【AFP=時事】国連の世界保健機関は病気が流行するたびに、過剰反応をした、あるいは逆に行動が遅過ぎたなど、批判を受けてきた。だが今回の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)への対応ほど、強い非難にさらされことは過去にもほぼ例がない。

 WHOは2009年のH1N1型インフルエンザ流行時、騒ぎ過ぎだと言われた。その5年後、アフリカ西部でエボラ出血熱の感染が拡大した時には、対応が遅過ぎると批判された。エボラ出血熱の流行では、1万1000人以上が亡くなった。

 この反省から改革を行ったWHOは即時対応班を設置。コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が2度拡大した際には、支援に当たってきた。

 そのWHOが、昨年末中国・武漢で発生した新型コロナウイルスをめぐり、十分に迅速かつ強力な対応を怠ったとして、再び矢面に立たされている。

 中国の怒りを買うことを恐れて警告を遅らせた、パンデミック宣言が遅過ぎた、一貫した国際対応の調整に失敗したとの非難を浴びている。

 さらに、感染拡大を抑えるには公共の場の閉鎖の必要性が共通認識になりつつあるとみられる中、WHOはこういった措置に関しては指針を出していないに等しい。

 専門家らは、中国の初期対応には多くの批判材料があるという点では意見が一致している一方で、中国が新型ウイルスの遺伝子情報を速やかに共有し、拡散を食い止めようと強硬な封鎖措置を講じたことなど、同国が正しく行ったことを評価したという意味では、WHOは間違っていなかったという声も多い。

「初期段階で中国の過ちを指摘して中国を孤立させていたら、失策だっただろう」と語ったのは、WHOの予防接種プログラムを統括するアン・リンドストランド氏。

 中国政府の協力は必要不可欠だったとして、「テドロス(・アダノム・ゲブレイェスス<Tedros Adhanom Ghebreyesus>)事務局長は正しいことをした」という見方を示した。

 テドロス事務局長も、自身とWHOとが中国の圧力に屈したとする指摘を一蹴し、WHOが加盟諸国と築いてきた協力関係を強調。

 テドロス氏は今月の記者会見で「加盟国から何が来ようとも圧力とは受け取らない」と述べた。

 一部からは、今回の新型ウイルス感染症のパンデミックにより、真逆の問題が浮き彫りになったのではないかという声も聞かれている。加盟国の方こそWHOからの圧力を感じる必要があるにもかかわらず、そもそもWHOにそれだけの力がない、という指摘だ。

 スイス・ジュネーブにある国際開発高等研究所の世界保健センターのスーリー・ムーン氏は「テドロス氏とWHOはオーケストラを指揮しようと奮闘しているが、奏者らが協力していない」と話した。 【翻訳編集】AFPBB News