和歌山県は、県内の食肉業者でつくる「協業組合阪和ミートセンター」(和歌山市)に貸し付けていた「県中小企業高度化資金」について、回収の見込みがなくなったとして、債権(元金、利息、返済遅延の違約金)を放棄する方針だ。元金と利息の合計は14億8048万1900円で、過去2番目の大きさ。20日開会の県議会2月定例会に提案する。
 「県中小企業高度化資金」は中小企業が共同で経営基盤強化を図る際、県が必要経費を低利か無利息で支援する制度。原資の3分の2は「中小企業基盤整備機構」(当時・中小企業事業団など)から県が借りている。
 同センターに対しては、県は1992年から93年度にかけ、土地や建物、設備の購入、ソフトウエア開発の費用として5回にわたり、計約16億円を貸し付けた。最終的に2008年11月末までに元金と利息の返済が完了する契約だったが、センターの経営が悪化し、00年9月に休業状態となった。県は担保物件を競売するなどしてきたが、9割以上の約14億7千万円と利息約350万円が回収できていない。返済遅れによる違約金は確定していないが約31億円に上る可能性があるという。
 センターの連帯保証人(組合員)5人のうち、1人は死亡し、相続人も相続を放棄、残る4人が昨年9月までに破産したことから、県は法的に請求する先がなくなったとし、債権放棄の方針を立てた。県議会が議決すれば、県から基盤機構への返済も免除されることになっている。
■返済延滞80億円 18年度末時点
 県は1961〜2000年度にかけ、高度化資金として226組合に計約460億円を貸し付けた。このうち、県はこれまで7組合への債権を放棄、2組合が時効となり合計約34億8千万円が回収できなかった。放棄した額が最も多かったのは08年6月議会で可決された約22億4千万円(無利息貸し付け)。18年度末時点で返済が延滞しているのは、27組合約80億1千万円で、県は今後も請求権放棄の事案が出る可能性があるとしている。
 これと別に、県は県議会に、生活保護費の返還金・徴収金の請求権を放棄する議案も提案する。年金や交通事故示談金などの収入があったのに、生活保護費減額分を返納していなかったため。4人計約125万円で、1人当たり最高額は約60万円。また、県立こころの医療センター(有田川町)の入院診療費として患者2人の計約46万円についても、請求権放棄の議案を提案する。
 いずれも、本人死亡や相続人の相続放棄などにより、回収できなくなったためという。