■おとなしいガマン夫は妻をわがまま・やりたい放題に育てる?
夫婦問題研究家の岡野あつこです。 ご紹介するのは、妻の横暴を許し我慢を重ねた夫が、妻に離婚を突きつけるパターンです。

わがままでカカア天下の鬼嫁タイプという妻に、黙って妻の言いなりになる、女房の尻に敷かれるタイプの夫。この組み合わせは、バランスがとれている間は相性も良いのですが、夫が我慢をし過ぎてしまうことによりパワーバランスが崩れ、妻のわがままな部分が次第に過剰になっていくケースがあります。

そして、いつの日か夫のストレスが限界を超え、堪忍袋の緒が切れるという事態に発展してしまうこともあるのです。

この場合、妻は夫が離婚したいと思っていたり、妻に対する不満があったりするなんて、あり得ないと思っています。というより、まったくそんなことを考えたこともないのです。

妻は、「この人は、私がいなくちゃダメなんだから」「私が本気で離婚よって言ったら、困るだろうなぁ」「私と離婚したら、この人は誰とも再婚できず一生一人だわ」などと思い込んで、夫に対しわがままに振る舞い続けてしまうのです。

■実例! 怠慢・暴言・鬼嫁へ夫の逆襲
私が実際に話を聞いた、妻に離婚を切り出したK雄さんの例をご紹介しましょう。

K雄さんは寡黙で実直なタイプのサラリーマン。K雄さんの妻は、K雄さんとは正反対の明るくおしゃべりな女性で、自己中心的過ぎるのが玉にキズ。K雄さんは数年前、長年勤めた大企業をリストラされ、中小企業に再就職したものの、それまでの年収の半分程になってしまいました。

妻は生活費の足しにと、気のすすまないパート勤めを余儀なくされたことからストレスが溜まり、もともとあったわがまま気質が爆発しました。

K雄さんが残業をして帰って来ても食事の用意もしない。K雄さんは残り物とごはんを自分でチンして食べる。妻は「私だってパートとはいえ一日働いて疲れているんだから」と、片付け・掃除もせず、部屋は荒れ放題のまま。家事は手抜きし放題。

土日は家事など家のことはすべてK雄さんに任せて、「主婦にも休日は必要よ」などと言い遊びに出かけてしまう。K雄さんの顔を見れば不平不満ばかり。

「あーあ。私貧乏くじ引いちゃった。何でこんな人と結婚しちゃったのかしらねぇ。ねぇ、黙ってないでさ、何とか言ったら? 悔しかったら前の会社にいた時くらい稼いで来なさいよ。男が掃除なんかできても何の得にもならないんだからっ」。

こんなモラハラわがまま妻に、K雄さんはとうとう我慢の限界を超えて、妻に離婚を切り出したのです。妻は一瞬動揺した表情を見せたもののK雄さんの話を本気にしなかったそうです。その後何度話しても妻は取り合ってくれない――。それでも、K雄さんの離婚への決意は固かったのです。

■「うちの夫が離婚したがるなんてあり得ない」という思い込み
K雄さんは弁護士に相談し、財産分与を放棄してすべて渡し、本当は自分がもらいたいくらいの慰謝料まで支払うことにして、弁護士から妻に話を持って行きました。弁護士が現れたことで妻は仕方なく話し合いに応じ、数回の交渉を経て、やっと離婚に同意してくれました。

私はK雄さんの話しか聞いていませんので、妻の心中はわかりませんが、「まさか、うちの夫が離婚を切り出すわけがない」と思い込んでいたようです。

もし本当にそうなら、妻が今までのことを反省し、これからは夫婦が協力し合い、思いやりを持って生活していくことを約束する、これが、この夫婦の一番の解決法だったのではないかと思います。私はK雄さんに、妻とよく話し合い和解をするのはどうかと勧めましたが、「もう離婚です」と譲りませんでした。

K雄さんの強固な態度に「次の人がいるの?」ともたずねましたが、「断じてない」と言いきりました。それならなおさら、K雄さん夫婦は、お互い素直になって話し合えたら、修復は可能なケースでした。

が、K雄さんも妻も、かたくなな性格ということもあって、残念な結果となってしまいました。ただ、男のプライド、男の我慢も限界があって、妻の心からの反省がない限り、維持はできないものです。

長い夫婦生活、夫婦関係では、妻が君臨していてこのまま一生行くかと思いきや、夫が反撃に出て、すべてをひっくり返すということもあるのです。また、このような夫婦関係から、離婚より先に、夫が他の女性に走るケースもあります。

夫婦関係に危機管理は大切です。あなたも、K雄さん夫婦の離婚劇をもとに、今一度夫婦関係を見直してみませんか?

岡野 あつこ(離婚ガイド)