「自分は何のためにゴルフをしているのか」、自問自答で米ツアー挑戦を決断

 女子ゴルフの渋野日向子(サントリー)が6日、連覇のかかる20日開幕の海外メジャー・AIG全英女子オープン(ロイヤルトルーンGC)に向けてオンラインで会見した。国内ツアーの次戦は10月中旬以降になることを明言。7日に出国し、全英後は米ツアーを転戦する。地元・岡山開催の大会まで欠場する苦渋の決断を下した背景には「ゴルフは人のためにしている」というプロの目線があった。

「決めました。かなり考えたけど、本当に悩んで、悩んだ中で地元で頑張りたいという思いもかなりあったけど、今の自分はアメリカで戦いたいという思いがあった。自分の思いに嘘をつきたくない。考えに考えてアメリカで頑張ると決めました」

 自分の思いに逆らうことはしなかった。13日からスコットランド女子オープンに出場。7日の渡英前に胸の内を明かした。

 全英後は帰国せず、米国に移動して9月のANAインスピレーション(米カリフォルニア州)、推薦出場のできる米ツアー、10月2週目の全米女子プロ選手権(米ペンシルベニア州)と海外ツアーを転戦。この間の国内ツアーは、地元・岡山開催の日本女子プロ選手権や日本女子オープン、昨年優勝したデサント東海クラシックも欠場する。

 コロナ禍で開催不透明な大会もあるが、現状では少なくとも国内8試合で渋野を見られない。ファンにとっては残念なニュースだ。その思いを理解している21歳は「日本で戦おうが、世界で戦おうが自分自身は変わらない。そういう部分を応援してもらえたら。それは岡山県民だけでなく、日本の方にそう思っている。それでも今のプレーをテレビの前の皆さんに見せられるようにしたい」と願った。

 渋野は昨年後半から「5大メジャー制覇」という壮大な夢を掲げている。昨年の全英優勝で人生が変わった。ほんの1年前まで海外メジャーにさほど興味のなかった時の人は、なぜ大舞台にこだわるようになったのか。ファンを思うからこそ今回の決断に至った。

全英Vで感じた影響力、今後も「やっぱり皆さんに喜んでもらいたい」

「今は自分が何のためにゴルフをしているかと考えると、自分のためじゃなくて人のため。自分がいろんなことを達成することによって、どんな影響を与えるのかというのを考えたり、(さらなるメジャー制覇は)どういう世界なんだろうと考えると、そこに立ってみたいなっていう思いが凄く強くなる。全英女子オープンで勝ったことで、凄い影響をいろんな人に与えられたかなという思いがわかった」

 わずか1週間で取り巻く環境が劇的に変わった。女子ゴルフ人気を沸騰させ、駄菓子やウェアも売り切れ。「スマイリング・シンデレラ」は流行語にもノミネートされた。影響力を知ったことで、自身の“使命”のようなものを感じたのかもしれない。渋野が海外挑戦にこだわる理由。いつも通り率直な言葉で本心を伝えた。

「(海外メジャーを)あと4つ+オリンピックを達成するとなると、もっと違う世界が見えるんだろうなって。それを見てみたいなって思った。見てみたいし、いろんな人に影響を与えたいという思いが強いですし、今まで応援してくださっている方だったり、去年の全英に優勝してから応援してくださっている皆さんにもやっぱり喜んでもらいたい。いろんな人のために頑張りたいという思いがあります」

 国内で活躍する姿を間近で見たかった人もいるかもしれない。でも、21歳が夢のために下した苦渋の決断を後押ししないわけにはいかない。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)