2年に1度行われるビックイベント「プレジデンツカップ」。米国選抜と世界選抜がぶつかり合う同大会は、世界ランキングやツアー成績を元にした独自のランキングと、キャプテン推薦によりメンバーが選出される。今年はタイガー・ウッズ(米国)とアーニー・エルス(南アフリカ)をキャプテンに各国のトッププロがオーストラリアのロイヤル・メルボルンGCに集結する。


対抗戦は4日間行われ、初日にフォアサム、2日目にフォアボール。3日目はフォアサムとフォアボール、そして最終日にシングルス戦12マッチが行われ、各マッチの合計ポイントで競われる。松山英樹もメンバー入りしている世界選抜が勝利を挙げたのは、過去12回大会で1回のみ。それがロイヤル・メルボルンGCで行われた1998年大会だ。当時世界選抜メンバーとして参戦し、MVPを受賞した丸山茂樹が、大会の見どころやチームの裏話を語る。

■『オレたちは、アメリカで成功したぞ』という世界選抜のモチベーション
「世界選抜チームは、皆が米国でゴルフをして成功することを本当に志している。その中で、グレッグ・ノーマンでも“外国人”扱いじゃないけど、ちょっとやりづらい部分やコンプレックスというのも持っていたと思います。そういったものをひとつの力にして、米国チームを叩き潰すのは、ひとつの大きな目標だと思います。それに、それがある意味でアメリカへの恩返しじゃないけど、『アメリカで成功したぞ』とうのを98年にはすごく感じた」

■選抜メンバーに選ばれるのは、どれだけすごいこと?
「みんなで力を合わせて、世界1位の米ツアーの選手が集まった選抜チームを、我々海外勢が一丸となってやっつけるのは目標ですよね。そこでやり遂げたといわれると、米国に入っても評価される。

だから僕も、98年があったから2000年に米国にいっても『シゲキ、シゲキ』と言ってくれたと思う。それだけ、アメリカという国は代表選手へのリスペクトがすごく強い。ゴルフだけじゃなくて、NBAもメジャーリーグも、全部のスポーツがそう。そこで選ばれし人がすごいというのは、アメリカというスポーツ大国では感じてくれていると思う。

松山英樹も強いから選ばれるけど、それだけじゃない。その中で戦える、その中にいられることがそもそもすごいし、100人プロがいたら100人プレジデンツカップに出たいというと思う。その意味で、ライダーカップとプレジデンツカップの価値観は高いと思う」

■98年、タイガーに勝って変わったこと
「僕は(当時)、ダブルスでタイガーをやっつけたりしたおかげで、マッチプレーもわざわざ僕をあおりにくるお客さんもいたんです。どちらかというと、友達とベットしているかもしれないけど僕のほうがオッズが高くなるに決まっているじゃないですか、ダークホースなんだから(笑)。

そういう意味ではもしかしたら、1回でもタイガーに勝ったことがあると、そこにすごく注目してくれるのはアメリカのスポーツファンじゃないかな。とくに僕は小さいし、そういうのが一本背負いすると喜んでくれる。『ちっちゃいのにやるな!』とか、『ジャパニーズサイズ!』とかからかわれたこともあったけど、それはそれで面白いと思うし、笑って流したらあいつすごいな、応援してやるか、となるかもしれないでしょう(笑)」

■世界選抜がぶつける、米国への“コンプレックス”
「当時のメンバーのグレッグ・ノーマンとニック・プライス、スティーブ・エルキントン、コーチのピーター・トムソン。この人たちの圧がすごかった。とにかく、『今、俺たちは歴史を変える』と。あまりにもアツすぎて、どうしようかなと思うくらい(笑)。『歴史を変えるんだ!』と、夜のミーティングも一丸となってすごかった。

『オレはアメリカンドリームをつかんでやる』と心の中に持ってやっていたと思う。オーストラリアのノーマンも代表的な選手で、欧州ツアーでやっていても、ああはなれなかったかもしれない。アメリカで世界の強豪に打ち勝って、世界ランク1位になって強い選手といわれたからこそアメリカンドリームをつかんだ。それでも、どうしてもアメリカに勝てないコンプレックスに、プレジデンツカップで打ち勝ちたい。1週間一緒に過ごして、そんな雰囲気をすごく感じた。僕は、世界平和主義者で“みんな仲良く”とやっていたけどね(笑)」

■世界選抜チームのミーティングは… まるでNHK?
「チームミーティングの雰囲気は、最初は楽しくしていたんだけど、急に真剣に話し始めて。『今オレたちは、このチームで歴史を変えるときが来た』って。NHKみたい、すごいなって(笑)。

そういうアツいミーティングがワーっと始まって、みんなオーストラリアのVictoria Bitterというビールで乾杯する。『たたきつぶすぞー! おー!』みたいな。僕は飲めないから、みんながめちゃめちゃになっているのを“すごいなぁ”と思って見ていた。あの時は、まとまっていたんだよね。ノーマンがまとめて、トムソンはどちらかというとお父さんというか、ノーマンの兄貴みたいな感じで、『おまえらならできる!』と。

■米国選抜のほうがクール? 両チームの違いは食事にも…
「どちらかというと、アメリカの選手のほうがクールでばらばら。個別ではすごく強いんだけど、チームを組むと中々ハーモニーがうまくいかない。シングルスはやたらとパワーを発揮するけど、ダブルスになると相性が悪いのかなと感じるくらい。

あと、違いが大きいのはアメリカ選手は家族主義というところかな。我々はともにご飯を食べてなかよくしようとしていたけど、アメリカ選手はツアーに行っていても家族と過ごす。欧州の選手は選手どうしでごはんにいったり、アメリカ以外の選手はわりと選手どうしで楽しむ時間があった。

米ツアーに行ってわかったのは、独身は別だけど、家族ができるとずっと家族と一緒であまり選手どうしでいない。だからルームサービスの率がすごい多い。この部屋、選手だなとわかる。外にプレートが出ているから(笑)。

■世界選抜の強さは、キャプテンを筆頭にしたチームワーク
「当時は世界選抜のチームワークの強さを感じましたね。みんな相対的に仲が良かった。熱い思いがあって、誰もとやかくいうわけでもなく、キャプテンのために頑張ろう、という。一丸となってキャプテに対してこういうことをしてあげたいとか、感動的なことが多かった。選手として2回、副キャプテンで1回行ったときもそうだった。

とくに、ニック・プライスは人間性が抜群。選手の中でもナイスガイでいつもナンバーワン。アダム・スコットも。アーニーを筆頭に南アフリカの選手が強くて、みんな一丸となっていたから決断力が強かった。プライスという選手が尊敬されていて、彼のおかげでまとまっていた部分もあると思う。

今回のアーニーも同じような感じ。ルイ・ウーストハウゼンなんかは、彼のジュニアファンデーションから上がっていた選手だし、今年も雰囲気はいいと思う」

<ゴルフ情報ALBA.Net>