■感染不安によるパニック……マスク買い占めやドクターショッピングに走る前に
新型コロナウイルスによる感染拡大を予防するために、毎日報道を通じて集団感染の回避、マスク着用の推奨、手洗い・うがいの徹底、テレワークの推奨、衛生管理の徹底などの注意が促されています。報道を参考にして、衛生と健康管理を十分に行うことはとても大切です。

一方で、こうした有事の際には、人々の感染への不安が過剰に喚起され、残念ながらパニック的な行動が起こりがちです。なかでも、トイレットペーパーやマスクの買い占めは深刻な問題になっていますし、発熱や咳症状がある人が検査を受けられない不安から複数の病院を回ってしまうといったケースも多数生じています。

■「自分も新型コロナかも……」 不安が強すぎるのは抑うつ的な気持ちも原因?
そもそも3月は季節の変わり目であるため、風邪にかかりやすい時期です。また、花粉症のシーズンでもあり、くしゃみ、鼻水などの症状も発生しやすい時期です。一般的な軽い風邪や花粉症による深刻ではない症状を「新型ウイルスのせいかもしれない」と過剰に心配しまうと、精神的エネルギーをかなり消耗してしまいます。

報じられている通り、風邪症状がある場合には自宅で安静にして養生すること。長引く症状が心配になる方は「帰国者・接触者相談センター」に相談して受診の検討をするなど、冷静な対応が求められています。このように、デマや一部の極端な報道、噂に惑わされずに冷静に対応するためには、確かなソースから情報を入手し、取るべき行動を把握しておくことが大切です。

参考になる情報としては、まず公式に発表されているものを確認しましょう。

・新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省)
・新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター(厚生労働省)
・新型コロナウイルス特設サイト(NHK)

何かに不安になりすぎると、ストレスから体の免疫力が低下し、かえって感染症にもかかりやすくなってしまう心配があります。ストレスが続くと免疫系にダメージを与えるため、ウイルスに対する防御力が低下し、感染しやすくなってしまうためです。

また、病気への心配は抑うつ症状も加速させてしまいます。うつ病の方に生じやすい極端な発想の一つに「心気妄想」があります。心気妄想とは、実際にはそうではないのに「自分は重篤な病気にかかっている」と思い込むことです。

少しくしゃみが出たり、だるさや疲れを感じたりするだけで「感染したのかもしれない!」と過剰に心配になってしまう場合、思考が抑うつ的になっているのかもしれません。

報じられているように、感染したとしても8割の方は軽症で済んでいます。何かしらの自覚症状がある場合は、医療機関の指示通りに自宅で安静にして、症状を悪化させないこと。そして、風邪であれインフルエンザであれ新型コロナであれ、周りの人にうつさないように配慮することが大切です。

■不安感に上手に対処する4つの方法
とはいえ、感染への不安が募る際には、どのように考え、行動すればよいのか、分からない方も多いでしょう。ここでは次の4つのポイントをお勧めしますので、ぜひ参考にしてみてください。

▼1. テレビやネットの情報を見て、一人で考えすぎないテレビをつけると一日中どこかのチャンネルで新型ウイルスの情報が報じられています。それを見続けていると、不安が過剰に掻き立てられてしまいます。まず、テレビのつけっぱなしはやめましょう。

インターネットやSNSでも情報ソースの確かではない情報が拡散され、不安を煽る情報があふれています。ずっと見続けるのは止めましょう。情報を見続け、一人で考え続けていると、冷静さを失ってしまいます。ソースの不確かな情報、噂レベルの情報に惑わされないようにしましょう。

▼2. 不安な気持ちは冷静な人に話し、フィードバックを受ける不安になったときには、気持ちを人に打ち明け、受け止めてもらうと心が落ち着きます。しかし、話す相手は慎重に選ぶことが大切。心配性な人、うわさに惑わされやすい人、混乱しやすい人、ネガティブ思考の人と話していると、より不安が掻き立てられてしまいます。

冷静で合理的な考えができる人に気持ちを打ち明け、意見を聞いてみましょう。感情に巻き込まれなくなり、今とるべき行動が明確になるでしょう。

▼3. 基本的な生活習慣を守る感染予防の基本は、衛生管理と健康管理です。衛生管理によってウイルスの侵入をブロックし、健康管理によって体調を良くし、体を丈夫にすることで、感染に強い体を作ります。

衛生管理は、マスクの着用、手洗い、うがいの徹底、ドアノブなど多くの人が触るものの清浄が基本。健康管理は、しっかり睡眠をとる、栄養バランスの良い食事をとる、適度に運動をして体力づくりをすることが基本です。

▼4. 生活を楽しみ、ストレスを解消するストレスがたまると体の免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。そのため、日頃からできるだけ明るい気分で生活し、ストレスを解消させることが大切です。前向きな人と話をする、楽しいことや好きなことをする、おしゃれをする、おいしいものを食べるなど、気持ちが明るくなることをすると、ストレスからすっと解放されます。

■どんな状況でも有益なストレスコントロール術を身につけて
新型ウイルスのように「目に見えないもの」の恐怖への対応力は、これからの時代、ますます求められていくものと思います。冷静な対応力を養い、ストレスを上手に解消していく生活術をぜひ身につけていきましょう。

▼大美賀 直子プロフィール公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。

大美賀 直子(公認心理師)