一発勝負の準々決勝4試合をプレビュー

 欧州のサッカーシーンはいよいよ佳境へ。12日(日本時間13日)から2019-2020シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝が行われる。

 今大会は新型コロナウイルスの感染拡大により、ラウンド16のセカンドレグが開催されている最中に複数の試合が延期に。さらに当初は5月に予定されていた決勝が延期となり、大幅な日程・会場・規則の変更を余儀なくされた。

 大会は今月7〜8日までにラウンド16が終了し、ようやくベスト8が出揃った。ここからはポルトガルのリスボン市内の複数会場で集中開催され、すべてが1試合で決着をつける一発勝負となる。さらに途中交代が3人から5人に増枠された点も見逃せない。いずれにせよ、普段とは異なるCLを楽しめるのは間違いない。

 準々決勝4試合の先陣を切るのは、アタランタとパリ・サンジェルマンの一戦だ。

 今季、セリエAで3位と好成績を収めたアタランタはラウンド16でバレンシアを相手に2連勝し、トータル8-4のスコアで粉砕。CL初出場ながらセリエA最多98得点の攻撃力を武器に、フランスの王者に挑む。

 シーズンが打ち切りとなったリーグ・アンで3連覇を成し遂げたパリ・サンジェルマンは国内3冠を達成。最大目標ともいえるCL制覇に向けてモチベーションは高い。悲願の欧州初制覇に向けて、ここも通過点にしたい。

 日本時間14日に行われるRBライプツィヒ対アトレティコ・マドリードも興味深い。

 RBライプツィヒは今季ブンデスリーガで2年連続3位のチーム。ラウンド16ではトッテナムに2連勝し、2戦合計4-0の完勝を収めた。しかしながらエースのティモ・ヴェルナーのチェルシー移籍が決まり、残り試合は不在となる。その影響だけが懸念材料だ。

 対するラ・リーガ3位のアトレティコ・マドリードは約半年前に戦ったラウンド16で、前回大会王者で今季のプレミアリーグ覇者でもあるリバプールに2連勝。当時の勢いをキープできていれば一発勝負への大会方式変更はポジティブに作用するはずだ。

マンチェスター・シティは引いて守るリヨンをどう攻略するか

 マンチェスター・シティ対リヨンは、いずれもラウンド16でリーグ王者を倒したチーム同士の対戦となる。

 前者はスペイン王者のレアル・マドリードに2連勝。先日行われたセカンドレグはエースのセルヒオ・アグエロこそ不在だったが、組織的な守備で常に先手を奪った。引いて守ってくるリヨンをいかにして攻略するかが鍵を握る。

 一方のリヨンはセリエ9連覇中のユベントスを破って勝ち上がった。1勝1敗のトータルスコア2-2ながら、アウェイゴール差でベスト8へ。シーズン途中で打ち切りとなった国内リーグは7位と不本意な成績に終わっただけに、今大会へ向けて鼻息は荒い。欧州トップレベルでは珍しい3バックの機能性が問われることになりそうだ。

 そして準々決勝の“大トロ”とでも言うべき一戦が、バルセロナ対バイエルン・ミュンヘンの激突だ。

 バルセロナはラ・リーガでライバルのレアル・マドリードに3連覇を阻まれてしまった。それでもCLではラウンド16で対戦したナポリをきっちり退け、これで13年連続のベスト8進出。3-1で勝利したセカンドレグで得点を決めた絶対的エースのリオネル・メッシが調子を上げてきたのは心強い材料だろう。

 バイエルン・ミュンヘンはブンデスリーガ8連覇を達成。チェルシーと対戦したラウンド16はファーストレグを3-0で勝利し、迎えたセカンドレグも4-1で圧勝して準々決勝に駒を進めた。今大会7試合13得点と爆発しているロベルト・レバンドフスキが圧倒的な存在感を示している。

 メッシとレバンドフスキ、輝くのはどちらのエースか。ここでの優劣が勝敗を大きく左右するのは間違いない。ちなみにレバンドフスキはブンデスリーガとポカール(ドイツのカップ戦)で得点王に輝いており、CLでも得点ランキングトップを快走中。“得点王3冠”も視野に入り、勢いという意味では上かもしれない。

 大会方式の変更により、ホーム&アウェイの駆け引きが見られないのは残念だが、トレードオフとして一発勝負のスリリングな展開が期待できる。オフェンスとディフェンスのどちらに比重を傾けるかで戦況は大きく変わるだろう。

 ベスト4に生き残り、欧州チャンピオンの座に近づくのはどのチームか。世界最高峰の戦いが幕を開ける。(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)