重鎮タラソワ氏はプルシェンコ氏へ「彼がうまくいくように願っています」

 フィギュアスケートのアレクサンドラ・トルソワ(ロシア)はエテリ・トゥトベリーゼ氏のもとを離れ、エフゲニー・プルシェンコ氏に師事することになった。“電撃移籍”を、ロシアの識者はどう見ているのだろうか。現地メディアが報じている。

 アリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワとともに“天才3人娘”として2019-20年のフィギュア界を席巻したトルソワ。トゥトベリーゼコーチのもとを離れたことは衝撃をもって受け止められた。ロシアスポーツ紙「スポルトエクスプレス」では、コーチのセルゲイ・ロザノフ氏もともに移籍することを伝えつつ、識者の反応を紹介している。

 まず数多くの名スケーターを育ててきた重鎮タチアナ・タラソワ氏は「トゥトベリーゼ氏のところには、トルソワの代わりになる教え子がまだたくさんいます。教え子がそのコーチから別のコーチのところへ移籍することはあり得ることです」とエテリ氏のもとには数多くの才能溢れる選手が残ることに触れつつ、こう続けている。

「コーチの変更――それはいつも宝くじのようなものです。エフゲニー(プルシェンコ氏)は自分が指導するもとに、とてもいい少女を、世界記録保持者を得た。これは彼にとってとても大きな責任です。私は、彼がすべてうまくいくように願っています。これは彼にとって有能なコーチとして認められるチャンスです」

 プルシェンコ氏にとってはチャンスだとも指摘している。

 またアイスダンスの世界王者でソルトレイクシティ五輪の銀メダリスト、イリヤ・アベルブフ氏はまずトルソワの素質を絶賛している。

「サーシャ・トルソワ――とても優れた才能に恵まれた天才的な女子スケーターであり、4回転ジャンプに関する記録を持っていて、昨シーズン、見事な演技を見せました。彼女は我々の誇りで、彼女の幸運を祈るだけです」

プルシェンコのライバル、ヤグディンも移籍が成功

 さらに同氏は、過去の移籍劇も引き合いに出してこう続けている。

「そういったことはいつの時代でもあったことで、時々、移籍はその選択が正しかったことを証明してきました。例えば、アレクセイ・ヤグディンは彼にすべての技術を教えたアレクセイ・ミーシン氏のもとを去りました、だが、彼にはプルシェンコとのとても激しい競争があった。タチアナ・タラソワ氏はヤグディンが芸術的才能と闘う資質を身につけ、2002年のソルトレイクシティ五輪で金メダルを獲得するのを助けました」

 また、移籍が成績の低下を招く可能性があるのではないかという問いかけに対しては「今、比較をするのは難しいです」と前置きしたうえで、トルソワ、トゥトベリーゼ氏、プルシェンコ氏にも思いを巡らせている。

「トゥトベリーゼ氏にとっても、何しろお気に入りの教え子がいなくなるのはいつの時もとても精神的に痛みを伴う複雑な話だからです。みんな、トゥトベリーゼ氏に、トルソワをここまでに育ててくれてありがとうと言わなければなりません。サーシャ(トルソワの愛称)も去る決断をするのに困難な思いをした。

 ジェーニャ(プルシェンコ氏)の幸運を願う必要があります。彼は長い間、選手たちを教えていますが、彼にはとても大きな仕事と大きな重圧が目前にひかえています。これは大きな挑戦です、なぜならすべての人が、サーシャは良い教育を受けた才能あるスケーターであることを分かっているからです。彼女は成長期にあります、彼女の本領を発揮していたコンディションを維持するために、大きな仕事を行う必要があります」

 トルソワのみならず、プルシェンコ氏にとっても大きなプレッシャーとなるだろうと心境を思いやっている。フィギュアスケーターに移籍問題はつきもの。トルソワが新たなシーズンでどんな姿を見せてくれるのか楽しみに待ちたい。(THE ANSWER編集部)