米国と中国は15日、米農産物などの輸入拡大と一部の追加関税の緩和を柱とする「第1段階の合意」を正式に署名した。11月の米大統領選を前に外交成果を誇示したいトランプ米大統領の意向を踏まえ、2018年春に本格化した米中貿易摩擦はいったん和らぐ。ただ、巨額の輸入数量の設定など「自由貿易」とはほど遠い内容で、米中の構造的対立の根も残ったままだ。

 トランプ氏は15日午前、ホワイトハウスに中国の劉鶴(リウホー)副首相を招き、文書の署名式を開催。「世界最大のディール(取引)だ」などと宣伝した。会場に集めた多数の側近や米主要企業の幹部らを名指しし、30分ほども「功労」を延々とたたえ続ける異例のパフォーマンスを見せた。

 公表された合意文書は(1)知的財産保護(2)技術移転の強要の禁止(3)米農産物の輸入増(4)金融サービスの市場開放(5)為替操作の禁止(6)米国製品・サービスの輸入拡大(7)合意の履行を確実にするための相互評価・紛争解決の枠組み――が柱。中国が進める国家主導の産業政策に影響せず、中国側が譲歩しやすい項目が中心だ。