『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』イザベラ・ヨーク役、『TIGER & BUNNY』ブルー・ローズ / カリーナ・ライル役などで知られる声優・寿美菜子さんが、2019年、自身のブログにて2020年春から約1年間イギリスを拠点に生活することを発表。

寿美菜子
その際、SNSでは「よりレベルアップした寿美菜子さんをお待ちしたいと思います!」「このアクティブさや行動力はカッコいいし憧れる!」といったエールが多数送られました。


そしてこの春、寿さんはイギリスへ。
3月25日にアップされたブログでは、言語の壁にぶつかりながらも、刺激的な日々を送っていると綴っていました。

「これからそういった発見したことや感じたことを、このブログ、そしてその他にも色々な形で発信していけるように、実は今準備中です♪」と書かれていましたが、そのひとつの場としてアニメ!アニメ!では寿さんがイギリスでどんな生活を送っているのか、寿さんの言葉でリアルに伝えていくインタビュー連載をスタート!

記念すべき第1回では、寿さんが渡英するに至った理由や、今イギリスでどんな日常を過ごしているのか。さらに、新型コロナウイルスでロックダウン中のイギリスは、どのような状況なのかを直撃。
「今だからこそ、この時間を大切にしたい」と語る寿さんのリアルな“今”とは――。
[取材・文=米田香織]

■ ロックダウン中のイギリスでどう過ごしている?
――(ビデオ通話ツールで寿さんの姿を確認して)こんにちは、寿さん、聞こえていますか?

寿:聞こえてますよ〜!


――よかったです!この連載インタビューでは、寿さんのイギリスでの日常に迫っていければと思いますが、まずは世界的に問題となっている新型コロナウイルスについて、現地イギリスはどのような状況なのでしょう?

寿:ご存知のとおり、イギリスはロックダウン(都市封鎖)中で、私がイギリスに来てすぐにこの状態になってしまいました。
そのため、私の中ではこれがイギリスの日常で、この状態しか体験していないので、そんなにストレスを抱えることもなく過ごしています。
ホームステイ先もとても広いし、素敵なイングリッシュガーデンがあるおうちなので、外に出なくても十分楽しめています。

日々コロナのニュースが流れていますけど、皆さんが目や耳にするイギリスの情報って、感染者数の増加など、たぶん暗いニュースがピックアップされていると思うんです。
イギリスではスーパーやエクササイズ以外の外出は基本的に禁止で、不要不急ではない外出や集会は、場合によっては罰金措置の対象になったりと本当に徹底されています。

心配してくださっている方もいるとは思いますが、私はとても元気に過ごしています!

■寿美菜子はなぜ渡英を決めたのか? 26歳の頃から募らせた“想い”
――お元気そうで何よりです! あらためてですが、イギリス生活を決めた経緯を教えてもらえますか。

寿:実は26〜27歳くらいの時から、今まで知らなかった世界を見たい、いつか海外に行きたいと漠然と思っていました。

――数ある国のなかでも、イギリスに決めた理由は?

寿:イギリス以外にも行きたい国はたくさんありましたが、とくに語学とお芝居の勉強をしたかったので、エンターテインメントの本場であるイギリスかアメリカ・ニューヨークにしようと決めていました。

そのふたつで悩んで、なぜイギリスを選んだかと言うと、過去に兄がイギリスに留学していて、私も年末年始のお休みを使って遊びに行ったことがあって、そのときに「一度は住んでみたい場所だな」と惹かれたんです。

また、アニメ『けいおん!』の劇場版で(琴吹)紬たちがイギリスを訪れていたり、舞台『他人の目』や『Run for Your Wife』などはイギリスを舞台とした演目だったりと、出演した作品がイギリスと関連することが多く、縁を感じたことも理由のひとつです。


――周囲に渡英のことを話されたかと思いますが、皆さんのリアクションはどうでしたか?

