和歌山県議会議員(元職含む)が過去に支出した政務調査費(現・政務活動費)を巡る住民訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。石井寛明裁判長は、一審判決の考え方を維持した上で、10人の計1444万円は違法な支出と判断。仁坂吉伸知事に返還を求めるよう命じる判決を出した。
■一審の考え方を維持
 「市民オンブズマンわかやま」のメンバーが2016年6月、政調費の使途の一部が違法だったとして仁坂知事を相手に起こした訴訟。控訴審の対象は10人で、11、12年度に支出したうちの一部。
 一審の和歌山地裁は19年9月、政務調査事務所が政党支部や後援会の事務所などを併設する場合、その数で案分した割合(金額)を超える人件費や光熱水費などは政調費の使途基準に適合しないと判断。10人の計1445万円が違法な支出だったとする判決を出した。その後、仁坂知事が控訴していた。
 控訴審と一審の違法認定額の違いは、山田正彦議員(自民、紀の川市)の5千円が減額された点だけ。残る9人分は変わらなかった。
 今回の判決は、事務所の数で案分する算出方法について「議員活動は多岐にわたり、活動の規模や経費などで大小を設けるべき理由はなく、合理的」と判断。また、基準に反する支出であることを推認させる一般的、外形的事実の主張・立証があれば、適切な反証がない限り、基準に適合しないと認めるのが相当との考えを示した。議員が支出の区別を具体的に説明することは「容易なはず」とも指摘した。いずれも、裁判で知事側が主張した意見を事実上、退ける形になった。
 控訴審判決を受け、原告の一人で「市民オンブズマンわかやま」事務局長の畑中正好さんは「裁判所としての判断をきっちりと示しており、内容の濃い判決だ」と評価。「県民のためにも、知事は速やかに議員へ返還を求めるべきだ」と話した。
 一方、仁坂知事は「判決書を受領していないため詳細は承知していないが、主張が認められず残念。上告するかどうかを含め、内容をよく検討したい」、県議会の岸本健議長は「議員の調査研究活動が認められず、誠に遺憾である」とのコメントを出した。