外出のままならない毎日が続いていますが、みなさんはおうち時間をどのように過ごしていますか? その時間を楽しめているでしょうか?

ことアニメに関しては、視聴しながらSNSで実況する文化が既にあり、ある意味で“リモート”が進んでいたのかもしれません。
それでも、こうも人と会えない日が続くと、やっぱりSNSだけではさびしい……。もっと別の方法を使ってリモートでもアニメを楽しめないかと考えて、いま流行りのZOOMを使ったアニメ鑑賞会を実施してみました!

4月新番組の中からオススメ1作品ずつを持ち寄って、お酒を呑みながら同時視聴。SNS実況とは何が違うのか、メリットやデメリットを検証してみます。

集まったのは、アニメ!アニメ!編集部の“こじらせガンダムおじさん”こと沖本。80年代ハードコアパンクを聴いて思春期を過ごしていたものの、『涼宮ハルヒの憂鬱』に出会ってアニメにハマり、そして現在はアニメライター&アニソンDJという異色の経歴を持つ“元ギャル男”の編集部員・小野瀬。そして2歳児の子育てママライター・奥村ひとみ(この記事の筆者で、声優としても活動中)の3人。

左上:奥村、右上:沖本、下:小野瀬
集合は平日の22時。時間や場所に縛られないのは、リモート呑み会の利点ですね!
筆者は小さな子どもがいてここ数年は外での飲み会に参加しづらいので、この気軽さは嬉しいポイントでした。

3人のうち2人が初ZOOMということで、経験者の小野瀬さんに引っ張ってもらってまずは背景をカスタマイズ。これがけっこう楽しい!
ZOOMには「バーチャル背景」という、好きな画像を背景に設定できる機能があります。ZOOM背景用に企業やテレビ番組が画像を配布する動きがあるのでそこから探してもいいし、もちろん自分で撮った写真でも使えます。
雑談の中で「背景が何の作品か当てあうのも楽しそうですね!」と新しいアイデアも。自分のアニメ嗜好を表現するのにも、バーチャル背景は活躍しそうです。



ただ、お使いの機器のカメラによって被写体認識の感度が違うので、画像が綺麗に出ずにオバケみたいになってしまうこともあります……。

終始隈取り状態の沖本。『エヴァ』の背景もあいまってコワイ……。
準備がととのったので、それでは乾杯〜!
お酒とおつまみを用意して、さっそくアニメ鑑賞会スタート。チョイスした作品は『ギャルと恐竜』、『LISTENERS』、『波よ聞いてくれ』の3作品。今回は順番に第1話だけを見ます。
小野瀬さんは全部視聴済み、ほか2人は未見の状態。今回は全員がPrimeビデオ会員だったので、Primeビデオを使って「いっせーの」で再生ボタンを押します。

乾杯する一同
ところが、すぐにトラブル発生……! アニメを再生したら、ZOOMの音声が聞こえなくなってしまいました。おそらく、使っていたBluetoothが同時再生に対応していない機種だったのだと思われます。
鑑賞会の出ばなをくじかないよう、再生環境は前もってシミュレーションしておいたほうがスムーズかもしれません。
■幼稚な可愛さが今期のトレンド!?『ギャルと恐竜』

『ギャルと恐竜』(C)森もり子・トミムラコタ/講談社・キングレコード
あらためて、アニメ鑑賞会スタート!
1作品目は『ギャルと恐竜』です。2018年、いろんな意味で話題になった『ポプテピピック』のスタッフ布陣で制作されている本作は“『ポプテピ』の再来”とも噂されていますが、はたしてどのあたりがそう言われる所以なのでしょうか……?


小野瀬:僕は『ポプテピピック』よりこっちのほうが好きですね〜。

沖本:OP凝ってますね! 実写とアニメが混ざってる。

奥村:恐竜の着ぐるみ作ってあるんだ(笑)。宣伝とかに使うのかな?
(まさか着ぐるみがBパートで大活躍するとは、このときは知る由もありません……。先の展開を知る小野瀬さんは、どんな気持ちでこのつぶやきを聴いていたのか!)

こんな感じで、再生しながらフリーダムに感想を言いあいます。
ツッコミどころ満載の本作。アニメにツッコんだり、「個人的に今期一番可愛いキャラは恐竜です!」とかましてくる小野瀬さんに「ギャルじゃないのかよ!」とツッコんだり、早くも盛り上がってきました。

奥村:恐竜可愛い〜。なんかうちの子を見てるみたい。

沖本:それはどのへんがですか?

