洗濯物はお天気がよい日に外で干すのが一番です。しかし、雨の日もありますし、晴れていても気温が低い冬はなかなか乾きません。花粉症のため、花粉が飛ぶ時期には外に干せないという人もいるでしょう。また、1人暮らしで夜の時間帯しか家にいない人、防犯上の理由で外干しを避けたい人もいます。そんなときに便利なのが浴室乾燥機。最近では1人暮らし向け物件にも浴室乾燥機付きのものが増えてきました。ただし、気になるのは電気代です。そこで、今回は電気式浴室乾燥機の賢い使い方と、電気代の節約方法などについて解説します。

浴室乾燥機、実際の電気代は?

浴室乾燥機は天候に左右されずに洗濯物をスッキリ乾かすことができるありがたい設備です。しかし、浴室乾燥機を使うと電気代が高くなるイメージを持っている人もいるでしょう。実際のところはどうなのでしょうか。具体的に解説します。

実際の電気代をシミュレーション

浴室乾燥機には電気式とガス温水式の2タイプがあります。

それぞれメリットとデメリットがありますが、電気式は取り付け工事が簡単で初期費用が安くなるというメリットがあります。電気式の浴室乾燥機の電気代は、1時間あたり30〜50円です。洗濯物を乾燥する際は1kgにつき1時間が目安となるため、家族4人暮らしだと1日4時間ぐらい使うことになります。つまり、1日では120〜200円ですが、毎日使うと1ヶ月で3,600〜6,000円、1年間では43,200〜72,000円にもなる計算です。1人暮らしの場合は、その4分の1から半額程度と考えればよいでしょう。それでも気になる金額になりそうです。

浴室乾燥機の消費電力はドライヤー(1,200W)と同じ

浴室乾燥機とドライヤーの消費電力はほぼ同じ

浴室乾燥機の消費電力を、ほかの家電製品と比べてみましょう。浴室乾燥機の消費電力は約1,250Wで、ヘアドライヤーとほぼ同じです。つまり、浴室乾燥機を稼働している間は、ヘアドライヤーをつけっ放しにしているようなものなのです。

また、乾燥機付き洗濯機の電気代と比較した場合でも、最もエネルギー効率のよいヒートポンプ乾燥タイプの場合で4倍、ヒーター乾燥タイプでも2倍程度浴室乾燥機のほうが高くなります。前項と併せて考えても、浴室乾燥機の電気代は「ちょっと高いな」と感じた人も少なくないでしょう。

衣類乾燥だけじゃない浴室乾燥機の優れた機能

洗濯物を乾かすという機能だけに着目すると、設置工事などの導入コストがかからず、浴室乾燥機より電気代が安い乾燥機付き洗濯機があればよいようにも感じます。しかし、浴室乾燥機には衣類乾燥のほかにも優れた機能があるのです。

浴室乾燥機能

浴室は水やお湯を使うため、どうしても湿気がこもりやすくなります。浴室に窓がある場合は、窓を開けることで簡単に換気ができますし、湿気もある程度は除去できます。しかし、窓がない場合は、気をつけないとカビが生えたり、嫌な臭いに悩まされたりすることになります。また、窓による換気や除湿は天気が悪ければできませんし、防犯上も窓を開けっ放しにするわけにはいきません。

通常、浴室には換気扇があります。しかし、換気扇は空気の入れ替えはできても、浴室内をカラッと乾燥させることはできません。浴室乾燥機があると、入浴後も浴室乾燥機能で湿気をすばやく除去することができます。湿気や結露を取り除くと、カビや嫌な臭いの原因になる雑菌の発生が抑えられます。浴室内を乾燥させ、清潔な状態を保つのは浴室乾燥機ならではの機能です。

暖房機能

家のなかでも浴室は事故の多い場所です。消費者庁の資料によると、2019年における高齢者の浴槽内での死亡者数は4,900人以上にのぼり、交通事故の死亡者より多い状況です。事故原因としては、浴室入り口の段差や濡れている床での転倒などもあるのですが、発生月別の死亡者数が11〜4月の寒い時期に多くなることから、主な原因は「ヒートショック」によるものと考えられています。

