日本中が、世界中が、「混乱」と「不安」と「我慢」に包まれているような状況です。大人にしても先が見えない状況です。ましてや子どもも色々と不安を抱えているはずです。この状況で子どものより良い育ちのために大人ができることは何なのかについてまとめました。

■家庭により状況がそれぞれで違い、それに伴う対応も違う
今回の新型コロナウイルスによる影響は、地域によって違いがあります。「自粛」といっても感染の広がり方によって温度差があります。自治体や学校によってICTなどの環境も違っています。一人一台ずつタブレットが配布されている自治体もあります。逆にこれまでほとんどネットを使った授業などに取り組んできていない所もあります。

日本の公教育は、基本的に日本のどこに住んでいても「等質」なものを受けることができます。北海道の小学校でも、沖縄の小学校でも、もちろん東京の小学校でも、取り組むことは基本的には同じです。学習内容は法律で規定され、施設など基準で定められています。

そういった日本の教育において、現在は、ICTの環境だけでなく、教科書の配布、教員の対応など様々なものに違いが出ています。非常時なので、それの良し悪しは別として、自分たちが置かれている状況を把握することはとても大事なことです。

「あまり人が多く住んでいないエリアで人との密な接触はあまりない」

「近隣の公園には、人がたくさんおり、感染のリスクから遊びには行きにくい」

「自治体から配られたタブレットを用いて、ある程度の学習ができている」

「家庭にプリンターが無い」

様々な状況がそれぞれの家庭によって違います。ネット上にはたくさんの情報がアップされています。それらはどれも良いものであることが多いです。

ただ気を付けなければならないのが、「自分の状況に合っているのか」ということです。「頭痛」で苦しんでいる時に、「鼻炎」の薬を飲んでもあまり効果はありません。それぞれの家庭が置かれた状況はどういったものなのかということを確認し、それに合ったことに取り組んでいくことが大切です。

■大人も子どもも「考える」ことで、前に進んでいく
今回の新型コロナウイルスの流行は、これまで日本の人々が経験してこなかったことを経験しています。初めての経験も多く、従来のやり方のままでは通用しないものも多いです。

例えば「学校の一斉休校」がそうです。これまでの日本の近代教育において、今回のような対応はほぼ初めてのことです。調べたところ、第二次世界大戦の終盤、昭和20年に戦時下ということで、学校が休校になったことはあるようです。ただ今回の状況とは大きく違っています。

学校の関係では、内閣、文科省、教育委員会、そして学校などが、今回の対応において大きな混乱に陥りました。今、取り上げた組織はどこも「前例主義」が強いです。前のことを踏襲し、改善しながら次のものを作り上げていきます。その良さが発揮されることもありますが、今回のような未知のことに対しては弱さが露呈してしまいます。

そんな中で「考える」ことのできる組織は、こういった状況の中でもどんどん前へ進んで行っています。「今の状況で何ができるのか?」「何をすべきなのか?」を考え、前例に捉われず、素早く実行に移している組織があります。首長や学校長の決断で、子どもの学びや育ちを進めている所があります。非常時には通常時以上にその人の能力が見えてきます。

家庭も同様なのだと感じています。「学校や学童が長期に渡って休みになること」「世の中には感染のリスクがあふれていること」「子どもを外などで遊ばせにくいこと」などは、これまでの日本の社会では、ほとんど無かったことです。あまり意識しなくとも、生活ができ、子どもが育っていくことができていました。

それが一変しました。先程、例にした自治体や学校のように、各家庭でしっかりと「考える」ことで、子どもの学びや育ちを前に進めている家庭もあります。この状況をチャンスと捉え、様々なことにチャレンジしている家庭もあります。社会の状況、子どもを取り巻く状況は厳しいですが、「考え続ける」ことで、見えてくるものがあるかもしれません。

■子どもの育ちに親の心理状態は大きく影響
子どもも親も外出の回数が減り、家の中で過ごすことが多くなっています。こういった状況における子どもの育ちを考えた際、重要になってくるのが「親」の存在です。親の心理状態によって、子どもの育ちに大きな差が出てきます。

極端な例では、親がストレスを抱えたことによって、子どもへの虐待などが起こるというものです。実際、今回の新型コロナウイルスによる自粛などの期間に入ってから、子どもへの虐待が増えているという報告があります。これは、日本におけることだけでなく、世界的に問題とされており、ユネスコが警鐘を鳴らしています。

今回、大人も子どももこれまで経験したことがないことに直面しています。大人も大きなストレスを抱えている可能性が高いです。慣れないテレワークを子どもがいる家の中ですることは至難の技です。子どもが寝ている深夜や早朝に仕事をこなしている親もいることだと思います。閉鎖空間に長くいることもストレスになります。

子ども同様、大人にとってもストレス解消はとても大切になります。親が精神状態をある程度良いものに保つことで、それが子どもにも良い影響を与えます。

■体を動かすことは絶対にやめない
体と心は密接に関わっています。今回の状況でとても難しいのが、「子どもが体を動かすことがしにくい」ということです。感染予防の観点から公園を閉鎖している所もあります。

今の状況は「感染のリスクもあり外出がしにくい」状況に加え、「スマホやタブレットなどが普及している」状況です。子どもがゲーム漬け、ネット漬けになりやすい要素が揃っています。 親が意識をして、子どもが体を動かす機会を設定していかなければ、なかなか体を動かすことは難しいでしょう。

先程も書いたようにそれぞれの家庭で状況が違うので、その状況の中で定期的に取り組むことのできる何かを考えると良いでしょう。

その時、大前提となるのは「感染のリスクの低いもの」であることです。できるだけ感染のリスクを避けながら、子どもが体を動かすことができるものを探してみてください。現在、親も自宅にいる人が多いので、大人の運動も兼ねて、親子で一緒にできることだと更に望ましいです。

家庭の中での手伝いなども運動の一つと位置付けることも良いでしょう。犬の散歩は良い運動になります。また、ゴミ出しや掃除などを子どもの担当にすることは子どもが体を動かす良い機会となります。

今回の新型コロナウイルスへの対応は長期戦になる様相を示しています。私は長く学校に関わっていますが、日々の状況によって、その都度、学校教育活動が大きく変更になるような事態は初めてです。半月先の学校の様子がどうなっているのかが予想できない状況です。

この状況において、しっかりと子どもの「心」「体」「頭」の成長ができるように周りの大人はフォローしていきたいです。

鈴木 邦明(子育て・教育ガイド)