奥村:ギャルが食べてるものを欲しがったり、お出かけにやたらウキウキしたり。小さな子どもみたいな挙動なんですよね、この恐竜。

小野瀬:恐竜もそうなんですけど、あと僕が今期のアニメで可愛いと思ったキャラが『かくしごと』の姫と『プリンセスコネクト!Re:Dive』の主人公ユーキ。みんな、幼くて無垢なところが共通していると思いませんか? 幼稚性をもって可愛さを見せるのは今期のトレンドかもしれませんよ!

会話の中で感想が広がっていくのはアニメ語りの醍醐味ですね! 加えて、今期のトレンドまで知れたのは思わぬ収穫でした。挙がったタイトルも見てみたくなります。

音楽好きな小野瀬さんは効果音についても熱く語ります。「レゲエホーンとライトセイバーの効果音の使い方が上手いんですよ!」と言われて、たしかに! と思うのですが、一人で見ていたらそこまで音に注目していなかったかもしれません。おかげで筆者はこの日以来、レゲエホーンが鳴るたびに笑ってしまう身体になりました……。

見終えてみると納得の“『ポプテピ』の再来”でした! ワイワイしながらみんなで見るのにもちょうどいい一作だったと思います!
■ロックへのオマージュが詰まっている『LISTENERS』

『LISTENERS リスナーズ』(C)1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS 製作委員会
2作品目は『LISTENERS』。『交響詩篇エウレカセブン』の脚本家・佐藤大と『カゲロウプロジェクト』のクリエイター・じんがタッグを組んだ、MAPPA制作のオリジナルアニメです。

ここまででも多彩な音楽知識を感想に織り交ぜている小野瀬さん推薦の一作。しかし本人は「盛り上がるタイプの作品じゃないかも……」とちょっぴり不安気。

ところが、始まってみると小野瀬さんの音楽解説が炸裂!

小野瀬:第1話のサブタイトルは「リヴ・フォーエバー」で、主人公のエコヲが暮らすバーの名前はオアシス(※イギリスのロックバンドであるオアシスが1944年に発表した楽曲が「Live Forever」)。
他のお店の名前もドリーム・シアター(※アメリカ出身のプログレッシブ・メタルバンド)だったり、ロックへのオマージュが散りばめられているんですよ!

アニソンDJでもある小野瀬。音楽トークを熱く展開
沖本:へぇ〜知らなかった!

奥村:イクイップメント、いわゆるロボットがアンプの形をしていますけど、このアンプについているロゴのVOXも実在のブランドなんですか?

小野瀬:実在します! それにVOXって、主人公が持つにしてはけっこう渋いチョイスだと思うんですよね。こういう音楽的な背景が物語にどう作用していくのかも楽しみなんです。

エコヲの名前はエコーからきているのだろうし、エコヲが探す伝説の祈手(プレイヤー)のジミはジミ・ヘンドリックスへのリスペクトに違いありません。
ジミくらいは分かっても、サブタイトルや店名のオマージュはちょっとレベルが高く、こういった仕掛けに気づけないことで「自分には難しいかも……」と視聴を止めてしまった作品が過去にいくつもあった気がします。

そこを今回は解説者がカバーしてくれて、作品を楽しむことができました! 楽しむベースができると、最後まで見届けなければという思いにもなりますね。

■題材はラジオだけど、これはまさしくガンダム!『波よ聞いてくれ』

『波よ聞いてくれ』(C)沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局
最後はサンライズ制作の『波よ聞いてくれ』。北海道札幌市を舞台に、スープカレー屋で働いていた鼓田ミナレがひょんなきっかけで地元ラジオ局のパーソナリティーになって、持ち前の毒舌とアドリブ力で奮闘していくストーリーです。

Aパートのほとんどに渡るミナレの怒涛のラジオ一人語りに圧倒されて、さっそく言葉数が減る一同。でもお互いの顔が見えているから、みんなが見入っていることも分かるので安心して黙っていられました。

見入る一同
奥村:頭のラジオパートは、声優の中でもメインのお仕事がアニメの方とはやっぱりちょっと違うアプローチですね。洋画の現場で鍛えられている杉山里穂さんならではという気がする。

沖本:それはどういうことです?

奥村:なんていうか……熊と戦う場面とか、お芝居の立体感が生々しいんですよ(笑)。ミナレってアニメキャラというより生の人間っぽさがあるのは、そういうところなんじゃないかな、と。

小野瀬:これ、今日の鑑賞会のハイライトでしょ! 一番聞けて良かった話じゃないですか!

