新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界各ツアーが中止となる中、一足早く再開の方針を発表したのが米国男子ツアーだ。4月16日には2019-20年シーズンの新日程が公表され、6月11日の「チャールズ・シュワブチャレンジ」から再開を見込んでいる。


一方で米国女子ツアーでは、大会でのウイルス検査実施の準備、会場や宿泊施設での安全確保のために、再開見込みをさらに1カ月遅らせ、7月15日とした。

米国男子ツアーは再開の根拠のひとつとして「ウイルス検査の拡充」を挙げたが、十分な判断材料とはいえない。再開後の4試合は無観客で実施する意向を示しているが、選手やキャディを含めて“必要な人員”は1大会当たり700〜800人。彼ら全員への検査の実施方法や、会場での感染防止策、入国・渡航規制がかかる中での選手への対応についても疑問が残る。

PGAツアーでは、これらに関してどのような経緯で再開見込みを決断したのだろうか。16日の新日程発表前に行われたリモート会見では、下記の内容が公表された。

以下、アンディ・パズダー(競技責任者)、タイラー・デニス(運営責任者)による質疑応答。
■6月11日にツアーを再開できると思う根拠は?
パズダー:我々の見解では、自信を持って下した判断。我々はウイルス検査が今後発展し、より受けやすくなると考えている。医療エキスパートに従い、指に刺して行うテストや抗体検査など、より大規模でより迅速な検査方法の開発に取り組んでいる。

最近FDA(米国食品医薬品局)が承認した唾液による検査にも注目しており、リスクを減らすための検査手順について、ツアー再開までの8週間でさらなる発展を見込んでいる。試合は無観客で行うのでソーシャル・ディスタンスは保たれる。前向きに考えてはいるが、今回の電話会議で110%開催の確証があるとは言えないが、6月2週目にツアーを再開できるという自信は持っている。

■「チャールズ・シュワブチャレンジ」について、州と現地当局の了解はとれているのか?
パズダー:まだ了解は取れておらず、個人的にフォートワース(テキサス州)の市長とは話をしていない。開催コースのコロニアルCCと冠スポンサーのチャールズ・シュワブとは日々連絡を取っており、現地のガイドラインに従って大会を実施する。

■ツアー再開に関して、選手からの反応は?
パズダー:私がこの状況下で励まされたのが、プレーヤーズをはじめとする大会中止を発表した際、選手たちがPGAツアーに対してだけでなく、大会やスポンサーなどへのサポートに尽力してくれたことだ。

全員がそうでないとしても、選手の多くはツアー再開に向けてベストを尽くしてくれている。彼らは、大会主催者たちがなるべく安全な環境でプレーを再開できるよう尽力してくれていることを理解してくれている。新日程の発表に続いて、多くの選手が自身のSNSなどで前向きなコメントを寄せていると思う。

■再開の日程決定についての経緯は?
パズダー:メジャー大会の中止や延期、五輪の延期よって全米オープン、全英オープン、そして五輪が行われるはずだった3週間でゆとりができた。何週間か前に、この機会を利用して5月18〜24日に行われるチャールズ・シュワブチャレンジでシーズン再開をする方向で推し進めていたが、3週間延期する決定をした。

この3週間で6月11 日の再開に向けて考える時間ができ、コロニアルCCでツアーを再開できる可能性をさらに高めることができると考えている。

■新日程の発表は、ゴルフやスポーツファン、米国民に希望を与えるものになると思うが、これに関してはどう考えている?
パズダー:全英オープンが中止になったのは非常に残念だが、全米プロゴルフ選手権と全米オープン、マスターズは延期が決定し、フェデックス・カップのプレーオフシリーズも1週間遅れで開催されることとなり、ゴルフファンからはポジティブな反応が返ってきている。

世界のスポーツファンが、米国でのライブでのスポーツ観戦を待ち望んでいることは分かっているが、今回の発表はそれに際して焦って下した決断ではない。安全に実行できると確信した場合のみ実施することは変わらない。もし、それに付随してファンに喜んでもらえるなら素晴らしいことだ。

デニス:補足すると、我々にとっての指針は地域にプラスの影響を与えられるかどうか。PGAツアーと、大会に関係する3000以上のチャリティ団体は、大会中止によって影響を受けている。それも我々が考えるべきことのひとつであり、コロナウイスル感染拡大の状況下で、救援活動に資金援助をするべく様々な計画を立てている。ツアーの再開を楽しみにしており、この状況下で最前線に立っている医師、看護師がいることをきちんと認識したいと考えている。

■RBCヘリテイジは1度中止になったが、再開に至った経緯は?
パズダー「五輪、全米オープン、全英オープンの延期や中止によって、スケジュール調整が柔軟になった。これにより、3週間遅れでのシーズン再開を決め、それ以前に中止となった大会についてももう一度見直す機会ができた。

大会の開催可否については、多くの要因が絡んでくる。例えば芝の状況。ご存じの通り、ハーバータウンGLは4月にRBCヘリテイジを行うために追いまきがされている。(練習日の)6月15日から確実に使えるようにするためには、夏の芝、バミューダ芝に迅速に移行できるかという確認を取る必要があった。サウスカロライナ州知事とも話をして、ヒルトンヒードアイランドの市長や、もちろん主催団体であるヘリテージクラシック基金とも話し、ヘリテイジをその週にリスケジュールすることの確認をとった。着地点が見つかり、再びスケジュールに組み込まれてよかった」

■米国は渡航規制をかけているが、現在国外にいる選手への対応は?
パズダー:現在、米国外に滞在している選手は25名だと把握している。また、米国外に住んでいるキャディが少なくとも35名。全員が海外渡航規制に該当するので、規制に関して今後変更があるかどうかも注視している。

インターナショナルメンバーには出場資格についても大きな影響が出る。試合が実行できた場合にどうなるか、資格確保のために十分なシーズン期間を提供できるか、もし最終的に出場資格を今シーズン、または来シーズンまで伸ばす決定が下された場合などについても考えなければならない。現段階ではこれ以上答えられることはない。

デニス:補足すると、大会ごとにリスク分析のチームを置いている。渡航、国境封鎖なども含めて、ツアーを実施する各地の調査を行っている。

■中止になった大会に関して、冠スポンサーや放送局などには払い戻しは行われるか?
パズダー「細かい数字には触れないが、紛れもなく経済的な打撃がある。PGAツアーに限らず放送局、冠スポンサー、賞金を稼ぐ機会を失った選手に大きな影響を与えており、大会組織に関してもそうだ。ツアーがサポートしている3000以上のチャリティ団体があるが、これらの団体の多くは中止や延期、無観客試合となった大会からサポートを受けている。そのため、チケットの売り上げやコースのホスピタリティがなくなることで、大きな影響を及ぼすことになるだろう。

日々、大会組織やスポンサーとともに、できるだけ財政的な影響を軽減させるよう努めている。世界的に財政危機を迎えているのは理解している。チャリティ団体への影響は我々に関してだけではない。この影響を軽減させるためにできうる限りのことを行っているが、多少の影響は出てしまうだろう」

――

上記の質疑応答の段階では、開催を決定した要因や、今後の方針については詳細が明かされていない部分が多い。米国内では新型コロナウイルスの感染者数が100万人を超えるなど影響は甚大で、残り約1カ月半でどのような意向が示されるのかが注視される。

※すべて4月16日(米国時間)の情報をもとに掲載

<ゴルフ情報ALBA.Net>