和歌山県田辺市は28日、事務局を務めていた団体の口座などから計約650万円を着服したとして、市龍神行政局総務課の企画員(49)を懲戒免職処分にした。
 市によると、企画員は龍神行政局産業建設課と龍神教育事務所に勤務していた2015〜19年度、管理していた「龍神林業開発会議」「猟友会龍神分会」「龍神村体育協会」の口座から不正に引き出すなどの手口で計約489万円を着服した。19年度には教職員住宅の入居者から預かっていた浄化槽管理費約19万円を業者に支払わず、私的に流用していた。
 今年4月、龍神教育事務所で、龍神村体育協会の決算書類を作ろうとしたところ、帳簿や通帳がなかったことから前任者である企画員に確認。帳簿は翌月に提出されたが「通帳と一部の領収書を紛失したので、探し出してから返す」などと説明していた。
 5月下旬以降、企画員が体調不良を理由に休みがちになったことから、龍神行政局産業建設課が管理していた他の団体の通帳などについても提出するよう再三求めていた。
 9月になって通帳が返還されたが、残高が極端に少なくなっていたことなどをきっかけに調査し、不正な引き出しが明らかになったという。
 市は生活保護費詐欺で担当職員が逮捕された事件(16年)を機に、現金を取り扱う際は複数でチェックするよう指導しているが、徹底されていなかった。団体の通帳や印鑑を企画員が1人で保管したり、他の部署に異動後も会計事務を後任職員に引き継ぎしていなかったりと、管理体制もずさんだったという。着服が判明した一部の団体については、会計監査に市の幹部職員も関わっていたが、不正を見抜くことができなかった。
 さらに、企画員が市の業務とは別に会計管理をしていた「龍神村陸上競技協会」の口座から05年度以降、計約141万円を不正に引き出していたことも発覚した。
 市の調査に対し、企画員は着服した金を借金の返済に充てていたと話しているといい、未返還だった約450万円について、この日までに各団体などに全額を返還したという。
 市では16年に生活保護費詐欺事件、18年に水産事業での不正支出問題が発覚。そのたびに綱紀粛正に努めるとしてきた。この日の市議会全員協議会で、真砂充敏市長は「痛恨の極みであり、ざんきの念に堪えない。関係団体はじめ、議員並び市民の皆さまに心からおわびする」と謝罪。市長と副市長2人、教育長の給与を来年1月から2カ月、減給10分の1にする方針を示した。
 また、前龍神行政局長である龍神行政局総務課参事(62)、龍神行政局長(59)、龍神行政局産業建設課長(60)、龍神教育事務所長(58)を減給10分の1(3〜1カ月)の懲戒処分にした。教育次長(60)も戒告処分とした。