「自分に自信があります」と言い切れる人は、きっと少ないはず。ままならないことが多い時代にあって、どう自分を保っていけばいいのか、むやみな“ポジティブ信仰”とは違う、しいたけ.さんからのメッセージです。

少し前から、世間の慢性的な「自己肯定感の低さ」が気になっていました。でもそれを「自分の弱さも受け入れて、肯定していこうよ!」とライトに片付けるのは違う気がしていて。というのも、自分を肯定できる強さは、幼少期から家族にわかりやすく愛されて育ったという「基礎の栄養」がとても重要だから。でもそれは運に近いものでもあって、本人の意思と関係なく栄養不足になることは往々にしてあるわけです。ではベースの栄養が足りない場合、どうやって自分を肯定していけるかといったら、僕は「自己満足」がカギになると思います。日々、小さな満足や幸せを積み重ねて生きていくことで、不足分は補えると思うのです。

むずかしい話ではないですよ。たとえば、僕はBSの『町中華で飲ろうぜ』という番組がすごく好きです。玉袋筋太郎さんたち出演者が、町にある普通の中華屋さんで食べて飲んでだらだらしゃべるという、それだけの番組なんですが(笑)、とても面白いし人気があります。町中華に代表されるようにBSの番組って、やりたいことをほとんど趣味で追求しているイメージがあって、誰かの評価や視聴率を過度に気にしていない感じがいい。制作者側の「町中華」に対する「こういうのがいいんだよ!」という愛が非常に強くあるのも共感を呼ぶ大きな理由だと思います。

この「BSマインド」は今の時代、すごく大切です。自己満足を見つける手段として、自分がBSの番組を作るならどんなものにするか、ぜひ考えてみてほしいんです。面白いと思う人やこと、それの褒めたいポイントや魅力を取材して紹介する意識で考えていくと、自分が何を大切にして、幸せを感じるか見えてくるはず。そして、重要なのはその番組は「全員には受け入れられなくてもよい」ということ。自分が楽しめて満足できる番組なら、それでいいのです。

世の中の大半は「他者評価」で動いています。みんな誰かに評価されながら、そして自分も他人を評価しながら生きています。そのなかでは自己評価や自己満足が軽く見られがちで、「所詮、自己満足でしょ(笑)」のようにディスる空気すら感じます。でも、自分を褒めたり自分で幸せを見つけたり、「私はこれが好き」と言い切れることって、静かな自信につながるし、結果的に他者から評価される土壌を育てることにもなると思うんです。

他者評価というものを考える時、どうしてもSNSの影響は大きくて、ツイッターやインスタで常に発信しているからこそ、誰かに評価や承認をされる表現をしなければとか、何かしら主張をしなければみたいな強迫めいた気持ちが生まれてしまう。そのしんどさから逃れるためにも、少し黙ったほうがいいです。発信者であることから脱落する時間を持ってほしい。

コロナより前は、いかに他者から100点をもらうかや、世間的に100点とされるものを探すことに躍起になっていた気がするけど、これからは自分の内面や身近なところで100点を育てる活動が大事になると思います。暑苦しいことを言わせてもらえば、幸せは自分で作るものです。ツラいことに直面したり、心がふさぎまくった時に「ここのラーメンを食べれば、すぐに元気になれる」みたいなとっておきがある人は、やっぱり強いです。たとえ10人中10人が「マズっ!」と言うラーメンでも自分が大好きならいいわけです。自己満足上等の精神で、自分だけの幸せを探してみてください。ささいな自己満足を集めていった先に、自己肯定感や自信がきっと得られるんだと思います。

しいたけ.さん 占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究する傍ら占いを学問として研究する。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)、『しいたけ.の12星座占い 過去から読むあなたの運勢』(KADOKAWA)など。

※『anan』2020年12月2日号より。イラスト・100%ORANGE 文・熊坂麻美

(by anan編集部)