国の文化審議会は19日、和歌山県新宮市新宮の観光交流施設「旧チャップマン邸」を、国の登録有形文化財(建造物)にするよう、文部科学大臣に答申した。県内の登録文化財(建造物)は、今回登録されることになった3カ所4件を含めると95カ所270件になる。

 旧チャップマン邸は、多くの文化人を輩出した「文化学院」(東京都)の創設に関わった同市出身の建築家・西村伊作(1884〜1963)=名誉市民=が設計し、1926年に建設された。
 チャップマン(1888〜1972)は米国長老派教会から派遣された宣教師。17年に来日し、20年〜40年の間、定住した新宮を基点としてプロテスタントの布教に努めた。住宅は西村の自邸(国重要文化財・旧西村家住宅)の筋向かいにあり、チャップマンは西村の家族とも交流した。
 邸宅はその後、所有者が移り変わり、旅館になった時期もあった。2015年、新宮市が取得して整備し、19年4月から観光交流施設として利用している。
 主屋は木造2階建てのスレートぶきの洋館。建物のほぼ中央に正面玄関・ホールを設け、そこを中心に各部屋へと通じている。
 1階は南東の部屋をリビングとし、南に半八角形のベイウインドー、西に暖炉を配し、北側はダイニングに続く。西村が提唱した居間中心型の住宅となっている。2階は階段ホールを中心として寝室、学習室、浴室などがある。
 今回、主屋と同時期に造られた敷地外郭の石垣と石段も、登録されることになった。
 県によると、この邸宅は西村設計の住宅機構の一つとして重要で、向かい合って立つ重要文化財・旧西村家住宅とともに歴史的景観を形作っているという。
 今回登録されることになった県内の登録文化財(建造物)は、チャップマン邸の主屋1件、同邸の石段、石垣1件のほか、県建築士会館(和歌山市卜半町)、北山家住宅主屋(同市和歌浦南2丁目)の計3カ所4件。