新型コロナウィルス感染拡大が再び米国などで深刻となる中、国内では経済活動が戻りつつあります。新たな生活様式を考慮し、これからの家探しを模索している最中、住宅ローン金利はどのように推移したのでしょうか。7月の【フラット35】金利動向を見ていきましょう。

2020年7月の【フラット35】金利はプラス0.01%

今月の、全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利は先月からプラス0.01%となり、融資率9割以下、返済期間21〜35年機構団信を含めて1.30%に。また融資比率9割以下・返済期間15〜20年の金利は1.23%となりました。

まとめ〜金利上昇が抑えられた!?アフターコロナ7月の【フラット35】金利

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。

6月上旬までは市場がリスクオンに振れて長期金利が上がりましたが、米連邦準備理事会(FRB)が2022年末までゼロ金利政策を継続する方針を示し、株安となり債券が買われて長期金利が低下しています。

そして、前月よりも少し早いタイミングで機構債の表面利率が発表されたのですが、ちょうどそのタイミングでは前月の長期金利が0.02ポイント上がっていたため、機構債の表面利率も0.02ポイント上がってしまいました。

普通は、【フラット35】(買取型)の金利は機構債の表面利率を連動しますので、同じように0.02ポイント上がるのですが、実際は下表のように0.01ポイントの上昇で抑えられました。

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住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

6月から7月にかけて、けして実体景気が上向いたわけではないのに、長期金利が上がったのは市場で取引されている10年国債の利回りがたまたまそのタイミングで少し上がっていたからです。そうしたタイミングでは機構債の表面利率も上げざるを得ません。

なぜなら金利を上げないと、機構債を買ってもらえず、【フラット35】(買取型)の融資をすることができなくなってしまうからです。住宅ローンを借りようとする私たちにとって、金利が上がるのはもちろん困りますが、融資するお金が集まらないから融資できないというのはもっと困ります。

そして住宅金融支援機構は【フラット35】(買取型)で受け取る利息から投資家たちに機構債の利息を払います。つまり、今回のように機構債の表面利率が0.02ポイント上がったのなら、【フラット35】の金利も同じ0.02ポイント上げなければ帳尻が合わないのです。

つまり、6月から7月にかけて長期金利と機構債の表面利率が0.02ポイント上がったのに、【フラット35】(買取型)の金利上昇が0.01ポイントとなったのは、あえて住宅金融支援機構が上昇を抑えたとも考えられます。その分の損失は住宅金融支援機構が被っているのです。これは住宅金融支援機構が営利を目的としないからということもあるでしょう。

国内のコロナ感染ペースはいったん落ち着きましたが、世界的には依然として感染ペースが加速しています。しかし、金融市場の投資家の思惑は、日本国内で家を買う私たちとはかなり違いますし、今後もたびたびイレギュラーな金利の上昇局面が訪れる可能性があります。

コロナ環境下で家を買う、住宅ローンの債務を負うというのは勇気の要ることですが、公的融資の【フラット35】(買取型)は営利企業の住宅ローンと違い、イレギュラーな金利上昇局面にこそ心強い面があります。