非常事態におけるエンターテインメントビジネスの可能性の一つが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため臨時休園中のテーマパーク、サンリオピューロランド(東京都多摩市)のファン向け動画にみられる。テレビのワイドショーなどでも取り上げていたから、見た人も多いことだろう。


公式YouTubeの動画は2パターンあり、一つは世界中で人気の看板キャラクター、ハローキティがステージに登場するもの。「みんなどうしてるかな。今日は私、本を読むね」と言って“オズの魔法使い”の朗読を始める。スタッフとともに、休業中の館内正装に励むキャラクターたちの姿が映された後、再びキティ。無人だったはずの客席にやってくるシナモン、バッドばつ丸。「来ちゃった」という声を聞いたキティは「みんなここが大好きなんだね」と、朗読を続ける。「休んでたって…虹はみんなの上に」としめられる。

二つめは、営業再開に備えて電球を交換したり、レストランの新メニューを開発したり、フロアや窓を清掃するスタッフに交じるたくさんのキャラクターたち。キティは、ダンスのステップを練習している。「休んでたって…ここにいるよ」というメッセージ…。

サンリオファンでなければ、ここまで読んでもピンと来ないかもしれない。だが、ネット上で話題になり、どちらも14万回以上視聴されている。「涙が止まらない」、「涙腺崩壊」などの書き込みも多く、ファンの心を捉えて離さないことがよくわかる。

完全室内型テーマパークであるサンリオピューロランドは、早々に臨時休園を決断。現在のところ、それを4月上旬まで延期している。そのあいだ、行きたくても遊びに行くことができないファンにとって何よりもうれしい動画配信。これにより、再開を心待ちにする気持ちはより強くなり、サンリオ商品への購買意欲も高まるだろう。

窮屈な自粛ムードが漂い、引きこもりがちな昨今。それを吹き飛ばしつつ、リスクを冒さずにすむエンターテインメントは大歓迎される。ファンたちが喜ぶのは当然だ。ファンへの優しく強いメッセージ。もちろん、サンリオにとっても存在をアピールし続けるという大きな意味がある。

プロの競技ゴルフの世界でも大会中止が続き、プロそれぞれが工夫して少しずつ発信を始めている。先週、このコラムで「ツアーのサイトで何ができるか」という内容のことを書いた。だが、その後もJLPGAのウェブサイトでは、数少ないニュースや記録、グッズ販売などがポツリポツリとアップされるという状況は変わっていない。

シーズンに入れば毎週、試合があり、様々な形でJLPGA唯一の財産である選手たちが露出できていた。だが、試合中止が続き、それができない今こそ、ファンを満足させ、“財産”である選手達を何らかの形で露出させる方法を考えないと、再開後、ファンやスポンサーが離れてしまうことにもなりかねない。試合を中継予定だった局が、様々な形でその枠を埋める番組に頼っている場合ではない。サンリオピューロランドのYouTube動画は、大きなヒントになるはずだ。

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