出店:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!(令和2年11月19日)」

「ヒートショック」とは、急激な気温変化により、血圧が大きく上下して心臓や血液疾患を引き起こすことです。気温差が大きくなる場所で起こることが多く、トイレなどでも少なからず発生します。

ただし、発生場所が最も多いのは浴室です。冬は暖かい居間から寒い脱衣所に移動し、衣服を脱いで浴室へ移動します。血圧は寒さに対応するため急上昇します。

血圧が上がっている状態でお湯につかって体を温めると、今度は血圧が急降下します。65歳以上の高齢者や高血圧、糖尿病、動脈硬化などの基礎疾患がある人は特に注意が必要です。

浴室乾燥機は、「ヒートショック」対策としても有効です。浴室乾燥機には、暖房機能があります。メーカーや機種によって予備暖房機能があるので、入浴前の30分前くらいにスイッチを入れておけば、浴室全体を温めておけます。

また、暖房機能を使う際に浴室の扉を開けておくと、脱衣所と浴室の両方を温められて、ヒートショックの原因になる気温差問題が解消されます。

浴室乾燥機の電気代を節約する5つの方法

浴室乾燥機は、使い方によって電気代を節約することができます。洗濯物を浴室乾燥機で乾燥させる場合の、電気代の節約方法を紹介します。

(1)サーキュレーター、扇風機を併用する

電気代の節約方法の一つ目は、浴室乾燥機の稼働時間を短縮するために、サーキュレーター、または扇風機を使う方法です。浴室乾燥機の温風は同じ方向に吹き出すため、洗濯物全体には当たりません。サーキュレーターを使って空気を循環させることで、効率的にムラなく乾燥させることができます。

ちなみに、サーキュレーターの消費電力と電気代は、機種や使い方にもよりますが、30〜40 W程度で、1時間で1円ほどです。サーキュレーターを使うことで、早く乾燥できれば、電気代の節約になります。

(2)室内・室外である程度干しておき、使用時間を短くする

洗濯機から出した洗濯物を、そのまま浴室乾燥機で乾燥させようとすると、乾くまで時間がかかります。

手間はかかりますが、電気代を節約するには一度室内(部屋)または室外で干しておいて、ある程度乾いてから仕上げに浴室乾燥機を利用するのがおすすめです。

衣類は素材によって、乾きやすさが異なります。室内・室外干しで乾かなかったものだけを浴室乾燥機にかけるようにすると、乾燥時間が短縮できます。

(3)気温の高い昼間に使う

気温が高い昼間に浴室乾燥機を使うことも、電気代の節約につながります。浴室乾燥機で電力消費量が上がるのは、室内温度を設定温度に上げる際です。夜は室外の気温低下により、浴室内の温度も下がります。その結果設定温度との差が大きくなります。地域にもよりますが、特に冬の夜は外の気温が氷点下になるところもあります。設定温度と浴室内温度の差が大きければ大きいほど電力消費量も上がり、電気代が高くなるのです。

(4)「節電乾燥モード」を利用する

節電乾燥モードがあればそれを使おう

浴室乾燥機は機種によって「節電乾燥モード」があり、最新機種には付いているものが多いようです。「節電乾燥モード」では、温風時間を短縮し、涼風時間を長めにすることで、消費電力を抑えます。また、暖房機能を使わずに換気と送風機能だけで乾燥させるモードを搭載した機種もあります。このモードでは乾燥時間はかかるものの、電気代を大幅に節約することができます。

(5)電気料金の安い夜間電力を使う

オール電化の住宅などでは、夜間電力が安い電気料金プランが採用されている場合があります。この場合は、夜間に浴室乾燥機を利用することで電気代が節約できます。入浴後に使えば、洗濯物と浴室を同時に乾燥することが可能です。

浴室乾燥機を使わずに室内干しをする3つの方法

浴室乾燥機は便利ですが、それなりに電気代はかかります。浴室乾燥機を使わずに、室内干しで効率的に洗濯物を乾燥させる方法を紹介します。

(1)除湿機を利用する

梅雨の時期には洗濯物を外に干すことはできません。とはいえ、この時期は室内も湿度が高くなっているため、室内干しをしてもなかなか乾きません。室内干しで洗濯物を効率的に乾燥させるために、除湿機を利用するという手があります。

