連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」

 忙しい大人向けの健康術を指南する「THE ANSWER」の連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」。多くのアスリートを手掛けるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏がビジネスパーソン向けの健康増進や体作りのアドバイスを送る。

 最近、様々な形態が増えているスポーツジム。しかし、運動経験が少ない人は「ジムでトレーニングしたい」と思っても、それぞれの特徴が分からず、足を踏み出せない人もいる。今回はジムトレのメリットや、ジム選びの注意すべきポイントを解説する。

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 以前は痩せたい、体作りを始めたい方からの質問は、「どうやったら痩せられるか?」「どうすればお腹が凹むのか?」という内容ばかりでしたが、最近は「どんなジムに行けばよいのか?」「ジムではどんなトレーニングをするとよいか?」というものが非常に増えました。

 これは「体を変えるためには、トレーニングが必要」という考え方が広がってきた表れと感じています。トレーナーの一人として、すごくうれしいですね。

 ただ、今でも“カラダを鍛えたいが運動経験が少ない”という方からは、「ジムに行ってもマシンを使いこなせない気がする。家で自重トレーニングをする方がいいのではないか」と聞かれることがあります。しかし、むしろ運動経験、トレーニング経験の少ない方ほど、マシンを使う筋トレがおすすめです。

 筋肉をつけるためには、筋肉が成長するだけの強い刺激を与えなければいけません。しかし、自重トレーニングでは、重力や力学的な刺激の方向、関節の曲げる角度を間違えやすく、正確かつ効果的に刺激を与えることはとても難しいのです。

 また、筋肉はトレーニングの負荷のレベルを上げていかないと、成長が止まってしまいます(過負荷の原則)。自重トレーニングでは重量や回数、動作の難易度といった負荷レベルを適切に上げていくことも難しい。結果、思い通りに筋肉がつかなかったり、筋肉を痛めたりという恐れがあります。

 その点、トレーニングマシンはオートマチックにターゲットの筋肉に刺激が入るよう設計されています。また、今の自分に合った負荷を設定することも容易なので、変なところの筋肉が発達したり、ケガをしたりというリスクが非常に少なくなります。

 さらに、8回挙げるのがやっとだった重りが10回挙げても余裕を感じるようになったり、重量の数値が上がっていったりと成長を明確に感じられるのもマシンの利点。「よし、次回は〇kgにチャレンジしてみよう」などと目標設定もしやすく、トレーニングのモチベーション維持にもつながります。

24時間営業、フィットネス、自治体、パーソナル…それぞれの特徴は?

 さて、「ジムに行こう!」と心が決まると、次に悩むのはどこのジムに行くか、です。以前は大手フィットネスクラブやスポーツジム、自治体の体育館がメインでしたが、近年は24時間営業のスポーツジムが急速に増えて、人気も上昇。また、パーソナルトレーナーをつける方も増えているようです。

 体作りで最も大事なのは“継続”です。特にジムの場合、どんなによい施設だったとしても、仕事場や自宅から遠いと通わなくなる傾向が強い。ですから、まずは通いやすい場所を選ぶことがポイントになります。

 場所さえ決めれば、あとは自分のライフスタイルや使い方に合った形態、費用の点から選びます。参考までに選ぶ際のポイントとなる特徴をザッと挙げましょう。

●24時間営業ジム 出勤前や夜遅くにトレーニングする可能性の高い人、マシントレーニングのみで望んでいるトレーニングができる人向き。会員費が比較的安く、また、自宅や職場近くのほか、出張先、旅行先など、国内・海外の店舗で追加料金なく利用できるサービスがある。店舗によってはパーソナルトレーナーもつけられる。

●フィットネスクラブ マシンだけでなく、プールやスカッシュといった施設や、ヨガ、ピラティス、ダンス、カーディオエクササイズなどのグループレッスンが充実。また、スタッフや同じクラスに参加する利用者との間で新たなコミュニティが形成できる。スタッフや仲間からの声かけや励みが運動習慣の継続につながりやすい人も多い。

●自治体のスポーツ施設 利用料金が安価で、1回使用するごとに支払いができる場合が多い。また、プールが併設されていたり、グループレッスンが充実していたりする施設もある。最新のマシンにこだわらず、利用時間内にストレスなく通える方向き。

●パーソナルトレーナー 体作りはカスタマイズするほうが効果は出やすいため、目指す体を最短で実現できる。一方、トレーニング費用が高い、予約が必要、予定変更に伴いキャンセル料が発生するといったマイナス点も。ただし、アポイントを入れることがジムに足を運ぶきっかけにもなるため、「好きなときに自由にいけるシステムだと逆に続かない」という方にも向いている。

 パーソナルトレーニングを始めたい方は、誰にお願いをするかを決める前に、必ずトライアルレッスンを受けましょう。トレーナーにも指導領域に得意・不得意はありますし、相性の合う・合わないもあります。「トライアルを受けられますか?」と確認し、1回でもいいので、実際に指導を受けから決めると、失敗のリスクが下がります。

 今どきはマシンの性能の差は、どこに行ってもさほど大きくありません。また、どのフィットネスクラブやスポーツジムも、無料カウンセリングのサービスを設けているので、「マシンを使いこなせるか不安」という心配は不要。QRコードを読み込めば動画で確認ができるシステムも普及しています。

 不安であれば、まずは相談できるスタッフが常駐するフィットネスクラブやスポーツジムでマシンや運動に慣れてから、24時間ジムへ移行する手もありますよ。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

中野ジェームズ修一
1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球の福原愛選手やバドミントンの藤井瑞希選手など、多くのアスリートから絶大な支持を得る。クルム伊達公子選手の現役復帰にも貢献した。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。主な著書に『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(大和書房)、『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)などベストセラー多数。