寿:マネジメントチームに話すときも、本当に“意を決して”という感じで話しました。「こうやって伝えたいけど、こうやって反対されたらどうしよう」とシミュレーションを頭の中でたくさん繰り広げて、「こう言われたこう返そう」と準備したり(笑)。

でもそういった心配は杞憂で、ありがたいことに「良いと思うよ」と言ってくれました。
そこからイギリスにいながら仕事ができる環境を整えられるよう、キャリアもしっかり積み重ねつつ、同業者の方やスタッフさんとの信頼関係も整えたりと、ずっと準備をしていました。

――スフィア(※)のメンバーの皆さんに話されたときはいかがでしたか?

寿:その時のことは、今でも鮮明に覚えています。
モーニングミーティングで朝ご飯を一緒に食べながら「ちょっと話があるんだけど……」と切り出して、1時間ほど話を聞いてもらいました。

「イギリスに行きたいと思っているけど、そうすると実質一緒に集まって何かをすることができなくなる。スフィアが今後どうなっていくのか、私も正直わからない」と。
迷惑をかけてしまうかもしれなかったのに、3人は「おお!いいね!がんばれ!」と言ってくれたんです。
「どんな問題が出てくるかわからないけど、やりたいことはやってみるべきだと思う」と。背中を押してくれて、悩んでいた心がすっと軽くなりました。

※寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生による声優ユニット。2019年に結成10周年を迎え、全曲ライブを開催した。

――皆さん賛成して、後押ししてくれる方が多かったんですね。
寿:ありがたいことですよね。あ、でも、反対した人もいますよ! 父です(笑)。
飛行機に乗れない人なんですよ。自分が体験したことがないからこそ、予想ができないこともあって、だから兄がイギリスに行くときも不安があったと思うし、さらに私が行くってなっちゃったので……。ことあるごとに「やめた方がええんちゃうかなあ」と何度も言われました(笑)。

――なるほど、コロナ騒動があってからはなおさらご心配されたのでは?

寿:父はもちろんですけど実は、背中を押してくれつつも、直前になって止めたのは兄で。実際に住んでいたからこそわかる不便さや、私の英語力がまだまだなので、もし何か問題が起こった時に対応できるのかと心配してくれました。
1度帰国させるべきか家族で悩んだらしいのですが、今帰ると2週間隔離されることや、さらにその隔離場所がない状態だということで、「実質、無理だと思った」と話はしましね。

――渡英直前はとくに大変だったんですね。

寿:そうですね。とはいえ、気持ち的にはイギリスに行くと決心するまでが一番大変でした。決めてからは、すごく心が楽になったんです。
それまでは、行きたいと思っていたけど、仕事のことなどを考えて、頭の奥底に閉まって気付かないようにしていたんですよね。そういう風に抑え込んでいた部分がなくなって、本当にスッキリしました。
→次のページ:「今だからこそ、この時間を大切にしたい」ロックダウン中のイギリスで行っている事とは

■「今だからこそ、この時間を大切にしたい」ロックダウン中のイギリスで行っている事とは
――渡英されたことで「スフィアの活動はどうなるんだろう…?」と不安に思ったファンの方も多かったと思いますが、先日、スフィアの皆さんで絵本や童話の読み聞かせを配信する「せいゆうろうどくかい」を発表され話題を集めました。


寿:「こういう状況だからこそ私たちでできることをしたいよね!」と高垣彩陽ちゃんが連絡をくれて実現しました。

ほかにも悠木碧ちゃん発案で、碧ちゃんと早見沙織ちゃんと私の3人でも「せいゆうろうどくかい」の“ことはゅリレー朗読”も行います!


