■ストレスにどう対処する? 外出自粛によるイライラ、不安、憂うつ感
新型コロナ感染症拡大防止のために続く自粛生活。今、求められるのは「ストレス対処力」です。メンタル面で次のような気持ちになっていないでしょうか?

・イライラを止められず、つい家族と衝突してしまう

・憂うつなことばかり考え、気分が暗くなっている

・気がつけば自分一人で頑張り、疲れている

・毎日ダラダラ過ごし、「今日も一日をムダにした」と後悔

・毎日に刺激が少なく、まったく面白みを感じられない

これらの傾向は、無意識のうちにとっているストレス対処法のバリエーションが乏しく、ワンパターンな生活になっていることが原因でも起こりがちです。いまこそストレス対処力を伸ばしていく好機と考えて、できることから工夫を取り入れてみましょう。

■ストレス対処法のレパートリーを増やす「コーピング」
ストレスに対処することを、心理学では「コーピング」と呼びます。コーピングにはさまざまなスタイルや分類がありますが、代表的なものとしては、問題への解決を試みる「問題焦点型コーピング」と、気持ちを楽にする「情動焦点型コーピング」という2つの分類があります。

大切なのは1つの方法に偏らず、レパートリーを広げること。つまり、ストレス対策はいくつも方法を試みて、ワンパターンな方法でマンネリ化しないようにしていくことが大切なのです。

ここでは、「問題焦点型」と「情動焦点型」の2タイプのコーピングの中から、自粛期間にお勧めしたい方法を提案したいと思います。

■「問題焦点型コーピング」とは……自己肯定感を上げるストレス対策法
何か1つ、この自粛期間で「誇れる目標」を立ててみましょう!

自粛期間の中では、おそらく多くの人が家の中でダラダラと時間を過ごしてしまうと思われます。そうしたなか、何か1つでも誇れる目標を達成できたら、自粛が空ける頃には自己肯定感が相当上がるはず。そうした目標を、まずは欲張りすぎずに1つだけ立ててみましょう。

たとえばこの期間、食べ過ぎと運動不足から「コロナ太り」をしてしまう人が増えます。

逆に、「自粛期間にやせる」という目標を立ててそれを達成できたら、自粛明けにぽっちゃりして現れた同僚や友人を横目に、自分に相当な自信を持つことができるのではないでしょうか? 「Mサイズのスカートを自粛明けにはく!」など、復帰後の颯爽とした自分を思い浮かべて、具体的な目標を立てると努力のしがいがあります。

また、何か1つ「賢くなる」のも自己肯定感を上げる良い方法。とはいえ、漫然と本をめくるだけだと退屈してしまう人は、「試験」などの勝負につながる勉強に取り組むのもよいでしょう。

社会人の場合、検定合格や資格取得を目指して勉強に取り組むのが一般的。学生の場合は、この自粛期間こそがライバルに差をつける絶好のチャンス! 敵が自堕落になっている間に猛勉強しておけば、次回のテストでごぼう抜きできるかもしれません。

自粛期間が空けて元の生活に戻ったときに「あんなに時間があったのだから、あれをやっておけばよかった!」と後悔しないように、何か1つ、誇れる目標に向けて頑張ってみましょう。

■「情動焦点型コーピング」とは……プラス思考を磨くストレス対策法
この自粛期間に「プラス思考」を磨いてみましょう!

自粛期間には、多くの人が深刻な報道を見て、マイナス思考になってしまうもの。そうしたなか、「プラス思考」を磨いていくと、自分が楽になるだけでなく、思考の袋小路にはまり込んでしまった友人や家族の気持ちを救うことができます。

プラス思考になるためにお勧めしたい方法は2つあります。

1つは、「ない」より「ある」を見出すこと。この状況だから「できない」ことではなく、この状況だからこそ「できる」ことを発掘し、それを味わい、深めていくことです。「外出できない」「人に会えない」に嘆くのではなく、こういう状況だからこそ「できる」ことは何かを考えてみましょう。

「部屋の片づけが徹底的にできる」「観たかった映画を徹底的に観られる」など、「できる」ことはたくさんあると思います。それらを見出し、「時間があるのはありがたい」という思いで取り組んでみると、自粛明けにはさっぱりした気持ちで再スタートできるのではないでしょうか。

プラス思考になるもう1つの方法は、リフレーミングをして「ラベリング」すること。リフレーミングは、1つの事実を別のフレームで見てみることで、その事実の印象を捉え直すことです。

たとえば、「ステイ・ホーム」を暗めのフレームで捉えると「家族と四六時中一緒にいるだけの退屈な期間」になってしまいます。同じ事実を明るいフレームで見てみると、どうなるでしょうか?

「神様がくれた人生の夏休み」「家族のあり方見つめ直し期間」などの言葉でくくれるかもしれません。このように、リフレーミングして浮かんだ印象をキャッチフレーズ化してラベル貼り(ラベリング)していくと、同じ状況への印象がガラリと変わります。

■同じ状況も捉え方次第! ストレスを溜めない思考と行動を手に入れて
長引く自粛によるストレスは誰しも辛いものです。まずは今回ご紹介したような「問題焦点型」と「情動焦点型」の2つのタイプのコーピングを試してみてください。ここから徐々にストレス対策法のレパートリーを増やしながら対処していくと、自粛期間も、自分を磨き、成長させるチャンスにすることができます。

非常事態は、個々人のストレス対処力が試されるとき。この期間にメンタルバランスを保つコツを少しずつでも身につければ、今後、普通の生活が戻ってきてからもきっと役に立つはずです。毎日をより向上させていくためにも、ご紹介したコーピングをぜひ生活に取り入れてみてください。

▼大美賀 直子プロフィール公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。

大美賀 直子(公認心理師)