年度替わりの3月から4月にかけては、例年引っ越しが急増するシーズンです。2021年はコロナ禍で人の動きが減っているとはいっても、その分引っ越し業者の人手不足感が強く、引っ越しシーズンの繁忙感はなおさらではないかとみられています。可能であれば、そんな繁忙期を避けて、ゆったりとした引っ越しをしたいものです。

国土交通省が引っ越し分散化のお願いをしている

国土交通省では、例年引っ越しシーズン前の1月から2月にかけて、引っ越しの分散化をお願いするキャンペーンを行っています。公益社団法人全日本トラック協会のデータによると、3月と4月には引っ越し件数が急増します。最も少ない1月に比べると2倍以上の件数で、引っ越し業界は大忙しになるため、それを回避してほしいということです。

実際、4月には入学、進学、就職、転勤などが集中しますから、人の移動が活発になり、引っ越しニーズが強まります。特に、東京への人の移動がこの時期に加速されます。

図表1をご覧ください。これは、東京都への他道府県からの転入者数と、東京都から他道府県への転出者数の合計を月別にまとめたものです。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で人の動きがストップしたので、ここでは2019年のデータをグラフ化しています。

ひと目見ただけでも、転入、転出が3月、4月に集中していることがわかります。直前の2月は転入・転出の合計が5万人台であるのに対して、3月は15万人台、4月は12万人台で、5月になると6万人台に減少します。

出典:総務省統計局ホームページ

21年のトップシーズンは3月20日から4月4日

これがそのまま引っ越し件数につながるわけではありませんが、これだけ集中すれば引っ越し業界が大変なことになるのは当然でしょう。

ですから、国土交通省では「令和3年春、引越をご検討のお客様! 分散引越にご協力をお願いします!」と全日本トラック協会などと連名でリーフレットを作成、ホームページにも掲載しています。

それによると、2021年の引っ越しのトップシーズンは図表2のカレンダーにあるように、「特に混雑が予想されます」とする赤の部分が3月20日から4月4日までで、その前後の1週間程度のオレンジは、「混雑が予想されます」としています。

そこを避け、できれば2月中に、でなければ5月以降に延期してほしいというお願いです。

出典:国土交通省ホームページ「引越時期の分散に向けたお願い」

閑散期なら料金が安く丁寧な仕事を期待できる

国土交通省では、トップシーズンを避ければ、いろいろとメリットがあると紹介しています。

分散化をお願いするホームページでは、繁忙期を避けて引っ越しサービスを利用者した人たちの声として、次のようなコメントを取り上げています。

・3月末の土日と比べて、引っ越し代金が安くなった
・会社の従業員の引っ越しに係わるコストを抑えることができた
・3月の最終週から引っ越し時期をずらすことで、予約が取りやすくなった

トップシーズンを避ければ、予約が取りやすく、引っ越し料金が安くなり、かつ平日にすれば、もっと安くなります。それは、進学などに伴う個人で費用を負担する場合はもちろん、会社の事情での転勤などで、会社が費用負担するケースも同様で、会社の経費を削減できるというメリットが出てきます。

もちろん、トップシーズンだとどうしても人手不足などで仕事が粗くなりがちですが、閑散期であれば、丁寧な仕事を期待できるメリットもあるでしょう。

参考:国土交通省ホームページ「引越時期の分散に向けたお願い」

3人家族ならトップシーズンを避ければかなり安く

では、実際のところ繁閑の違いによる引っ越し料金の差はどれくらいあるのでしょうか。

引っ越し料金の一括見積もりサービスを行っている株式会社エイチーム引越し侍(以下引越し侍)では、月別の引っ越し料金を調べた結果、図表3のような結果になったとしています。

出典:引っ越し侍「引越し費用相場が安い時期と高い時期」(掲載している相場料金は引越し侍の利用ユーザーのアンケート(過去3年分)から算出)



単身者の引っ越しでは、最も安い10月が3万5,431円ですが、3月は6万7,481円です。10月の料金は3月の52.5%にとどまっています。これは、月別の差ですから、平日と土日を比較すると、もっと大きな違いになるはずです。

家族数が増えて、荷物が多くなれば当然料金は高くなり、その差は拡大します。

3人家族の場合、最も安い9月は7万9,694円で、一番高い3月は15万0,477円です。9月なら3月の53.0%で済みます。割合でみると単身者とほとんど同じですが、金額では7万円以上の違いがあるのですから、トップシーズンを避けることのメリットがわかります。

参考:引っ越し侍「引越し費用相場が安い時期と高い時期」

見積もりは業者によって2倍の違いがあるケースも

引っ越し代金は、トップシーズンを避けるだけではなく、さまざまな工夫によって費用を抑制することができるので、その点も頭に入れておきましょう。

まずは、1社に決め込むのではなく、複数の見積もりを取るのが原則。先の引越し侍だけではなく、一括見積もりを実施しているところがたくさんあります。たとえば、株式会社リクルート住まいカンパニーのSUUMOでは、引っ越し見積もりのトップページで、「引越し料金が最大50%安くなる!」として、具体的な事例をいくつか紹介しています。

神奈川県から東京都への単身者の引っ越しでは、業者によって8万6,400円から4万4,000円までの違いがあり、埼玉県内の家族の引っ越しでは4万3,200円から2万1,600円まで、2倍の差があったとしているのです。

見積もりは原則無料ですし、最近は営業担当者が訪問しての見積もりだけではなく、リモートでの見積もりが可能な会社もあります。

見積もり結果に関しては、安いだけではなく、その業者の仕事ぶりなども合わせてチェックして選択する必要がありますが、それにしても大きな差です。

引越し侍のホームページでは、「引越し業者おすすめランキング一覧」を掲載しているので、最終的に依頼先を決めるに当たっての参考になるかもしれません。

自力で費用を安く抑えるコツ

引っ越しが決まれば、当日までのスケジュールを立てて、計画的に実行するようにしましょう。そうすることで、引っ越しをトラブルなく、スムーズに進めることにつながり、また費用を安く抑えることができるのです。

まず、引っ越し先に何を持っていくのかを決め、不要なものは早めに捨てておきます。粗大ゴミは市区町村に廃棄を依頼するのが原則ですが、パソコンなどに関してはメーカーが無料で回収してくれるケースもあるので、シッカリと調べておきましょう。ネット上で売り買いできるサイトを利用して処分を進めるのも手かもしれません。

部屋のなかがスッキリすれば、引っ越し業者の見積もり時にも有利になります。

引っ越しを依頼する業者が決まれば、段ボールや化粧ケースなどを提供してもらい、自分たちで準備を始めましょう。段ボールなどは無料で提供してくれるところが多いのですが、業者によっては有償であったり、利用後の回収に費用がかかったりするので、その点も確認しておくようにしてください。

業者のコロナ対応も十分に注意しておく

引っ越しサービスには、さまざまなレベルがあります。事前の梱包から引っ越し先でのセッティングまで、すべて任せることができるサービスもありますが、当然ながらその分費用は高くなります。反対に、原則的に梱包やセッティングをすべて自分たちですれば、費用を抑えることができます。

引っ越しが決まった段階で、日時はどうするのか、できるだけ安く抑えられるようなスケジューリングを行って、どこまで自分たちでやるのかを決め、周到に準備を進めていくようにしてください。

特に、コロナ禍での引っ越しは手洗いの励行、マスク着用などいつも以上にチェックする項目が多くなります。その点の対応がどうか、見積もり時などに確認しておくのがいいでしょう。