秋の行楽シーズンを迎え、政府の観光支援策「Go To トラベル」が和歌山県紀南地方でも一定の成果を上げている。宿泊客数が回復し、高価格帯の宿泊プランの利用者も増えているようだ。
 「Go To トラベル」では、旅行代金の35%(最大1人1泊1万4千円)を値引きし、15%分(同6千円)を地域共通クーポンで利用客に返す。事業は7月22日から開始。クーポンは遅れて10月1日から利用が始まった。
 あいにくの雨となった17日、白浜町の「ホテルシーモア」では、チェックインの受け付けを始める午後3時の時点で、大きな荷物を持った宿泊客が次々と来て、フロントの前には行列ができた。
 神戸市から家族3人で1泊の旅行に来ていた会社員男性(31)は「子どもが小さく、『Go To』もあるので、これまでの旅行よりは広い部屋を選んだ」と話した。
 白浜温泉旅館協同組合によると、加盟施設の9月の宿泊者数は約7万人。昨年同月は約8万人で、前年比では86%。ところが、1人当たりの消費単価は今年が約1万8千円で、昨年の約1万6千円より増えているという。
 組合では「(政府や県の観光支援などを)何も使わずに宿泊した人はほぼいないだろう。それだけ宿泊金額の高い施設や、高価格のプランを選んだ人が多かったのではないか。感染防止策のために例年より労力や費用がかかっていることは加味しないといけないが、明らかな(支援策の)効果だ」と分析。新型コロナを巡る事態が極端に悪くならない限り、10月以降も一定の期待はできるとみている。
 町内のある大型施設は「今年は高価格帯プランが売れているほか、連泊も多い」という。この施設では幅広く料金帯を設定しており、例年なら割安プランから埋まっていくという。
 幹部の一人は「9月以降は、日曜も宿泊して月曜にチェックアウトする客が増えた。新型コロナの影響で、生活の在り方が変わってきているのかもしれない」と話している。
 ただ「Go To」関連の客が増えると、宿泊施設側の事務処理も増える。クーポンも加わったことで「二重、三重に仕事が増えた」という施設もある。
 田辺市のある宿泊施設は「事業の事務局への報告事項が多い。クーポンを使用できる形にするのも手間がかかる。制度上の混乱もあり、振り回されている面はある」と話す。一方で「それでも、効果は大きい。いまは宿泊客数を制限しており、予約を断らざるを得ないこともある。コロナが収まっても当面延長してもらいたい」とも話した。
■忘年会にもGo To
 紀南の旅行会社でも10月に入って「Go To」を利用した旅行の申し込みが増えている。
 対象になるのは国内での宿泊、宿泊と交通費がセットのパッケージツアー、日帰り旅行プランなど。移動する交通費のみは対象外となる。
 田辺市下屋敷町の龍神観光によると、行き先は関西圏が多いが、北海道や沖縄、東京へのビジネス客も出てきているという。
 龍神観光では「団体客は激減しているが、個人客は動きが活発になってきた。日帰り旅行も対象で、バスを貸し切っての忘年会などでもお得に活用できる」と話している。