立春も過ぎて、この冬一番の寒気が一気に到来。旭川は零下31℃とか! と思ったらその数日後には春のように温かい日が訪れて......、と気温差がありすぎて体調を崩しやすい今日この頃です。 “ヒート”と名付くものはすべて着込み、人気YouTuberたちのおしゃれ通信に逃避しながら気分だけ薄着コーデを妄想していましたが、海外セレブがこぞって行う強力な寒さ対策があるようです。それは温熱効果のみならずダイエットや美肌にも期待できる「水シャワー」! ハードル高い? ご安心を。超短時間、ある場所をめがけてピンポイント打ちで、ストレス無く水シャワーが出来るコツをばっちり検証してみました。効果のほどをそのメカニズムとともにご紹介します。

取材、文・土居彩 看板写真・Yumiko Sushitani

【マック・マインドフルネス時代の瞑想探し。「魂ナビ」が欲しい!】vol. 24

ブレイク中の自然派女優の美と健康の秘訣は、氷風呂。

いまアメリカでブレイク中の演技派若手女優のシェイリーン・ウッドリー。エミー賞受賞の海外ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』でもメインの重要な役を演じています。プライベートでは社会活動にも積極的だという彼女は、環境に気を配ってオーガニックコスメの『Juice Beauty』で洗顔。体は『PURE FIJI』のシュガースクラブでゴマージュし、毎日瞑想をするというナチュラルビューティ派です(1)。

そんな彼女は氷風呂に2、3分程度、もしくは我慢できるまで入浴するのだとか。温かいシャワーと交互にした冷温浴を三回繰り返し、「ビタミンCやエキナセアよりも風邪予防に効果的よ」と熱っぽく語ります(2)。

寒さは寒さで制することが出来るのか。

「寒さには寒さで制せよ」というこのスパルタメソッド。聞くだけで震えそうですが、これをサポートするような、1961年発表のアメリカ軍医療研究レポートがあります。その実験は男性をパンツ一丁にして一日8時間11度前後の場所に、計31日間過ごさせたというワイルドそのもの。ほぼ裸状態の彼らは実験開始から14日目には寒さに慣れ、以降震えさえしなくなったそう! (3)。

でもなぜ慣れた? 治験者は平均25歳の男性です。筋肉量が全く違うわけだから、女子なら絶対翌日風邪を引くわ。という拒絶が当然わき起こります。そこで注目したいのは生まれたばかりの赤ちゃん。新生児はお母さんの母体、つまり体温37度前後の常夏の楽園からいきなり20度程度という気温半分の世界に登場するわけです。しかも立つことも歩くこともできない筋肉状態で。なぜこのような急激な寒暖差に耐えられるのというのでしょう?

ぬくぬくにもダイエットにも強力な褐色脂肪細胞!

そこで体の保温に一役買ってくれるのが、赤ちゃんの体内にたっぷりある褐色脂肪細胞です。この褐色脂肪細胞、体温が急激に下がらないように、体の脂肪を燃料にして燃やすヒーターのような役割を果たしてくれます。つまりダイエットの強力な助っ人でもあるということ。ところが褐色脂肪細胞は、加齢とともに減り、20歳代ではすでに新生児の60%程度になってしまうのだとか(4)。

どんどん減っていってしまう褐色脂肪細胞ですが、寒さに応じて、大人になっても首と背骨の上のほうの褐色脂肪細胞は保持されるか、新しい褐色脂肪組織が作られることがわかっています(5)。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の梶村真吾教授がTimes誌に語るところによると、温度感覚は脳にチェックされますが、寒さは首から脳に流れる血液の温度で部分的に感知されるそうです。

そこで寒さに習慣的にさらされると、首の褐色細胞が形作られ、より活性化され、寒い気温でも快適に感じられるようになっていく可能性があるとか(6)。

薄着&細身で働き回る雲水さんたち。

個人の体験を振り返っても昨年の今頃、雪が降りしきるなかで禅寺の接心に参禅し、僧堂の寒さにパンチを食らいました。しかし、早朝から夜まで隣で静かに坐るほっそりした雲水さんたちの薄着ぐあいといったら!

