「徳島インディゴソックス球団代表・谷田成吾の野球note」第2回

 昨年12月、野球の独立リーグ・四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスで、日本最年少の球団代表に就任した谷田成吾氏。「由伸2世」の異名を取り、アマチュア球界で名を馳せた元スラッガーが、26歳の若さで球団経営に飛び込んだ想い、独立が置かれているリアルな現状、人口減少している野球界に対する未来など、本人が自らの言葉でつづる。

 第2回は「球団代表になって3か月 今、私が徳島でしていること」。異色の転身を遂げた後、どんな日々を送ってきたのか。新型コロナウイルス感染拡大でリーグ戦は開幕延期となり、再開に向けて対応に追われる中、就任後の動きについてレポートした。

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 12月に球団代表に就任して以来、激流のような日々を過ごしていました。関係者、友人、知人から「球団代表になって何してるの?」とよく聞かれますが、答えているのは「いろいろ」。人員が足りないこともあり、本当に業務は多岐に渡ります。その「いろいろ」について、今回はお話しします。

実際、この3か月で何をしていたのか?

 球団は3月末の開幕に向けて準備を進めてきました。一言で準備といっても、開幕戦やその先の試合を実施するために球場を押さえたり、試合中のイベントを考えたり、タイムスケジュールを決める“運営的な準備”と、1年間活動していくために開幕までに可能な限り多くのスポンサーを集めなければならない“金銭的な準備”があります。

 私の日々の大まかな流れは朝から営業に回り、夜に試合運営周りの事務作業を進めてきました。なので、ほぼ事務所にはおらず、休みという休みはほとんどありませんでした。最近は手を動かしてばかりなので、何かを考えたりインプットしたりする時間も確保しなければと反省もしていますが、日々の生活は充実していました。

スポンサー営業をしていて思うこと

 外回り営業をしていて日々感じたことは徳島県内の企業を始めとする多くの企業が、徳島インディゴソックスを応援してくれている感謝と、スポンサード頂いている企業に球団として金額に見合う価値を提供できていないのではないかと感じるもどかしさです。

 地元の球団のために協力してくださる企業や個人の方がいらっしゃることは本当にありがたいことですが、「スポンサーして頂いた金額以上の価値を確実に提供できている」とまだ自信をもって言い難いのが現状です。それが新規のスポンサー獲得を苦戦させ、赤字解消を難しくしていると感じています。

 いち早くそのフェーズから脱し、徳島県内外の企業から「ビジネスとして」や「地域貢献として」より大きい価値を感じてもらうことで、今日まで共に歩んでくれたスポンサーや徳島県に恩返しできれば最高です。

球団の新たな取り組み「開幕シリーズ1万人プロジェクト」と「社外ビジネスチーム」

 行ってきた球団としての新しい取り組みに「開幕シリーズ1万人プロジェクト」がありました。3月28、29日に行われる本拠地の開幕2連戦で1万人を動員することを目標に掲げたプロジェクトです。例年、平均観客動員数が500人弱であることからも、いかに難しい目標であるかは感じていただけると思います。

 目標達成に向けて、最初に挙がった課題が「人員不足」でした。この高い目標をクリアするには様々な課題を乗り越える必要がありますが、球団職員はたった4人。どう考えても足りません。そこで様々なジャンルで働く人を集めた社外チームを作りました。

 私は、このように社内だけでなく社外人材も取り込んだチームを作る組織が今後活躍すると考えています。特に、様々なアセットの少ない野球の独立リーグを始めとするスポーツ組織は、これらの動きは必須であると感じました。まず、様々なジャンルのスペシャリストの知恵を結集しやすいので、より高いクオリティをお客様に提供できるようになります。外注したら結構な金額になるものも様々なスペシャリストが集まれば、実現可能になります。

 今、メンバーには25歳から30歳までの8人、職種はマーケターやデザイナーから、民放キー局の編集者まで様々です。全員が本業がある中、自分の空いた時間を使って活動しています。本業があるゆえ、打ち合わせは早朝だったり、深夜だったりと大変なこともありますが、それぞれが「徳島インディゴソックスをより良くしたい」という信念の下、全力を尽くしてくれています。

 こうして取り組んでいると、ITツールも普及した今の時代では社内外の境界線が曖昧だなと感しています。元々、球団内部の職員も事務所にいるより、外を飛び回っていることの方が多いので、必然としてチャット上のやり取りが多くなっていました。そうなると、社外メンバーが東京や大阪にいたとしても、仕事の内容次第では変わりはなかったりします。

 もちろん、徳島にいなければできないことも山ほどあり、依然として人不足であることは変わりませんが、それでも社外チームと連携することで、できるようになったことは多いです。今後、期間を重ねることや、タイミングを見て現地に来てもらえれば、より雰囲気や感覚を掴んで、さらに良い活動がしていけるのではないかと思います。

 ただ、リーグ戦は新型コロナウィルスの感染拡大のため、開幕が延期となり、球団として準備してきた開幕シリーズの企画についても、残念ながら延期することになりました(このコラムも2月に書き進めていましたが、刻々と変わる社会情勢により開幕の見通しが立たず、公開できずにいました)。選手が安心してプレーでき、お客様が安心して観戦できるようになる日を待ちたいと思います。

「球団代表」として今後に向けて

 球団代表にになって3か月、いろいろなお声を頂きました。称賛から批判、ご意見まで様々です。しかし、26歳という球団代表としては若く、実績のない私はたとえ小さくとも数字に残る結果を積み重ねていくしかありません。それがいずれ信頼に変わり、周りの見方を変えられると思っています。

 2、3月といえば、選手時代は例年きつい春季キャンプからオープン戦の日々。今年はまた違った意味で激動の日々を過ごしてきましたが、野球をやっていた頃と同じくらい充実していました。しんどいことが多いキャンプと同様、この時期に身につけた体力・技術が一年を左右するように、今取り組むことが徳島インディゴソックスの一年を左右すると肝に銘じて、無事に開幕を迎える日まで走り切りたいと思います。

 野球界ではセンバツ高校野球が中止となり、プロ野球においてもNPBの開幕が延期となりました。まずは徳島、四国はもちろん、日本全体で野球を心から楽しめる環境が一日も早く戻ってくるよう、心から願っています。(徳島インディゴソックス球団代表・谷田 成吾 / Seigo Yada)