和歌山県田辺市の中辺路町観光協会(倉尾弘大会長)は、新型コロナウイルスの感染予防対策として、語り部が熊野古道を案内する際に活用しようと、送信機から複数の受信機に音声を伝達できるワイヤレスガイドシステムの機材を導入した。使用は町内観光を優先するが、市内で幅広く活用できるように貸し出しも計画しているという。
 市企画広報課によると、市町村が独自のコロナ対策に取り組める国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用した事業。市が各観光協会に対して500万円を基本補助額とし、コロナ対策で取り組みたい事業を募ったという。
 中辺路町観光協会ではその一環として、語り部が熊野古道を案内する際に「3密(密閉、密集、密接)」が発生するのを防ぐとともに、音声が明瞭に伝わることにより快適で安全なツアーも提供できるとしてワイヤレスガイドシステムの導入を計画。語り部が使う送信機を10台、観光客が片方の耳につける受信機を50台購入した。送信機から受信機がかなり離れても音声が明瞭に聞こえる性能といい、音量も調節できる。費用は約230万円。
 協会では、熊野古道の語り部だけでなく、大声で会話がしにくい神社仏閣や美術館などの施設内での案内、周囲の音で声が聞き取りにくくなる伝統芸能の演技解説といった場面で活用することも想定しているという。
 貸し出しは、将来的に機材の保守費用が必要になることから、安価での提供を計画。具体的な費用や申し込み方法は、決まり次第、町観光協会のホームページで紹介する。
 観光協会の宮井章副会長(53)は「コロナ禍の中、今後どのように観光振興に取り組むかを考え、密を回避しながら今よりも快適にツアーを楽しんでいただける方法として導入した。中辺路町内に限らず幅広く活用してもらえれば」と話している。
 問い合わせは、協会事務局の中辺路行政局産業建設課(0739・64・0501)へ。