報があるくらいだが、それでも朝鮮日報はオーナーのスキャンダルを取り上げられるなど、色んな面で圧力をかけられている。韓国の国民も、そんな文大統領よりも朴槿恵大統領よりまだましだという感覚があり、支持率が変わらない。このことも問題だ」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)