憂鬱な時期を、体質別養生で快適に。中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「肩こり」です。

日々デスクワークをこなす人にとって、肩こりは切っても切れない悩み。首の痛みや頭痛などに発展してしまう前に、しっかり養生しましょう。

中医学では肩こりは、血(けつ)の巡りが悪くなった状態、「お血(※)」によって起こると考えられています。血は体に潤いや栄養を運ぶ物質ですが、食事の偏りや疲労、寝不足、血自体の不足によって流れが滞ると一部に溜まり、それが筋肉を圧迫して凝りの原因に。血と血液は本来は少し違う概念ですが、この場合はほぼ同じと捉えると分かりやすいでしょう。

そもそも人間の肩の筋肉は、腕の重量に対してかなり小さめ。かつて四足歩行だった時の名残と考えられていますが、その少ない筋肉で重い腕を支えているために血流が滞りやすく、もともと凝りやすい場所なのです。お血を流して肩こりを解消するには、肩から上に腕を上げて、腕の重さから肩を解放する時間を増やすことが第一。この動きは意識しないとなかなかできないものなので、デスクワーク中も気づいたら伸びをするなど、まめに動かすように心がけてくださいね。僕もセミナーを始める時は、参加者のみなさんにまず伸びをしてもらっています。

肩甲骨の間を温めて、血の巡りをスムーズに。

その上で、お血対策には体を温めるのも有効です。背中のやや上部・肩甲骨の間は肩の筋肉の働きに関係するだけでなく、体を元気にするエネルギー「気」の取り入れ口がある大事なところ。首筋からここまでを冷やさないように心がけ、家なら熱めのシャワーを当てるという方法も。もちろん、余裕があれば湯船に浸かって全身を温めるのが一番です。

また、血を巡らせるための「活血食材」もしっかり摂りましょう。あずきや黒豆、黒砂糖などの黒っぽいものやプルーン、クランベリーなど赤みのあるものには血を押し流す力があります。うなぎや鮭、さば、酒粕や甘酒にも同じ効果があり、おすすめです。

肩こりに限らないことですが、多くの不調はちょっとした不摂生の積み重なりが原因。つまりそれは、好転させるカギは常に身近にあるということでもあります。肩が凝る前に、腕を高く上げてリラックス。調子が悪かったら少しだけ早く寝て、血をゆったりと巡らせる。小さな心がけで、長年の肩こりを解消しましょう。

さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。中医学の心得や養生法をゆるくつぶやくツイッターが人気。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書・著書多数。

※「お血」の「お」は病垂れに於

※『anan』2020年4月1日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子

(by anan編集部)