和歌山県田辺市龍神村東、上山路小学校の6年生10人は7日、自分たちの卒業証書に使うための和紙をすく作業を、龍神村安井にある紙すき工房でした。
 龍神村ではかつて、山路紙(さんじがみ)と呼ばれる和紙が生産されていた。戦後途絶えていたが、大阪から移住してきた造形作家の奥野誠さん(67)、佳世さん(68)夫妻=龍神村東=が復活させた。誠さんは山路紙を復活させたことにより、伝統工芸などの発展に顕著な功績を残した人に贈られる県名匠表彰も受けている。
 同校の6年生は、森林学習の一環として奥野さんたちの指導で山路紙を手作りしており、卒業証書作りも恒例になっている。
 紙作りは年明けから作業を開始。校庭の隅に植えている、和紙の原料となるコウゾ(クワ科)を1月に収穫、蒸して黒皮を剝ぐ作業などをして準備した。
 この日は工房に児童が集まり、白いコウゾの繊維から不要な物を取り除いたり、繊維を作業台の上でたたいて細かくほぐしたりする作業をした。
 証書の大きさの木の枠を水槽の中に入れ、繊維をすくい取って前後左右に傾けながら紙をすいた。適当な厚みになるまで繰り返し、途中で緑色の和紙で作った校章を中央に置き、厚みが均等になるよう仕上げた。
 紙すきを通じて児童に森林問題や環境問題にも関心を持ってもらいたいと、佳世さんによる講話で学習を締めくくるという。
 古久保昊君は「紙すきを体験としてするのはとても楽しいけれど、昔の人は仕事としてやっていたなら大変だと思った」、古田紗羅さんは「コウゾの刈り取りも結構力が必要だった。自分で作った和紙を卒業証書にできることはうれしい」と話した。
 すいた和紙は奥野さんたちで乾燥させ、証書の用紙として完成させる。