季節の変わり目は風邪を引くなど体調を崩しやすいといわれています。そこでいま注目されているのが菌活。漢方薬剤師の大久保愛先生が、腸内細菌と口腔内細菌の両方に働きかける簡単な方法をお伝えします。腸内も口腔内も環境を整えて、万全な体調で秋冬を迎えましょう!

文・大久保愛

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 75

抵抗力を身に着けるために菌活しませんか?

立秋がすぎ、太陽の位置が秋の配置に移り変わりました。1か月前の暑さが嘘のような涼しさを感じますね。また、漢方の陰陽五行の考え方で一年を大きく「陰陽」の二つに分けると、春分の日から秋分の日までを「陽」、秋分の日から春分の日までを「陰」の時期と考えます。ですから、この時期は春の気候の変動が大きかった時と同じように体に負担のかかりやすい時でもあるのです。

春にイライラしたり風邪を引いたり調子が崩しやすい人は、この時期にはひとりの時間が必要と強く感じ内向的になったり、咳が止まらず風邪を引いたりと心と体の不調を感じやすくなっています。ただある程度、大きな季節の変わり目としてしかたのないこと。そこで、大きく体調を揺さぶられないよう病原菌の侵入から身を守る力をつける食薬(※)習慣をしていくことが大切です。今週は体の防御機能を高めるために、ハーブでできる菌活を紹介していきます。

今週は、菌活の第一歩としての食薬習慣

暑い夏にようやく終止符を打った秋分の日。ついこの前まで煩わしい湿度と暑さにバテたり、自律神経を乱したり、熱中症気味になっていたかと思うと、急に肌寒い乾燥した空気になり、アレルギーや喉からくる風邪が流行るシーズンになります。ただ、喉のからくる風邪を引いてしまったとしたら、例年以上に疎まれることだと思います。

そこで、病原菌が体に侵入するときに通過する、粘膜に存在する細菌叢(そう)を正常に保つことが大切です。腸内細菌が近年注目されていますが、口や鼻、喉にも細菌叢は存在し、細菌たちがバランスを保ち病原菌の侵入を防御することに役立っています。

そのため、腸内細菌に加え口腔内細菌にも注目が集まっています。そこで今回は両方に対して働きかける食薬を紹介していきます。東洋医学では、体の防御機能の低下は「衛気」が不足していると言われています。そこで、今週は「衛気」を強化する食薬習慣をお伝えします。

今週食べると良いのは、【生姜・クローブ】をお好みのお茶にトッピングすることです。

今週食べるとよい食材:生姜・クローブ

生姜とクローブをお好みのお茶にトッピングします。特に、秋になると水分の摂取が不足しがちになり口腔内粘膜が渇き、バリア機能が低下したり、腸内の水分が不足し便秘になることで、免疫の低下を感じる人が多くなります。そのため、水分摂取をしつつ、体の抵抗力をあげるものを選ぶのがおすすめです。

食べるとよい食材:クローブ

クローブには、強力な抗菌作用と胃腸の働きを助ける働き、鎮痛、咳止のほか、歯肉炎・止痛・口臭予防などの口腔空内のケアなどが期待できます。

食べると良い食材:生姜

生の生姜には、強力な抗菌作用、抗炎症作用、抗酸化作用、胃腸の働きを整える働きなどがあります。加熱した生姜は血行を促進し、体を芯から温める働きがあります。漢方でも、咳止め、解熱、健胃、冷えの改善などに使われます。

季節の変わり目に体調を崩しがちな人は、いつものお茶にクローブ・生姜などをプラスしてみてくださいね。さらにレモンを添えるのも効果的です。レモンには、胃腸を刺激する作用があります。柑橘系の香りにはストレスを緩和する作用があります。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 1か月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

information

大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、近著に『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』がある。
公式LINEアカウント@aika

『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。

最新刊『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。

©Westend61/Gettyimages
©Drazen Zigic/Gettyimages
©Dougal Waters/Gettyimages