和歌山県すさみ町周参見で江戸末期に建てられ、線香の製造に使われた水車を復活させる企画を応援するため、地域の観光ガイドらが「有志の会」(仮称)を発足させる。会は保存や修復以外に、水車を活用するイベントを検討する。企画を発案した男性が取り組んだクラウドファンディング(CF)は、目標金額の100万円を超えた。
 27日に周参見の町施設で会合があり、会を発足させることが決まった。名称や規約をまとめ、年明け早々にも正式に発足させる。代表には、町観光協会長で町議の中嶋淳さんが就く。
 出席した町文化財審議会委員長の小倉重起さんは「復元計画にできるだけ協力していきたい」と話した。岩田勉町長も「時代は変わっても、残さないといけないものはある。手伝える部分は手伝いたい」とエールを送った。
 水車復活に取り組む男性は上富田町岩田、車用品製造業の井澗洸介さん(31)。姉で県職員(育休中)の山下桃子さん(36)も協力している。
 太間川沿いにある直径約5メートルの水車は、江戸末期の1864年に建てられ、1970年代まで使われた。井澗さんらの高祖父・和三郎氏が1910年に買い受けた。著しく老朽化しているが、近畿大学の藤井弘章教授(民俗学)によると、紀伊半島に現存する唯一の線香水車で、貴重。
 井澗さんらは、修復には3〜5年はかかるとみている。再び水車を動かして製粉や発電に使うだけでなく、熊野古道大辺路沿いでもあることから、観光拠点にすることも目指す。国文化財に登録されることも展望している。すでに測量や倒壊防止のための補強は終えているという。
 井澗さんは「多くの方々が応援してくれている。何が何でも成功させ、動く水車を見てもらえるようにしたい」と決意を新たにしていた。