死を待つだけだから…ある病棟を「ゴミ捨て場」と呼ぶ「終末期医療」のリアル

死を待つだけだから…ある病棟を「ゴミ捨て場」と呼ぶ「終末期医療」のリアル

妊娠出産の光と影を描いて反響を呼んだ『透明なゆりかご』。その著者である沖田×華さんの新刊『お別れホスピタル』は、終(つい)の住処(すみか)としての終末期医療がテーマだ。またも、命とは何か、人生とは何か、を考えさせる力作と、早くも話題に。

「知り合いのナースをはじめ、いろんな方から、終の住処となった病棟で繰り広げられる、患者さんたちの個性の強いエピソードを聞いていたので、以前から描いてみたいと考えていました。患者さんそれぞれの“人生の最期を、この病院で迎えることになったわけ”を描けば、その人の人生のドラマが浮かび上がってくるのではないかと思ったんです」

余命わずかなのに、死んでいくとは思えないようなパワフルな患者さんがいたり、家族と和解できないままお別れのときを迎える患者さんがいたり…。一話一話がリアルで、読む側の死生観をも揺さぶってくる。

「私自身は終末期病棟で働いた経験こそありませんが、やはり看護師経験があることは描く上で大きいですね。そのベースがあるから、院内でこういうことはあり得るだろう、こんなことは起きないだろうといった、エピソードやディテールに対する価値判断ができるのだと思います」

本作のヒロイン・辺見さんが働く×病院の別館には、回復が見込めない患者ばかりがいる。〈陰では“ゴミ捨て場”と呼ばれている〉という一文は衝撃的だ。

「実際にナースの知り合いから聞いた言葉です。強い印象が残っていて、作中で使いました」

その辺見さんは、以前もターミナルケアを行う病院で働いていたらしいことがわかる。

「『透明な〜』のときより主人公の年齢を上げて、中堅看護師にしたのは、それなりのスキルや経験を持った看護師ならではの悩みや葛藤、人間関係を描きたかったからです。『結婚や人生をどうするか。家族との関係をどうするか』といった、辺見さんくらいの年ごろの女性が持つであろう漠然とした将来の不安なども、回が進めば描きたいですね。また、辺見さんは“自立したナース”という設定なので、働く女性としての理想的なあり方も見せていければ…と考えています」

『お別れホスピタル』彼氏も親友もいないけど、ちくわとたまごという愛猫2匹に癒されて、日々がんばっている32歳の中堅看護師・辺見さん。看取りの現場で起きていることは…。小学館 591円©沖田×華/小学館

おきた・ばっか マンガ家。富山県出身。自身の発達障害を題材にした作品を発表、多くの読者の支持を得る。本作のほか「こんなに毎日やらかしてます。」「透明なゆりかご」を連載中。

※『anan』2018年10月17日号より。写真・中島慶子(本) インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)


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