沖本:その発想は僕もなかった。声優もやっている奥村さんならではの視点ですね。

「アフレコスタジオで共演者に囲まれてあれだけの長い一人芝居を演じられたのか……!?」と想像して筆者は身震いしていただけなのですが、何気なくポロっと言った感想をこんなに喜んでもらえるとは予想外で単純に嬉しくなりました(笑)。

奥村:ミナレがラジオブースに入る下りって、完全に『ガンダム』と同じやり口なんだよなぁ(笑)。

小野瀬:ああー! たしかにそうだ!

沖本:本意でないまま戦場に駆り出されるミナレ……さしずめラジオブースはコックピット!

制作側にそんな意図があったかは分かりませんが、「さすがサンライズ!」とひと盛り上がりして、これにはガンダム好きの沖本さんもニッコリ。
作品の独特のテンポ感に持っていかれて、全編に渡ってワイワイ話しながら見るのとはちょっと違う感じでしたが、ポイントごとに交わす感想にそれぞれの見方が際立って面白かったです。

■やってみて分かったリモートアニメ鑑賞会のメリット&デメリット
沖本:さて、リモートでアニメ鑑賞会、やってみていかがでしたか?

小野瀬:楽しかった! そこまでずっとしゃべっていたわけではないはずなのに、ものすごく盛り上がった気分なんですよね。
僕は学生の頃も仲間と電話やSkypeをつなぎながらアニメを見たりしていたので、なんだか懐かしかったです。

奥村:私は長年、アニメの感想を語るネットラジオをやっているんですが(※そこ☆あに sokoani.com)収録は自宅で音声のみの通話で行っているんです。音声だけだと、会話がぶつかって「どうぞどうぞ」ってなっちゃうことがあるんですけど、顔が見えているとしゃべり出しの挙動が分かるので、そういう心配がないなというのは新発見でした。

沖本:やっぱり顔が見えるだけで、心理的にも距離が近くなりますよね。久しぶりにアニメ語りができて嬉しかったし、みんなとつながっているんだと感じられました!


◎メリット
・時間や場所に縛られない
・沈黙が続いても顔が見えるから安心
・感想戦で作品の視野が広がった
・リアクションが速く得られる

△デメリット&注意事項
・ZOOMのグループ通話は40分制限
・秒単位での再生時間の共有は不可
・作品を見る環境は各自で用意する必要がある(サブスクリプションサービスへの加入など)

第一印象として「普通に楽しめたよね」というのは3人の総意でした!
実施前に想定していた通話のブツ切れやタイムラグはほとんどなく、対面と変わらないナチュラルなコミュニケーションができました。

ただし、ZOOMはグループ通話に40分の時間制限があります。今回は1作品ごとに部屋を作り直して、さらにレコーディング(録画)をしていたのでそのダウンロードにも時間がかかり、作品の切り替えにあわせて数分の休憩時間が発生する仕様になりました。
TVアニメの1話がだいたい24分というのもあって、今回の鑑賞会においては40分で区切られてもそこまでストレスはありませんでしたが、これが映画の鑑賞会となると部屋の作り直しは面倒そうですね。

SNSでの実況と比較したメリットとしては、発言に対するレスポンスが速く、またレスポンスがしっかり返ってくること。SNSでは何気ないつぶやきがバズってビックリ! という現象はあっても、発信に必ずしも反応が返ってくるとは限りません。また、SNSで有益な情報を見ても、「いいね」だけして返信までしない人は多いと思います。

自分の発言を喜んで聞いてもらえているのが分かったり、自分にはない知識のおかげで見方が広がったことをダイレクトに伝えることができたり、発言者も受け手も相乗で満足が得られるのは、鑑賞会を開くメリットだと感じました。

ただ、どれだけ距離が近く感じても、みんなが別々の場所にいることには変わりないので、さすがに再生時間の共有はできませんでした。
「ちょっと10秒戻してもいい!?」と言いたくても、まったく同じ10秒前に合わせるのは難しいので、その点だけは、ひとつ場所に集まるホームパーティー的なアニメ鑑賞会にかないません。

マイクミュートやカメラをオフにすれば退席も気軽なものです。
リモート呑み会に何かもうひとつイベントを加えるとき、一緒に映像を見るのは非常にオススメできます。この日も気づけば深夜2時を回っていました!

やろうと思えば、昔から遠隔で同時にアニメを視聴する手段はあったのでしょうが、スマホやサブスクリプションサービスの普及、通話ツールの技術向上によって、実施のハードルは確実に下がりました。
もちろん、みんなでスケジュールを合わせる必要はありますが、STAY HOME週間でいつもより調整はしやすいはず。この機会にリモートアニメ鑑賞会の楽しさをたくさんの人に味わってもらいたいです!