こうした収録作業や語学の勉強もあるので、ロックダウン状態とはいえ意外と毎日やることがいっぱいです(笑)。

――寿さんもそうですが、「せいゆうろうどくかい」企画などオンラインを活かした新たな動きが声優界で起きている印象です。

寿:そうですね。イギリスにいながらのお仕事やオンラインの朗読企画も、ちょっと前だったらできていないだろうなと感じます。
仮に、5年前にイギリスに行きたいという気持ちを持っていて実行できることになったとしても、今とは違った世の中の動きだったと思うので、仕事のほとんどをストップさせないといけなかったかもしれないですね。


――寿さんのブログを見ていると、イギリス生活がとても充実していると感じます。

寿:イギリス生活を決めた時、「毎週末舞台を観に行こう!」と色々考えていたりはしたんですが、できないとわかった時点で、その時にできることを楽しもうと思いました。
むしろ、これだけ時間がある中で、今勉強しなかったら、もう一生勉強しないんじゃないかなと思ったりもします(笑)。

■もっともイギリスらしさを感じた瞬間は?
――ここからは、寿さん自身が体感した「イギリス」について聞かせてください。もっともイギリスらしさを感じた瞬間は?

寿:たくさんありますが、一番驚いたのは、信号は無視して渡るのは当たり前なところ(笑)。
日本に比べると横断歩道が短いこともあるのですが、信号が歩行者のために動いてくれることはあまりありません。

横断歩道の始まりの場所に「LOOK RIGHT」と書かれているので、右から車が来ないか見てから半分まで渡って、そこでまた「LOOK LEFT」と書かれているので、左の様子を見て渡る。カルチャーショックでしたね。

あと、これは感覚でしかないのですが、イギリスの方は“自分”を持っているということです。
ホストファミリーと話をしていて、「あなたがしたいようにすればいいよ」と言われることが多くて。例えば、ホストマザーが先にキッチンを使っていて、気を遣って終わるのを待っていたら、「聞いてくれればあと何分で使い終わるって言うのに」って。
みんなが「自分はこうしたい」という意志を強く持っているんです。

でも、それを無理強いしているわけでもなく、「あなたはどうしたいの?」と聞いてくれる。ちゃんと自分の意思を持っていないといけないんだなと思わされました。


――イギリスと言えば、「ご飯が美味しくない」というイメージがありますが、食事についてはいかがですか?

寿:そういうイメージありますよね。私も事前に色々調べて「期待しない方が良いな」と思っていたのですが、ラッキーなことに、ホストマザーがすごく料理上手だったんです!

11歳(イギリスでは高等学校1年生)の頃からお料理教室にずっと通っていたそうで、本当に美味しいんです。イギリス料理のほか、和食や他の国の料理も作ってくれるんですよ。
なので食については今のところ困ったことがないです。

――何か思い出に残る絶品料理はありましたか?

寿:先日イースター(※)の時、羊のお肉のステーキを出してもらったんです。イースターの物語の中にあるのですが、羊のお肉を食べるのが風習になっているらしくて。
でも、実は私、羊のお肉が苦手で……(笑)。そのメニューを聞いた時「マジか〜」と思ったのですが、さらに、付け合わせにインディアンライスが付いていて、お米にフルーツ系のソースがかかっていて、しかもレーズンが入っていたんです……。チャーハンにパイナップルを入れるのも「無いな」と思うのに、よりによってレーズンか〜と恐る恐る口にしたのですが……それが本当に美味しくて!(笑)パクパク食べちゃいました。

寿さんが堪能したイースターランチ。

※復活祭とも呼ばれ、十字架にはりつけにされて亡くなったイエス・キリストが死後3日目に復活した日を祝う宗教的に重要な日。

――イースターといえばイギリス国民にとって重要な日でお祝いしたりしますが、寿さんは何かされました?

寿:イースターエッグやイースターボネットという帽子を手づくりしました。

寿さんがつくったイースターエッグ。スフィアモチーフの卵も。

自作したイースターボンネットを被る寿さん
ウサギの耳がついた帽子を買って、それぞれ1£で購入したアイテムを使って作りました。卵を縫いつけたり、シールを貼ったりしました。

「ソーイングボックスを借りて、帽子の上に縫いました。おしゃれにできました。今はお部屋で飾ってます」

――イースターも満喫されたのですね。ラジオで、日本食スーパーに行った話もされていましたね。日本食は恋しいですか?