そういえば、その禅寺である総持寺の祖院が舞台となった映画『MON ZEN(英題Enlightenment Guaranteed)』では、デコボコ兄弟の主人公たちの寺のお勤めは早朝水シャワーから始まっていたっけ。日々の修行の賜物で雲水さんたちの褐色脂肪細胞量は通常の人よりも多いのかもしれません。

極限状態の人体研究の権威からのアドバイスは?

とはいえ寒いのは絶対嫌! 「寒さには寒さで制せよ」というスパルタメソッドには未だ不安が残ります。そこで氷水に潜るような極限状態での人体の反応を研究するポーツマス大学の人間・応用生理学教授のティプトン博士の考察を合わせて参考にしましょう。

博士は、人間は体の他の部分を温かくしても、手足が冷たいままだと寒く感じてしまうものだと言います。ユタ大学の研究も、女性は男性に比べて(環境温度に左右されない内臓などの)深部体温の平均温度は高いけれど、手は男性よりも約3度も低いとか(7)。

ミランダ・カーも美容のためにやってます。

そこでお風呂で十分温まったあとに手足を避けて、この褐色細胞のある首の後ろあたりをめがけて水シャワーしてみましょう。ちなみにミランダ・カーも水シャワーの愛好者で「気分がシャキッとして、肌と頭皮にもいいのよ」と話しています(8)。

時間は無理なくまず5秒からスタート。滝行苦行状態にならないために、その前にお風呂でじゅうぶん体を温めておくのがポイントです。ちょこっと冷シャワーの後は再び温かいお湯にドボン! これを女優シェイリーン・ウッドリー流に温冷繰り返し3回行います。実際やってみて初日に気づいたのは、冷シャワー後にお風呂に浸かると手足の末端の血行がじんじんして体が芯から温まるということです。夜もぐっすり眠れましたよ!

挙げだすとキリがありませんが、冷シャワー愛好家のひとりに人気自己啓発家のトニー・ロビンスがいます。彼も「リンパの巡りを良くして免疫機能を高めるんだ」と語っています(9)。運動いらず、道具いらずでダイエットや美肌にも効果が期待できるこの水シャワー。頑張りすぎてストレスにならないように、まずはちょこっと数秒からスタートして、あなたも無理せず習慣化できる範囲で取り入れてみませんか。

土居彩

編集者。東京の薪割り暮らしを綴るブログ『東京マキワリ日記、ときどき山伏つき。』。株式会社マガジンハウスに14年間勤め、anan編集部、Hanako編集部にて編集者として、広告部ではファッション誌Ginzaのマーケティング&広告営業を務める。’15年8月〜’17年5月、カリフォルニア大学バークレー校心理学部にてダチャー・ケトナー博士の研究室で学ぶ。’18年9月〜’19年1月、7月、ニュー・メキシコ州サンタフェにあるウパヤ禅センターに暮らしながら、ジョアン・ハリファックス師に師事。現在は、書道家・平和活動家、禅研究家の棚橋一晃氏の著書『Painting Peace(平和を描く)』(シャンバラ社)、芸術家で社会活動家の小田まゆみ氏の『Sarasvati’s Gift』(シャンバラ社)を翻訳中。

参考
1.https://www.nytimes.com/2019/05/28/style/shailene-woodley-big-little-lies.html
2.https://www.peoplemagazine.co.za/celebrity-news/international-celebrities/shailene-woodley-swears-ice-baths-are-key-to-keeping-healthy/
3. https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/jappl.1961.16.6.1011
4. https://www.shiseido.co.jp/nouchoulab/team/04/01/
5. Anouk A.J.J. van der Lans, Patrick Schrauwen, Wouter D. van Marken Lichtenbelt(2013). Cold acclimation recruits human brown fat and increases nonshivering thermogenesis.
J Clin Invest. 2013;123(8):3395-3403. https://doi.org/10.1172/JCI68993.
6. https://time.com/5712904/adjust-to-cold-weather/
7. https://time.com/3685138/cold-all-the-time/
8. https://stylecaster.com/beauty/cold-shower-benefits/
9.https://www.tonyrobbins.com/health-vitality/the-power-of-cold-water/