本来除湿機は、室内の湿気を除去するためのものです。しかし、最近は衣類乾燥除湿機という洗濯物の室内干しに適した機能を搭載した機種があります。除湿機には、エアコンの除湿機能と同様に部屋の空気を冷却して除湿する「コンプレッサー式」と、ゼオライト(乾燥剤)に水分を吸着させて除湿する「ゼオライト(デシカント)式」があります。

電気代節約の観点からは、ヒーターを使用するため消費電力が大きいゼオライト式より、コンプレッサー式のほうがおすすめです。また、除湿機とサーキュレーター、または扇風機を併用すると乾燥効率が上がり、さらに乾きやすくなります。

(2)エアコン+サーキュレーターで部屋干しする

エアコンとサーキュレーターで効率的に部屋干し

除湿機がなくても、エアコンを利用することで効率的な部屋干しができます。ほとんどのエアコンには除湿機能があります。サーキュレーター、または扇風機を併用して空気を循環させれば、より効率アップできます。

室内干しの場合はなるべく短時間で乾燥させないと、雑菌やカビによる生乾き臭が発生しやすくなります。前述した方法と併せて、洗濯に部屋干し用洗剤を使い、仕上げにドライアイロンでしっかり水気を飛ばすと、より効果的な除菌や臭い対策ができます。

(3)乾燥機付き洗濯機を利用する

電気代だけを見ると乾燥機付き洗濯機のほうがお得

浴室乾燥機は乾燥機付き洗濯機と比較されることが多いのですが、実は、電気代は乾燥機付き洗濯機のほうがお得です。乾燥機付き洗濯機には、縦型とドラム式があります。ドラム式は乾きやすく、中でもヒートポンプ方式は低温乾燥のため衣類へのダメージが少ないうえに電気代が大幅に節約できます。ただし、ヒートポンプ方式のドラム式洗濯機はハイエンドモデルなので購入価格が高くなります。

電気代節約のためにふだんから気をつけるべきこと

ふだんからちょっとしたことに気を付けるだけで、浴室乾燥機の電気代を節約することができます。電気代節約するために注意したいことを紹介します。

(1)浴室内に水分が残っていないようにする

浴室に水気があると、洗濯物以外の余分な水分まで乾かさねばならないため、その分余計に時間と電気代がかかります。特に、入浴後に洗濯物を浴室乾燥する場合は、面倒でも一度浴室内の水気を拭き取りましょう。また、浴槽にお湯が入っていると、そこから湿気が出ます。お湯を抜くか、蓋をしっかりして湿気が出ないようにしておきましょう。

(2)洗濯物の間を適度に空ける

浴室乾燥に限らず、洗濯物は干し方によって乾き方に差が出ます。脱水が終わった洗濯物は、干す前にシワを伸ばしておきましょう。シワを伸ばすことでムラなく乾き、乾燥後の仕上がりもきれいです。干す際は洗濯物同士の間隔を適度に空け、風が通りやすい状態を作ります。

洗濯物同士が密着していると、乾きが悪くなるうえに嫌な臭いの原因になります。また、乾きにくい厚手のタオルやデニムなどは風が当たりやすい場所に干すなど、洗濯物の種類によって干す位置を調整するとよいでしょう。

(3)浴室乾燥機のフィルターを掃除する
浴室乾燥機のフィルターにホコリが詰まっていると、充分に空気を送ることができないため乾燥効率が落ちてしまいます。エアコンの場合と同様に、浴室乾燥機のフィルターも定期的な掃除が必要です。フィルターの外し方や掃除方法は、メーカーや機種によって異なるため、取扱説明書やメーカーのホームページで確認してから行いましょう。通常は、フィルターを外したら掃除機等でホコリを吸い取り、布やスポンジなどで汚れを拭き取るだけです。フィルター掃除と併せて、汚れが付きやすいパネル部分の吹き出し口も掃除しておきましょう。

まとめ

浴室乾燥機には、洗濯物の乾燥機能のほかに暖房機能もあります。暖房機能はヒートショック対策になり、何より冬の浴室を快適にしてくれます。電気代が高くなりがちな浴室乾燥機ですが、梅雨の時期や冬にはありがたさを実感します。乾燥機付き洗濯機にはない良さもあるので、せっかくなら上手に賢く使いましょう。