自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第6回は「レモンマリーゴールドとイチジクのブランデー蒸し」をお届けします。

This Month's Herbal Sweets

「レモンマリーゴールドとイチジクのブランデー蒸し」

心と体に優しい、甘く爽やかなイチジクのブランデー蒸し。

涼やかな風を感じる初秋は、蓄積した夏の疲れを癒やしてくれるような、さっぱりとした甘さがクセになる、栄養たっぷりな体に優しいイチジクのデザートを。『旧約聖書』でアダムとイヴが食べた知恵の実として登場したイチジク。“不老長寿の秘薬とされる世界最古のフルーツ”と伝承されるなど、人々に愛されてきた歴史が秘められています。漢字では「無花果」と書いて、花が無いことを意味するかのような名前に。でも、実は果実のツブツブの部分に花弁がない花が咲いていて、クローズアップで眺めてみると、新たな魅力を発見できる面白さがあります。そして、イチジクの葉は古くから生薬として活用されてきたそうで、イチジクを蒸すときにぜひ使ってみましょう。青々とした爽やかな香りが広がって、より風味豊かな味わいに仕上がるはずです。
調理ができたら、イチジクの実を半分にカット。仕上げにブランデーとレモンマリーゴールドで風味をつけたシロップをさっとかけましょう。お好みでミルキーなチーズ「ブリア・サヴァラン」を上からのせて。チーズのさわやかな酸味となめらかな食感がイチジクと絡み合い、果実そのものの甘さの輪郭がよりはっきりと感じられるはず。ディナーの前菜の一品として、そして、食事中の口直しにもぴったりな優しいスイーツです。

左/イチジクの葉 

イチジクの葉は無花果葉(ムカカヨウ)と呼ばれ、古くから生薬として重宝されてきました。天日干しをして乾燥させると、お茶として飲むことができます。高血圧や動脈硬化、冷え性などの予防や改善にも作用するといわれています。また、入浴時に葉を入れ、“イチジク薬湯”をしてみると、神経痛や冷え性改善にもよい働きをもたらしてくれそうです。

右/レモンマリーゴールド

マリーゴールドと同属の近縁種で原産国はアメリカ南部、メキシコ北部。レモンのような葉の爽やかな香りは気分を明るくしてくれる作用があります。また、胆汁分泌作用があり、二日酔いや肝機能の改善にも効果的とされています。ハーブティーやハーブウォーター、酵素シロップに活用もできます。花弁をお茶に活用すると、生理不順、更年期障害の改善、発熱時の緩和にも役立つといわれています。

レシピ2人分

・イチジク 大2個(約220g )
・イチジクの葉 大1枚(あればで可)
・ブランデー 60g(好きなもので可)
・きび砂糖 30g
・レモンマリーゴールド 適量2g程度
・ブリア サヴァラン 適量

How to cook

1.鍋にブランデーとレモンマリーゴールドを入れる。
2.鍋に簡易的な蒸し器を置き、イチジクの葉を敷く。
3.皮をむいたイチジクを入れ(お好みで皮をむかなくてもOK)、上からきび砂糖をかける。鍋に蓋をして弱火で5分煮たら火を止める。鍋からいちじく、蒸し器の下にたまったシロップをボウルに移し、冷蔵庫で1時間ほどよく冷やす。
4.皿に半分に割ったイチジクとブリア・サヴァランをのせ、冷やしておいたシロップをかける。

photo: Hiroko Matsubara edit & text : Seika Yajima
ハーブ:まるふく農園 キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY
器:柏木千繪

<プロフィール>

菓子監修 長田佳子〈foodremedies〉
菓子研究家。レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『foodremediesのお菓子』(地球丸)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。

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