寿:日本食はやはり、味付けの安心感がありますよね。日本にいる時も、2日洋食を食べたら和食にしたり色々試すという生活だったのですが、イギリスでもこのルーティーンを繰り返しています(笑)。

今は、日本食スーパーの、その場でさばいてくれるお刺身コーナーに置いてる、新鮮なサバの味噌漬けなどを冷凍しておいて、食べたくなったら焼いて食べています。

――今後、イギリスで行ってみたいところやチャレンジしたいことはありますか?

寿:もうたくさんあります! 今はロックダウンで外に出られないですが、カフェに行ってアフタヌーンティーを堪能したいですね。

あとは、やはり舞台を観に行きたいです。見切れ席であれば、当日でもすごく安くとることができるらしくて、しかも前の方の席が空いていたら、見切れ席のチケットであったとしても、前の席に案内してくれたりするらしいです。
イギリスの舞台を早く生で見てみたい。「もう舞台はしばらくいいかな」って思うくらい、見まくりたいです!

■寿美菜子、YouTuberデビュー! どんなチャンネルにしていきたい?
――4月21日にはYouTubeチャンネル「寿美菜子の〜マジ寿!〜」を開設されました。どんなチャンネルにしていきたいですか?



寿:イギリスのリアルな日常やここでしか見せられない景色を見せることができたら良いなとはじめました。

ですが、現在はロックダウン中なので「こんな場所があるんだよ」という紹介は厳しそうなので、しばらくはお部屋やお庭での撮影が多くなると思います。
ただ、「イギリスならでは」という魅力は、お家の中にも沢山詰まっていますし、イギリスにいる時の気持ちは今しか感じられないことなので、丁寧にお伝えしていきたいです。
実は、渡英する前からこの企画は準備していて、最初は私自身、YouTubeに詳しかったわけではないので勉強のために色々見始めたのですが、「こういう私を見せたことなかったかも」というものをファンの皆さんにお見せしていきたいです。

――何かやってみたい企画などはあるのでしょうか?

寿:本当だったら、イギリスのカフェのレポートとかできたら良いなと思っていたのですが、今はひとまず家の中でできる食べ比べとかがやりたいですね。
先日、イギリスですごくハマった食べ物があったので、その食べ比べをした動画を撮りました。

――気になります! 何か1つ、オススメのものを教えてもらえませんか?

寿:イギリスに来て「チョコレートってこんなに美味しかったのか!」と驚かされていて。その中で今ハマっているのが、Cadbury Chocolateの「Twirl」。


細長いフレーク状のチョコレートバーで、1パックに2本入っていて食べ応え十分なのですが、エアロとはちょっと違った、軽い食感がクセになっています。これ以外にも、チョコレートはもう全部美味しい!

――ありがとうございます。では改めて日本から応援しているファンの皆さんへメッセージをお願いします。

寿:イギリスに行くと発表した時から、「寂しい」と言ってくださる方がいらっしゃって、私にとってそれだけで“奇跡”のようです。
私がイギリスに行くことに対して、何かを感じる、心が動くきっかけになっているなんてすごいことだと感じました。

私自身、イギリスに行くと決めた時から、色々覚悟していたこともありました。
もともと思い描いていたイギリスでの生活とは少し違ったスタイルにはなりましたが、それでも毎日がとても新鮮で、刺激的な日々を過ごしています。

これからブログやYouTubeなどで、そんな日常を皆さんに向けて発信していけたらと思っていますので、ぜひ、受け取っていただけると嬉しいです。
これからも、よろしくお願いします!

◆ ◆ ◆
新型コロナウィルスの影響でロックダウン中のイギリスですが、こんな状況だからこそできることにチャレンジしたいと前向きな寿さん。この連載では第2回以降も寿さんがイギリスでどんな生活を送っているのか、寿さんの言葉でリアルに伝えていきます。

寿美菜子 プロフィール
『泣きたい私は猫をかぶる』深瀬頼子役
事務所の同期である、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生とのユニット「スフィア」のメンバー。