和歌山県印南町西ノ地の切目王子(切目神社)は近年来訪者が増えており、地元住民グループが近くの旧社地に整備した「切目懐紙なぎのさと公園」も含めた一帯で、案内板や地図などの設置が進んでいる。
 公園は現在の境内の東隣の高台にあり、住民グループ「ふるさとの昔を学ぶ会」(寺下鎮雄代表)が、旧社地を訪れて歴史に触れてもらいたいと整備した。土地は寺下代表の私有地で、地域の小学生たちに協力してもらい、植樹したり花を植えたりして整備し、一般に開放している。公園の名称は、後鳥羽上皇が催した歌会で11人が和歌を詠んでしたためた懐紙「切目懐紙(かいし)」に由来している。
 公園は現社地に隣接しているが、20メートルほど高い所にあり、以前は現社地から町道などを300メートルほど歩かなければ行けなかった。今年に入ってグループが階段を設け、最短距離で往来することができるようになった。
 案内板などの製作は、町の「印南まちづくり基金」を活用した。公園への階段が現社地境内の茂みで目に付きにくいため、公園へのルートを示す看板を境内に設置。公園のそばにある石柱碑(高さ約5メートル)には、史実についての解説を記した案内板(縦約90センチ、横約180センチ)を設けた。
 中世の切目王子社周辺の様子を表す地図の看板も作り、現在の神社の入り口の壁に設置した。社領地や熊野街道といった当時の様子とともに、現在の国道や周辺の地図も表記している。印南町在住の漫画家が考えた、切目王子にまつわる人物の想像図も描いている。
 切目王子は、熊野九十九王子でも格式が高いとされる五体王子の一つ。町によると、熊野古道紀伊路を歩く人の増加に伴い、見どころとしても認知度を高めているという。
 寺下代表は「近年神社を訪れる人たちにも、旧社地の存在はそれほど知られていなかったと思う。和歌に詠まれている植物などを育てている公園もあり、ぜひ訪れて歴史を感じてもらいたい」と話している。