中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「夏冷え」です。

体の中心を温めて、夏の冷えを撃退。

気温も湿度もさらに高くなるこれからの時期、一気に増えてくるのが「夏冷え」の悩みです。かつては夏の健康問題といえば暑さから来る「夏バテ」がメインでしたが、いまは一日を通して冷房が効いた空間で過ごす時間のほうが長い時代。加えてコンビニや自販機などで、冷たいものがいつでも手に入ります。外気温が高くても体は冷える一方なのが、いまの生活です。

手足の冷えを自覚する人が多いようですが、実は内臓も相当冷えています。内臓の冷えは疲労をもたらすだけでなく、体の抵抗力を下げて夏風邪などを引き起こす「邪気」を呼び込む一因にも。本格的に冷房シーズンに突入する前の対策が肝心です。夏冷えを自覚している人は早めに養生を始めましょう。

冷え冷えの室内では、お腹と腰にカイロを。

まずはできるだけ体を冷気から守ることが必要ですが、なかでも大切なのがお腹を冷やさないこと。中医学で腹部は「血」が集まる「血府」のひとつであり、ここを温めることで体じゅうに温かな血を巡らせることができます。冷房の効いた部屋に一日いる必要があるときは、お腹にカイロを。このとき、熱の生産を司る「腎(じん)」がある腰にもカイロを貼るとさらに良いでしょう。体全体を効率的に温めることができます。

一日の終わりには、短時間でいいので湯船で体を温めるのがおすすめ。冷気は、放置すると徐々に体に溜まっていきます。その日の冷えはその日のうちに取り除くのが養生のコツです。ナイトウェアも、お腹を冷やさないものを。腹巻きはお腹も腰も温められる、夏冷え予防にぴったりのアイテムです。ぜひ習慣にしてみてください。

そのだるさや疲れは、冷たいものが原因かも?

そして、冷えた飲み物などはやはり控えるのが賢明。胃腸を司る「脾」は体を守る気を作る工場でもあるのですが、冷たいものの摂りすぎはこの脾をてきめんに弱らせます。結果、最初にお伝えしたように、抵抗力が落ちて邪気が入りやすくなってしまうのです。

人間の体は本来、自然界にある季節の食べ物を欲するようにできています。アイスクリームやキンキンに冷えたビールは、いわば人工物。つい手が伸びる時期ではありますが、毎日となると胃腸には大きな負担をかけてしまうことを、どうかお忘れなく…。

さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。

※『anan』2020年6月10日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子

(by anan編集部)